城後寿という男〜Oh my JOGO〜
城後寿。33歳。今年15年目となるプロサッカー選手。
プロとしてのキャリアの全てをアビスパ福岡で過ごしてきた。
まさにアビスパ福岡の象徴とも言える選手。
アビスパサポーターからは敬意を込めて時にキングと呼ばれる。
また他チームのサポーターにも城後のファンは多い。
Jリーグ通算400試合を達成した城後寿のセレモニーが6/2(日)VS大宮アルディージャの前にレベルファイブスタジアムで行われる。
その前に城後について自分が知りうる事を書きたい。
あわよくば少しでも多くの人に城後寿という選手を知ってもらいたいという思いで記事を書いてみることにした。
城後寿のプロフィール
簡単に城後寿のプロフィールをまとめてみる。
国見高校ーアビスパ福岡
生年月日 1986年4月16日(33歳)
出身地 福岡県久留米市
身長 183cm
体重 77kg
利き足右
Jリーグ通算414試合出場76ゴール(2019年5月31日時点)
クラブが本拠地としている福岡県の出身。生粋の地元民。
高校はサッカーの名門校国見高校に入学し3度の全国制覇。
高校卒業後はJリーグ複数チームからオファーがあったものの地元アビスパ福岡に入団。
4年目からエースナンバー10番を背負っている。
3度のJ1昇格と3度のJ2降格を経験。
キャリアの中でJ1強豪チームからのオファーが度々来るも、その全てを断り続け現在まで15年アビスパ一筋を貫いている。
城後寿のプレースタイル
城後のプレースタイルの特徴については大きく3つが挙げられる。
日本人離れした身体能力
あらゆるポジションをこなすユーティリティ性
類稀な得点能力
この3つに分けて見ていきたい。
城後寿の日本人離れした身体能力
昔から「城後寿は永遠のロマン」と言われる程身体能力が高い。
シンプルな身体の強さやフィジカル、トップスピードの速さなど基本的な所は勿論。
代名詞とも言えるオーバーヘッドシュートを難なくこなしこれまでのキャリアで3度決めている。
走力に関しても中盤のポジションで使われた際には1試合13キロ程走ることもある。これはJリーグでもトップクラスの数値だ。J2は走行距離のデータが出ないのが残念だが。
昔城後に関する記事で血中酸素飽和度がマラソンランナー並という記事を読んだ。詳しい知識が無いので何とも言えないが長距離走においては相当なポテンシャルの持ち主である事は間違いない。
また中学生の時にやり投げでジュニアオリンピック4位という実績も持っている。近年見る事は減ってきたが、その背筋力を活かしたロングスローも城後の武器の一つだ。
城後寿のユーティリティー性
城後はユーティリティープレイヤーとしても知られている。
現在に至るまで流れの中でのプレーも含めば左SB以外の全ポジションをこなしている。
城後がある程度器用であり、飛び抜けた身体能力で様々なポジションをそれなりにこなしてしまう事。
そして歴代の監督が思い思いのポジションで使ってきた事が挙げられる。
それぞれのポジションでどんなプレーをしてきたかを書いてみる。
FW城後寿
城後自身が「自分はFWで勝負したい」と公言しており、彼の得点能力が最も活かせるポジション。
FW城後はワンタッチゴーラーであり、得点の取れる所に入り込むポジショニングとある程度アバウトなボールでも強引に枠にねじ込む身体能力で勝負している。
基本的には裏抜けを狙っており、ポストプレイヤータイプでは無い。
降りてきて組み立てに積極的に絡んだり、激しくチェイシングするタイプでも無いので試合展開によっては消える事もある。
近年ではあまり聞かなくなったが「ステルス」の異名を持っていた時期もあった。
主にFW(トップの位置)でプレーしたシーズンは左膝前十字靱帯の大怪我から復帰した2010年夏〜2011年。2018年終盤から2019年の開幕にかけて。
特に2010年夏〜2011年にかけては、城後の復帰が最大の補強となりチームが昇格した事。翌年城後はJ1相手にもある程度通用した事から城後の全盛期をここと考えている人も多い。
2010年共に昇格争いをしていたジェフ戦で大雨の中イナズマが鳴り響いた後に放った「イナズマシュート」は伝説だ。これを城後のベストゴールに挙げる人も多いはず
「フリーの城後に預ける!城後!城後に入るぞ!城後打てるか?城後!城後!左足のじょうごおおおおおおお!!!!!!!!!」
このゴールは利き足と逆の左足で決めている
左膝前十字靱帯損傷で負傷した左足を軸足とする右足のキックが出来るようになるまで時間がかかった。
