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「THE FIRST SLAM DUNK」

監督:井上雄彦
製作国:日本
製作年・上映時間:2022年 12min
キャスト:(声)仲村宗悟、笠間淳、神尾晋一郎、木村昴、三宅健太

 原作は週刊少年ジャンプで1990年42号から96年27号まで「週刊少年ジャンプ」で連載された井上雄彦による少年漫画。
 シリーズ累計発行部数1億2000万部以上、2006年にはバスケットボール選手支援のために「スラムダンク奨学金」が設立されている。

 SLAM DUNKという名前は知っている、それが漫画であることも知ってはいたがそれは例えばそこに東京タワーがあるわね程度。
 そんな私に「SLAM DUNK を何も知らなくても楽しめるから是非観るべき」と勧めてくれる人のお陰で結局は2回も観てしまった。

 今回のレビューは原作を全く知らない映画好きからの観点となる為、多くのレビューとは異なることを先にお伝え。

 例えば、観終わった時にパートナーは「まさか主役がリョータになるってね」と意外そうな発言をしていた。勿論、私は素直にキャスティングを受け入れ、単にバスケットボールの作品として観た。

 オープニングの良さ。
 The Birthday の「 LOVE ROCKETS」も静かに始まる、画面も手書きされていくメンバー一人一人が舞台に上がるように揃っていく様は静かながら期待を持たせるには十分。

 エンディングも余韻の熱さをそのままに bpm のようで申し分ない。

 作品全体を通してバスケットボールの描かれ方は主題として仮置きして、音への拘りが見事だった。
 ボールを跳ね返す音が状況に応じて実にリアルだった。或いは、人が一瞬時が止まったように感じる瞬間が(自身の中では)無音になるよう作品内でも試合後半においてかなりの長さの無音が用意されている。
 作画の静と動だけではなく、音に関してもそれは同様だった。

 脚本についても邦画に多く見られる説明過多にならず、場面展開が適宜。
 台詞(テキスト)で全て補おうとせず絵で伝える雄弁さは本当はアニメに限らず実写映画作品でも出来ることの筈だ。この作品ではリョータの家族に関わる死についても兄についても逐一の説明はないが十分に伝わった。

 実写作品でこの山王戦の臨場感が出せるのか、おそらく否だ。セルのアニメーションであっても限界がある。モーションキャプチャによる3DCG作品がこうして魔法をかけたようにスムースにイメージを具現化してくれた。
 
 原作を知らなくても十分に楽しめます。
★★★★☆
 


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