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多次元的ハイパーほっぺた

2023年12月9日、10日。東京から音沙汰が九州にやってきた。遂に、である。まさに、という感じだ。
僕は19歳のバンドを始めたての頃にSEBASTIAN Xを知った。SEBASTIAN Xを聴いたらフジロッ久(仮)を聴いて、ラブ人間を聴いて、毛皮のマリーズを聴いておとぎ話を聴いて、繰り返し繰り返し一度も行ったことない東京という街でこんなにとんでもないなにか言葉に形容できないことが起こっていることをいつも頭の中でイメージしながら僕もこんな風にバンドが歌が出来る様になりたいといつも考えていた。

音沙汰と初めて会ったのは(一方的な記憶)2018年の渋谷のサーキットライブの時だった。調べたらその日のライブ情報出てきた。

素晴らしいメンツだ

ライブが終わり、汗だくで半分放心状態のまま渋谷の人気の少ない場所を歩いているとライブを観に来てくれてたジャケさんというお酒大好きお兄さんに遭遇。ライブ直後で汗だくなので話半分で立ち話していると前から女の人が2人コトコトと歩いてきた。そしたらジャケさんが突然、そのおふたりに
「おっ!こいつ歌王子あび!ベランパレードっていう宮崎からきた泥臭いボーカル!」と僕を紹介しはじめた。今考えるとめちゃくちゃジャケさん優しいじゃんと思うのだがその時の僕はそれが物凄く恥ずかしくて嫌だったのだ。ライブを観てないバンドのこといきなり紹介されてもへぇ〜しか言う事ないじゃん!とか泥臭いとか以前に物理的に汗臭いじゃん!とか自己紹介くらい自分のタイミングでさせてくれじゃん!とかそんなことを思ってた気がする。そして渋い顔をしていた気がする。
ほとんどおふたりの顔を見れず調子の合わない感じに僕は「う、う、うっす」だったか「あっす」だったかなんかごにょごにょと言った気がする。
すると俯いた視界の向こうから
「わたしと一緒だね!」とひまわりのような声で言われた。涼しい風が吹き抜けた気がした。びっくりして顔をあげるとにこにこしてこちらを見ていた。そこで僕は気がつく。

(真夏さんじゃん!!!!!!!!!!!!!!!!)

僕の一方的な記憶で宝物の記憶だ。
それから時は経ち、2022年。新宿マーブルの昼公演でライブを僕がした日、夜公演が真夏さんの「ミントの風に吹かれて」というワンマンライブだった。マーブルを入れ替わりで使わせてもらうことになり、その時に久しぶりに(僕は)お会いできてやっと納得できるご挨拶が出来た。
そこで真夏さんが宮崎に縁があるという話を聞いたり少しだけお話しして僕は宮崎に帰った。また時間が経って今回、音沙汰の20周年、「musicalium」というアルバムのリリースに宮崎に行きたいと音沙汰からご連絡いただいて、今回の宮崎、佐賀というツーデイズが決まったのだった。

佐賀はmake the pancakeのヤノくんが仕切ってくれて、音沙汰、ヤノくん、あびの3組で宮崎と佐賀を巡る旅になった。

ヤノくんは出会ってからはもう10年ほどになる。何回も実は対バンしてるし、めっちゃカッコいいバンドだと思ってたけどなんかがっつり話すみたいなタイミングに恵まれなかった。ちょっとヤノくんこわかったし。

でも今回の2日間で超マイメンになれた。めちゃくちゃ優しかった。全然こわくなかった、、、
初日の宮崎の日、ヤノくんが家に泊まりにきてくれて入るなり部屋をめっちゃ褒めてくれて布団を敷いてあげたら「めっちゃいいやつじゃん!」と言いながらニコニコで速攻布団に潜り込んで、すぐに可愛い寝息を立て始めた。僕は宮崎でのライブがみんな凄く素晴らしいかったこと、なにより音沙汰が本当に凄かったこと。ホームレス銀河の時に妹が隣の隣の席で涙を拭ってたこと。色んなことが頭をぐるぐるして、明日もライブできるんじゃん!と思うと更に興奮してまったく寝付けなかった。布団に入って何時間もヤノくんの寝息を聞いて、外が明るくなった頃にようやく眠れた。
夢の中でもヤノくんと音沙汰と遠征をしていた。何故かキャンプ場にみんなで泊まることになりヤノくんがめちゃくちゃ黙々とひとりでテントを設置してくれていて、手伝うよ〜みたいに3人が言ったら
「いや、1人の方が逆にこれ楽なやつなんで。なんか座って飲み物でも飲んどいてください」ってテントに杭を打ち込みながら言って、音沙汰のふたりが「やの〜!やの〜!」とヤノコールで喜びを表現していた。