その間右足を軸足とする左足のキックの練習を積み重ねた。
その結果左足の精度が上がりこのゴールに繋がったという背景がある。
またこの怪我をきっかけに城後自身は「サッカーを出来る喜び」を再実感したそうだ。
ベテランになった今でも常に全力でプレーする背景にはこの怪我があったのかもしれない。
MF城後寿
城後は前目の選手であるというイメージが強い方も多いかもしれないが、元々は中盤(ボランチ)の選手である。
ボランチでは走力を生かしてピッチを駆け回る。元々ミドルシュートや飛び出しなど攻撃を売りにしていたが、近年では潰しの役割やバランサーとしての顔を見せている。
若手の頃はボランチとしては運動量はあるものボールに絡めなかったり、ポジショニングやパスミスの多さを指摘される事も多かったが、本格的にボランチに再コンバートされた今年はそんな面を全く見せず非常に安定したプレーを続けている。
昔も今も数多くは無いが、たまに見せる正確な柔らかいパスは美しい。
主にボランチの位置でプレーしたシーズンはプロ入り〜2009年。2013年。2019年。ちなみに私が城後に一番プレーして欲しいポジションはここだ。
そして右サイドハーフ。プロキャリアで最も多くプレーしてきたポジションかもしれない。
城後は左よりも右サイドでのプレーを得意としている。ドリブル突破するタイプでは無い為、前にスペースが無いと手詰りになりがち。
ただ右足でのクロスは精度が高い。また得点の可能性を感じたらゴール前に飛び込んでいき得点を奪い取る。
サイドの守備に関しても献身的に行う。サイドではガツガツボールを奪いに行かずディレイしてバランスを保つ守備を行う事が多い。
主に2009年、2012年、2015年、2016年辺りはここを主戦場としていた。
個人的には城後は中央の選手だと思っているのでサイドで多く使われていた事に納得がいかない時期もあった。
DF城後寿
コンバートを多用するマリヤン監督が右SBとして起用した事が数回あった。
現日本代表10番の中島翔哉(当時カターレ富山)を完璧に抑えた事もある。
CBに関しては試合の流れの中で少しやった程度。
GK城後寿
2013年6月1日のJ2第17節ロアッソ熊本戦。大雨の中カードも飛び交い退場者も出し荒れていた一戦。
交代枠を使い切っていた後半35分GK水谷がゴールキックの際に負傷。前線の選手でサイズがあり身体能力がある城後が水谷の23番のGKユニフォームに着替えてゲームを進めることになった。
プレーとしてはやたら前線へのゴールキックが上手かったのが印象的。まさにピンポイントでターゲットまで蹴っていた。
セーブも危なっかしいながらも何とかこなしていたがアディショナルタイム11分。ノーチャンスなボレーを叩き込まれた。
城後はこの試合を機に「キーパーはシュートを打たれるのが怖いのが分かった。よし。もっと打っていこう」と学んだそうだ。
城後寿の得点能力
城後は先ほど述べた通り様々なポジションで使われてきた。にも関わらず毎年ある程度コンスタントに得点を重ねている。
どのポジションからでもゴール前に飛び出して点を取れるのは城後の大きな魅力だ。
今回城後の全ての得点シーンを見返して得点数と内容を表にまとめてみた。
利き足である右が多いものの。左足、頭でもしっかり点を取れているという事が分かる。
PKでの得点が1点しか無いのも特筆すべき点と言えるだろう。
また年度別で見ていくと2012年以降ヘディングでの得点が増えている。
かつて城後は「ヘディングは苦手」と語っていた。しかし近年ではヘディングでも点が取れるようになっている事からその苦手を克服し武器にまでしたという事が伺える。
また昔はミドルシュートでの得点もあったが、得点シーンの多くはワンタッチゴールだった。
「センス抜群の得点力でゴールを狙う」
これは試合前スタジアムDJの信川竜太氏が選手紹介で城後を紹介するときの言葉だが、まさに類稀なるゴールへの嗅覚と身体能力を表している言葉と言えるだろう。
城後寿の人気
「アビスパ福岡選抜総選挙」なるものがある。
これはシーズンの中頃行われ、サポーターによる投票で神7を決めるというもの。
選ばれた7人は後期日程のポスターに登場したり、グッズが作られたりする。
今年に至るまで総選挙は7度行われている。その7度のうち6度で城後は栄えある第1位に輝いている。唯一逃した第3回も2位には踏みとどまっている。
6/7。圧倒的占拠率っ…!まさにキングっ…!
