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Lordi 『The Arockalypse』(2006)

北欧フィンランド サンタクロースで有名なロヴァニエミ出身のモンスターバンド(見た目)、改めハードロックバンド、Lordi

ありとあらゆるメタルバンドがひしめくメタル大国フィンランドでは、被り物…もといコンセプトバンドはさほど珍しくないのだが、彼らは2006年のユーロビジョンコンテストで優勝するほどの作曲•演奏スキルが長けていた事で母国はもちろんヨーロッパでは大人気のバンドに上り詰めた。
日本にも何回も来ており、私含めファンは多い。

彼らの音楽スキル以外にすごいのが、暑い夏のフェスでも、短いインタビューでも絶対に素顔で応じる事のない素晴らしいプロフェッショナリズム。
一時期素顔を暴露しようと躍起になっていたタブロイド誌やテレビ曲に追いかけ回されたが、次第に読者や視聴者から抗議を受けるまでに至り、今では彼らのイメージを尊重する意識がファンならずとも広がっている。

アグレッシブなのは見た目だけで、サウンドはポップでキャッチーな王道ハードロックで、本人達も公言するようにKISSの影響を色濃く受けている。

2006年に発表した本アルバムThe 『Arockalypse』は、上記のユーロビジョン優勝時の最高に脂が乗り切っていた時にリリースした一枚で、名刺がわりの良曲がひしめいている。
ハード・ロック黙示録というダサすぎる邦題もついているが(この意味不明な邦題つける文化辞めてほしい)、タイトルに込めたアーティストの想いを尊重するため原題で紹介。

The Arockalypse


——-
Mr Lordi – vocals, cover art, layout
Amen – guitars
Kita – drums, backing vocals
Kalma – bass
Awa – keyboards
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■Scg3 Special Report
Lordi達が地球に襲来した事を伝えるテレビ局のリポーターの音声。。
と思ったらこのリポーターはDee Sneider(Twisted Sister)でした!
どうやらロック•メタルを布教しに来たらしい。

■Bringing Back The Balls To Rock
荒々しいスネア連打からMr.Lordiのダミ声が響き渡る。
裏で効果的に使用されているストリングス&クワイヤが音像をゴージャスに、突如として叙情メロディを奏でるギターソロが曲の厚みを出している。
これは盛り上がる開幕曲。

■The Deadite Girls Gone Wild
ハードロック調のディストーションゴリゴリ刻み型リフに乗せてAlice Cooperに寄せ気味のVoがジャリっと乗ってくる。
キャッチーなメロディでシンガロングできるやつ。


■The Kids Who Wanna Play With The Dead
安いキーボードストリングスが逆に緊張感を煽るミドルテンポチューン。
80年代の産業ロック(大好き)をそのまま現代に持ち込んだ曲。
バッキングコーラスが初期のBonJoviっぽい。

■It Snows In Hell
エモーショナルなハードバラード。
コーラスはとってもキャッチーでAerosmithやKISSっぽさも所々感じてしまい、ニヤニヤが止まらない。
と思ったらご本人登場だった。
元KISSのBruce Kulickがゲスト参加してます。


■Who's Your Daddy?
図太くガシャガシャしたサウンドでポップに歌い上げるパーティソング。
ギターソロはなかなかソリッドで、聴いていて色々ほとばしるものがある。

■Hard Rock Hallelujah
ポップなコーラスと分かりやすく歌詞で彼らの知名度を飛躍的に上げた曲。
ライブでも定番。
というか、もはやこの曲を元にバンドのコンセプトが決められたようだ。
リフはヘヴィだし、アウトロギターにもこだわりが見えるし、シンプルながら意外とスルメ曲。


■They Only Come Out At Night
何回聞いてもBonJoviかMotley Crueのリフと思うほど80年代ロックしてる曲。
ちなみにACCEPTのUdo Dirkschneiderがヒステリックなコーラスを聞かせてくれ、それに合わせて軽快なリズム、メロディアスな王道ハードロックのコード進行でこちらもライブで盛り上がる。
。ギターソロかっちょええ。

■The Chainsaw Buffet
Jay Jay French
(元Twisted Sister)がゲスト参加。
ギターソロやっぱりクールだねえ。
小節は短いんだけど、一発でキメるメロディの破壊力が素晴らしい。

■Good To Be Bad
Bon Jovi?EUROPE?
いやLordiだ!
昔の単なる焼き直しじゃなく、先輩達が築き上げたエッセンスを大事にしながらしっかり自分たちの音楽を再提案する姿勢本当に大好き。

でもおもいっきりBon JoviかEUROPEです。


■The Night Of The Loving Dead
KISSやW.A.S.P.あたりの影響が色濃く出たメロディ。
軽快に刻んでいくギターが心地よく、一晩中ハードロックパーティが出来そうな曲。
Loving Deadっていうワードも80年代っぽくて香ばしい。

■Supermonstars (The Anthem Of The Phantoms)
このアルバムの中で『Hard Rock Hallelujah』よりも『Bringing Back The Balls To Rock』よりも実は一番の名曲なんじゃないか説の信者です。
コーラス前のヴァースなんかエモすぎるし、ギターソロも一番メタルだし、リフはヘヴィでヘドバン誘発するし。良曲。


総合満足度 84点(見た目と爽やかなハードロックサウンドのギャップがハレルヤなレベル)

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