朝起きて、2人順番にシャワーを浴びてヤノくんが髪をドライヤーで乾かしている時、後ろを通ったらとんでもなく良い匂いがして、ああ、人が髪を乾かす匂いってめっちゃ良いんだった。と思い出した。ヤノくんで。

音沙汰と合流。全員でヤノ号に乗り込みマラソン大会で走ってる選手と並走しながら、時々窓を開けてランナーに「がんばれ〜!」と応援しながら高速に乗って佐賀に向かった。がんばれって言う時、叫ぶように言ってもがんばれ!よりがんばれ〜!の方が優しい感じがするのな。伸ばすのが基本的に好きだなと気がつく。

道中、超楽しかった。4人で大笑いしたり、後部座席の音沙汰が眠ってからはヤノくんとちょっと真面目な話したり、幸せな贅沢な時間だった。
ありりさんが本当にツボでずっと笑ってしまう。めっちゃギャルなのが良すぎる。僕もまあまあギャルのポテンシャルあると思うんだけど今回、ギャルとしての素養を引き出していただいた気がする。
ありり先輩、どこまでも着いていきます。

パーキングでトイレ休憩をして売店にひとりで居ると「ねえ、これ美味しいかな!」って真夏さんが日向夏ポン酢と書いたボトルを持ってきた。
日向夏ポン酢、なるものを食べたことがなかったので「うーん、どうでしょう、でもおいしいかも」
みたいな返事をすると「なんだよこいつ、ちぇっ」
みたいな顔をして棚にポン酢を戻して、一度どこかに行ってすぐ戻ってきて「ポン酢今切れてたし、、お土産にしよう」と僕に言ったのか独り言なのかわからない感じで言ってまたポン酢を手に取ってレジに持って行っていた。ポン酢もハラハラしたと思うし嬉しかったと思う。

無事に佐賀に到着し、佐賀もすごく良い一日だった。久しぶりの友達にも会えたし、共演してくれた吉野くん(キング)もはちゃめちゃによかった。ドデカミン、ジャンキー〜

打ち上げはおいしいイカを食べた。マジでうまい。
イカだった———。
永原真夏という人の詩がいかに素晴らしく奇跡的なものであるかいうことの僕なりの解釈を本人に聞いてもらうというスーパーご褒美タイムがあり、こういう時どうしても早口になってしまうのだが、早口で語ったあと、ギャルのありりさんに「ガチオタじゃん」と音沙汰公認のガチオタにしてもらった。嬉しかった。ガチオタなのだから———。

居酒屋がはやめに閉まり、名残り惜しかった我々はカラオケに行った。時々ある。ライブが終わったあとカラオケに行くっていう謎の日が、こういう時って経験上素晴らしいライブが行われた日なんだよな。「カラオケ嫌いな人間なんすよ」と言ってたヤノ氏、見たことない満面の笑みで一番楽しそうで最高だった。なんでだったのかなにを話してそうなったのかもうぼんやりとしか思い出せないけど腹が千切れるくらい笑った。外に出る頃には顔の筋肉が痛くなってた。

ホテルで眠り、起きたらヤノくんが迎えにきてくれて音沙汰と4人でおいしいラーメンを開店前に並んで食べに行って、そのまま音沙汰を空港へ見送り、僕は佐賀駅に送ってもらって1人になった。そこから時間ギリギリでバタバタと走ったりしてギリギリで宮崎へ帰る高速バスに乗れた。ホッ。

宝物のような時間。言葉。光。音色。
辛い日の糧にするというのもそうなんだけど、そうじゃなくて辛い日は自分でなんとかして、ほかほかの気分の休みのお昼みたいな時に寝転んで眺めたり触ったりできるものにしたい。


バスの中で新しい歌の詩が出来た。
充電はバスの中で無くなるだろう。

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