この投票が象徴するようにレベスタでも背番号10のレプユニを着用している人が明らかに多い。
このように城後寿が愛されている理由としてアビスパ一筋を貫いているという点は非常に大きいだろう。
何処のチームでもいわゆるバンディエラと呼ばれるチーム一筋の選手は絶大な人気を誇る。しかし中でも城後の場合は異例とも言えるほどの人気がある。
その理由はアビスパが選手の入れ替わりが激しいチームである点が大きいように思う。
アビスパは決して強豪とは言えない。基本的にはJ2にいるチーム。
その上一貫した軸みたいなものもこれまで無かった。
その為有望な選手は当然J1に定着しているチームに移籍する。
他にもチームに不信感を抱いたり、戦力外になったりと中々アビスパでプレーをし続けるのが難しい状況にある。
実際に前回昇格した4年前の2015年のメンバーで現在も在籍しているのは城後寿と鈴木惇だけ。鈴木惇も2017年にはレンタルで大分に移籍している。
そんな中J1クラブからは城後を引き抜こうと毎年のようにオファーが来た。
特に広島や浦和で監督を務めたミシャことペドロビッチ監督は城後の獲得を毎年のように熱望しており何度もオファーを送り続けた。
それでも城後はその全てのオファーを断り、アビスパ愛という一点だけで今日に至るまで在籍し続けている。
その理由を「アビスパが好きだから。このチームを強くしたいから」と城後は度々語っている。
そりゃサポーターも城後を愛さない訳にはいかないだろう。
城後寿ファンを公言している著名人
日本代表に招集された経験の無い選手にしては異例な程著名人のファンも多い。
・人気声優田村ゆかりさん
家族も熱狂的なアビスパファンであり、田村ゆかりさん自身も2015年からアビスパを応援してくださっている。中でも城後の大ファンであることをSNSやラジオを通して公言しており、観戦に訪れる際には城後のレプユニで来場されている。
また先ほど述べた総選挙においてもグッズを大量購入して手に入れた投票券の100枚以上を城後に投票したというエピソードも持つ。
城後寿は憧れの存在であり恐れ多くて近づき難いと話している。
田村ゆかりさんきっかけでアビスパを熱く応援してくれるようになった王国民も数多くおり、彼女のアビスパへの貢献度は計り知れない。
SNSやラジオでまたアビスパに触れてくれるのを個人的に待ってます。
・HKT48豊永阿紀さん
2013年に観戦したのをきっかけにアビスパ福岡を応援するようになった。
アイドルになる前から城後と2Sを撮ったり、ゴール裏でチャントを歌っていたりとコアなサポーターであり、決してビジネスでは無いところが好感持てる。
現在はアビスパ福岡の公式アンバサダーとして度々スタジアムにも来場し盛り上げてくれている。
・徳島ヴォルティスシシーニョ選手
元スペインUー21代表。日本人の友人がアビスパ福岡のファンでアビスパの試合を見始めたのがJリーグに興味を持ったきっかけだった。アビスパに移籍する為に公式にDMを送った程のアビスパファン。
残念ながらアビスパがシシーニョにオファーすることは無かったが、来日後は岐阜や徳島でアビスパと対戦している。
中でも城後寿がJリーグナンバー1の選手だと語っており、夢だった城後との対戦やユニフォーム交換を果たしている。
今そのユニフォームは実家でダビド・シルバ、シャビ、イニエスタのユニフォームと並んで飾られているらしい。城後もワールドクラスの仲間入りだ。
最後に城後寿
これまで城後寿について主観が多く入りつつも書き進めてきた。
城後をあまり見た事がない人がこの記事を読んでくれたとするならば、城後はとても能力が高く素晴らしい選手だと思っていただけたかもしれない。
実際に良い選手なのは間違いない。
しかし必ずしも絶対的な選手だったわけではない。
プレーに波がある。個で打開できない。消える時間が多い。戦術理解度が低い。
一部のサポーターから批判される事もあった。
しかし城後はアビスパの為に常に全力で戦い続けてきてくれた。その姿を我々は見続けてきた。
ピッチの中では必ずしも特別な選手ではないかもしれないが、我々アビスパサポーターにとっては最も特別な選手である事は間違いない。
改めて。Jリーグ通算400試合を達成した城後寿のセレモニーが6/2(日)VS大宮アルディージャの前にレベルファイブスタジアムで行われます。
是非スタジアムに来て城後選手をお祝いし、アビスパ福岡を応援しましょう!
当日は城後選手のメモリアルグッズも多数販売されます。
上のURLから見る事が出来ます。驚くほどハイセンスなグッズばかり。公式が急に本気を出してきているっ…!
グッズを買い、レベスタで城後のチャントを歌いましょう!
オーマイ 城後 届いているかい 俺らの熱い声オーマイ 城後 久留米のモンなら行け 撃て 魅せてやれ 城後
加筆2023.11.4
在籍19年目にして自身。
そしてアビスパ初タイトルとなるルヴァンカップを獲得。
自らも大会中ゴールを決める活躍。
そして伝説へ
アウェイでバモるサポーターがひとり増えます