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SikTh 『The Future In Whose Eyes? 』(2017)

UK出身のプログレッシヴメタルコアメタルバンド。
2001年にWatfordでMikee Goodman(Vo) Justin Hill(Vo)、Dan Weller(g) 、Graham Pinney(g)、James Leach(B)、Dan Foord(Dr)で結成。

いくつかのEPを出した後、2003年に『The Trees Are Dead & Dried Out Wait for Something Wild』(Gut Records)でデビュー。
各方面からの評価は高く、アルバムリリースに伴うツアーは世界各国で実施、その年のドニントンで行われたDownload Festivalや、数多くの日本のFUJIROCKでも初来日を果たし、鮮烈な印象を振りまく。

しかし、突如2007年に両VoのMikee GoodmanJustin Hillが脱退、それに伴い、2008年にバンドは一次解散するも、5年の充電期間経て2013年に復活。

復活後は以前より精力的に世界中のフェスに出演し、2度のDownlaod Fesや来日公演を行ったり、SLIPKNOTSuicidal Tendenciesのツアーサポートをするなど活動していたが、またしても突如、2016年に今度はJustin Hill(Vo)がプロデューサー業に専念するためバンドを卒業、新たにJoe Rosser(Vo)を加えて制作されたのが本作『The Future In Whose Eyes?
(リリースはMillennium Nightから)。

The Future in Whose Eyes?


サウンド的には前二作より、大衆受けしそうな聞きやすさが向上している。
変態的中ギターやヴォーカルワークはやや少なくなり、以前の作風であった「どこ行くんだ?」的な展開よりは手堅くまとめた感がある。
しかし、個人的にはこれはこれで良いと思う。
おとなしくなったとはいえ、相変わらずギターは変態的なノイズや弾きまくりだし、十分満足できるし、またいつ解散するか分からないヒヤヒヤ感も含めて、いまのメンバーでできる最高の緊張感が楽しめる。

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Mikee Goodman – vocals
Joe Rosser – vocals
Dan Weller – guitars
Graham "Pin" Pinney – guitars
James Leach – bass
Dan "Loord" Foord – drums, percussion
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■Vivid
うねるようなギターリフにギャングスタラップが絡むサグい開幕曲。
半泣きで揺れながらシンガロングするコーラスにぴろぴろギターソロも入り乱れ、最後はスローダウンして太々しく終わる。


■Century Of The Narcissist?
ディソナンスが効いたリフに狂ったような高低激しいラップが折り重なる。
終始忙しく動き回るギターサウンドに変拍子のベースも重なりサイケなトリップ空間が作り出される変態絵巻。

■The Aura
タイトなリズムとブリブリうねり散らかすベースにキャッチーなコーラスがオーバーラップ。
Djent風のギターが次々に不協和音を交えたテクいフレーズをキめ、最後は再びキャッチーなコーラスで締める。


■This Ship Has Sailed
次への期待感と世界観を創り上げる重々しい語り。

■Weavers Of Woe
狂気のラップと陰鬱でもったりとしたコーラスが絡まる中、メタリックなベースが煽りまくる彼らの変態性が存分に表出した曲。
プログレッシブな展開というにはあまりにも混沌過ぎる。
一分のキレイなコーラスパートがあるが故にカオティックな部分が強調されてしまうチューン。

■Cracks Of Light
狂痴の叫びの終わりなきうねりと、時折ピンと張る糸の様な切れ味鋭いクリーンコーラスが混ざり合うポストハードコアチューン。


■Golden Cufflinks
一発一発に力をこめて音を紡ぎだすスローなパワーメタル。
変態的な飛び道具もなく、淡々と進む。


■The Moon's Been Gone For Hours
次に繋げる壮大なインタールード。

■Riddles Of Humanity
細かく動き回るギターノートと煽りの効いた音の塊が滑るように飛び交うミクスチャーコア。
カッコいい。


■No Wishbones
一打が強いドラムビートで始まる複雑な展開を見せるマスコア。
ギターもベースも変幻自在、百花繚乱のバカテクが渋滞している。
コーラスは若干のエモさを見せる。


■Ride The Illusion
変拍子、頻繁なテンポチェンジ、ヒステリックな絶叫、クリーンでエモーショナルなコーラス、テクニカルなギター、ただただSikThという変態性を楽しむためのマスコア。

■When It Rains
静かにアルバムの終焉を告げるスポークンワード。

総合満足度 84点(病的な中毒性に罹るレベル)

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