豊田利晃

こういうことなら3000字書ける。誰か買ってくれないかな。こういう感じで無理のない範囲で書いて、死なない程度の貨幣を得て暮らしたい。

豊田利晃がまた逮捕された。薬物容疑で狙われていたところで拳銃が見つかって銃刀法違反の現行犯だそうだ。
豊田利晃は2005年にも覚醒剤で捕まっている。当時は『空中庭園』の公開が控えていた。ネットの情報によると逮捕の影響で縮小公開されたそうだが、私は全然覚えていない。あまり深く考えず、普通に映画館で見てよかったよかったと思った記憶である。

豊田利晃はその作品へのコミットメントという点では、私は瀧よりも思い入れがある人物である。また覚醒剤だったらまたあまり考えなかったと思うんだが、拳銃所持というのは新しい。それでついついつらつらと考え込んでしまった、さらにぼやぼやズルズル豊田利晃とその周辺のことを思い出しておなかいっぱいである。そして豊田利晃の話を簡単にできる人物というのが身近にいないので書いておくしかない。

拳銃。拳銃かあ。ちょっと私には想像がつかない。拳銃が欲しい・手元に置いておきたい、となる気持ち、あるいは、拳銃をやむにやまれずに自宅に隠しておかなければならない状況。もしくは、特に考えなくても日常的に拳銃が身の回りにぽこぽこあるような状態。どれもよく分からないなあ。分かる必要はないけど、何かしら納得ができるとありがたい、と思って時々続報が無いかネットを検索するのだが、さすがに瀧ほど知られていないと見えて、あまり情報が増えない。

まあ結論としては、今回は実刑だろうし、またしばらく映画に関わることはできないだろう。残念というか、もう仕方がない。できれば、ご本人からどういうあれなのか説明というかコメントが欲しいところである。うーんなんていうか、舞台挨拶の時にちょっと話した感じとか、普通の人だと思ったけどなあ。瀧の場合とはまた違う。瀧はどっちかっていうと黒子だから。卓球のお世話役だから、意に反してやらなきゃいけないこともある、飲み込まなきゃいけないこともあるんじゃないかと思う。でも豊田利晃は映画監督なんだから。そういうところは自分のポリシーを貫いて生活できるもんなんじゃないの?しかし50歳というのは警察に狙われやすかったり心に隙ができやすい年齢だったりするのだろうか。サンプル2ですけど。

うーんこんなことになるなら(こんなに豊田利晃へ思いを馳せてしまうことになるなら)最近まで公開されていた『泣き虫しょったんの奇跡』を映画館でちゃんと見ておくべきだったなとしきりにモヤモヤする。正直、2005年より後の作品は見てない。『青い春』『ナイン・ソウルズ』『アンチェイン』『空中庭園』は熱狂して見たけど、復帰以降はどうも、そんなに良くない気がして見ていなかった。なんか原作があるとか、ちょっと泥臭い方が合うんじゃないかと思うんだけど、そういうんじゃなかったんだよな。まあ、見てないからなんとも言えんけど。

でも去年Filmarksかなんかでしょったんの情報を得て、最初からこれは多分良いだろうと思った。そして以前の作品にはなかった、はっきりとした「成功」や「希望」が描かれているであろうから、楽しみだ、見に行こう見に行こうと思っていたのだが、なんとなく勢いがつかないまま公開が終了してしまった。今回の話を受けてDVD・レンタルが出るまでには少なくとももう少し時間がかかるだろう。は が ゆ い

いや困ったもんだなと思って、とりあえずインタビューを漁った。
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監督デビュー20周年の節目に向き合った映画と将棋
https://swamppost.com/enta/eiga/2381/

「好きじゃないと、勝てないんです」

いやほんと、そうだよな、好きでも勝てないことだってあるけど。好きじゃないと勝ちに行くことすらできない。勝てるから好きだってことはあるだろうか。でもそれは勝負ではないかな。
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涙を越え「好き」を抱きしめて。将棋棋士を目指した監督が『泣き虫しょったんの奇跡』に込めたメッセージ
http://www.haconiwa-mag.com/magazine/2018/09/shottan/

「やりたいことがそこにあるんだったら、それしかやりたくない。やりたくない仕事もやれ」ってよく言われるし、僕もやりましたけど、それが基本的な人間の生き方ではないので。諦めなくていいと思います」

「好きなことを見つけられたらいい人生だとも思わないし、夢を追いかけるだけがいい人生だとも思わないです。そういうのは実は、ないほうが自然で幸せなのかもしれません。それはそれで、楽しめる。ないことが、悪いことだとは思わないですね」

はい、いい大人!!私まだそんな大人に全然なりきれない!!
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豊田利晃「群れることで弱くなる、孤独な奴は強くなる」
https://social-trend.jp/46214/

「俺もまだ勝つことに慣れていないどころか、1回勝ったという感覚すらないよ(…)作品の完成度としての成功と、興行的な成功が両立したら勝ちだよね。組織的にものづくりをすればするほど難しさもあって、例えば『クローズ』はヒットしたけど、全てを俺がコントロールできたわけじゃないしね。作りたい映画を撮って、興行的にも成功するというのが夢」

青い春は興行的にそこまでじゃなかったのかな。私も昔はずっとこういうことが夢だったんだけど、うーんと、それを純粋に実現できるのは相当な運がないと難しいと感じている。年齢重ねてもこう言えるだけですごいことだと思う。
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「東京にいたらもたない」豊田利晃が小笠原諸島に移住してまで舞台を創ったワケ
https://social-trend.jp/29220/

「カリスマなんて、本当は必要ないんじゃないでしょうか。もともと体制があって、そこに反体制として世に出てくる奴は、反体制のリーダーになりますよね。でも、そういう奴って、だいたい権力に溺れていってしまうんですよ。それが罠だと思うんですよね。ファンク・ミュージックの創始者ともいえる、ジョージ・クリントンは自伝で、自分はそうはならない、といったようなことを書いてましたが、さすがですよね。本当に世界を変えようと思ったら、そういう考えのほうが新しいし、クレバーですよ。だから、そういうリーダーみたいな奴って本当は必要ないんだと思います」

小笠原に移住していたのも舞台をやってたのも知らなかった。自分の感覚を大切にした生き方ができている人はやっぱり羨ましい。私はまだどこにいたらいいのか分からないものな…
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少し前に唯一DVDを持っている『青い春』を見返して、オーディオコメンタリーも聞いて、冷静に結構バイオレンスなもんで、私は一体どうしてこんなものが強烈に好きだったんだろうかと思った。いや、自分が好きなのはわかる。当時はただただ素直に好きだったんだけど、なんとなく今は客観的に、ちょっと大丈夫かお前、と言いたくなった。いや、確かに大丈夫ではなかったんだけど。でも、まあ、上記インタビューのような雰囲気を感じ取って熱狂していたのかもしれない。まあ。

今はアジカンの名PVを見返して歌ったり踊ったりしている。
うーん、いいよね、この青。そして団地と桟橋とマメさんともっさりした若いアジカンの連中と。
ありそうでなさそうな、安くも高くもない、いいロケーションだよね。

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『君という花』
https://youtu.be/MIY3lM-jGkI

こうして考えさせられて、世界は不確実で曖昧なものだという思いを強くする次第である。

以上

#映画 #豊田利晃 #泣き虫しょったんの奇跡

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