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◇Giant's Causeway ジャイアンツ・コーズウェイ 六角形石柱海岸

 W.B.イエーツに全く興味が無い彼は早々スライゴーを去る日程を当初組んでいた。これほど多くのノーベル文学賞受賞者を出した国はないというのに殆どそこに関しては興味がないらしい。巨人のテーブルの次が巨人の石道(六角形石柱)だ、いやはや。そこまで巨人に惹かれるのと呆れながらも、おそらく山をはじめとした自然が好きな趣向だろうと彼の計画に付き合う。
 私の希望を入れた旅行日程は後日軌道修正する形で予定通りジャイアンツ・コーズウェイに向かう。
 N15から途中「北アイルランド」に入国する。約246km、3時間半長い。

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アイルランドとイングランド

 アイルランド自体は一つの島だが歴史の中で分割され、現在はアイルランドとユニオンジャックを形成している一国北アイルランドで成立。
 頭の中では至極簡単で理解していることだった。
 普段「国境線」と無縁で生活している日本人には道路上に意図ある明確な線は引かれず、検問所等もなく風景が続いている中で、さぁ「此処から」が北アイルランドとは意識出来ない。
 スライゴーを離れ割と早く国境を越えた。それが解ったのはナビに使っていた iPad の接続が切れたことだった。同じ島内にも拘わらず「アイルランド」で契約したWi-Fiは「北アイルランド」では別の国に変わり使えないのだ。これからしばらくは目的地周辺までしか仕事をしない中途半端役立たずのカーナビに頼る。

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嫌味なユニオンジャック

 走行していく内に次第に街の様子に変化が出てきた。町並みがアイルランドではなくイギリスに似てくる。休憩で入ったコーヒー店での支払いもポンドに変わり、時速表示もマイルとなりすんなりとスピード(時速)が頭に入らない。

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ジャイアンツ・コーズウェイ入口

 巨人の石道という名称でも解るように伝説としてはアイルランドの伝説の巨人フィン・マックールに因む長いお話がある。
 地学的には以下:
 「古第三紀にアントリム一帯は激しい火山活動にさらされ、高い流動性を持つ溶解した玄武岩がチョーク質の地層に貫入し広大な溶岩台地を形成した。溶岩は急速に冷却した為収縮作用が起こる。収縮は垂直方向には溶岩流の厚みを減らすだけで割れ目は形成しなかったが水平方向ではひび割れを生じた。広範囲にわたった割れ目は地質学で柱状節理と呼ばれ、現在見られる奇観を形成した。柱の天辺はさながら踏み石のように平らで、柱の付け根は断崖の下から伸びているが下の方は海の下に沈んでいる。柱はほとんどが六角柱で、中には、四角、五角、七角、八角のものもある。最も高い柱は12mに達し、崖で凝固した溶岩には厚さ28mになるものもある。」Wikipediaのこの説明を読んでもその地形の不思議さを納得することは難しい。

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不思議な海岸風景

 この日も曇り空、時々小雨と、ゆっくり散策を許してくれない天候。
 「青空だったら」と思うシーンが何度もあるが、今こうして振り返るとこの曇天が中々アイルランドらしくもある。(上記写真を始め、バランスが悪い写真は其処に私たちが入っていた為トリミングせざるを得なかった結果。)

六角形石柱
見上げた柱状節理



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