監督：三池崇史
製作国：日本
製作年・上映時間：2019年　115min
キャスト：窪田正孝、大森南朋、内野聖陽、塩見三省、染谷将太、小西桜子、ベッキー、三浦貴大、村上淳、滝藤賢一

　監督の名と俳優が揃っていたことで択ぶ。基本的に仁侠映画には全く興味がない為に歌舞伎町に流れた女性を救ったばかりに堅気とヤクザとおまけに中国マフィアを交えての流れはさして惹かれるシーンはなかった。
　仁侠映画らしいというのであれば、その通り。仁侠映画の中で描かれる小さな恋。

　実力俳優さんが勢揃いし、主役の窪田正孝が霞むほど。意外だったのは染谷将太の針が振り切れた狂気一歩手前の演技。一方、ベッキー演じる復讐の狂気はありふれた演技が寧ろ見ていて辛い。

　内野聖陽演じる権藤役には参ってしまう。つい最近の「きのう何食べた？」の矢吹賢二の色などあの役は双子が演じたのではないかと思わされる程、正反対の役を演じていらした。役者はこうして跡など引き摺らずにその作品に入っていくのだと見本のような演技。

　終始存在だけで魅せていく実力者演技人の印象が濃かった。
　「ミッドサマー」の半端ない血しぶきを観ていたこともあって、敢えて殺めるシーンでは全体を写さない「初恋」は寧ろ絵としては大人しい。だが、生々しい流血戦を描かずとも残酷さが伝わるのであれば、リアルさ追求よりも私はこちらの手法を好む。
★☆
＊ポイント鑑賞