2023.11.4 アビスパ福岡初タイトル観戦記
1999年9月15日。初めてアビスパを観に行った日。相手は浦和レッズ。学校から貰った無料券で観に行った。
当時8歳だった僕はアビスパが2-1で勝った事。そしてサポーターの声援が凄かった事しか覚えていない。
でもそれが全ての始まりだった。
そこから24年。本格的に応援し始めて17年。
僕たちはずっと魔境J2にいた。
タイトル争いどころかJ1すらほぼ無縁の生活。
そんな中僕が夢見てた景色。
「いつかカップ戦の決勝でアビスパを応援したい」
テレビに映る強豪クラブ同士の試合。
ゴール裏を埋め尽くさんばかりのサポーター。
憧れだった。
でもそれは憧れでしかなかった。
辿り着くのは夢のまた夢。
「そんな日は来るのか?」
「来たとしてもゴール裏埋まるんかな?」
そんな夢も忘れかけてJ2残留争いしてた頃。
長谷部さんがアビスパにやってきた。
長谷部さんがアビスパに来てからの4年間。
チームは本当に強くなった。
確固たるアビスパスタイルを築きJ1昇格、定着。
チーム力、サポーターの意識、クラブの総合力。
全てが変わっていった。
そして2023年11月4日。
忘れかけてた夢は現実味を帯びた頃。
夢は叶った。
前日の場所取りから凄いことになりそうな予感があった。
前日の19時過ぎに辿り着いた時点で650組2000名程のアビサポが場所取りしていた。
福岡とかいう国立から遠く離れたクラブのサポーターが前日からこれだけ集結している。
これは当時入りのサポーターも合わせたらとんでも無いことになるという確信があった。
そして当日。アビスパのゴール裏はネイビー一色に染まった。
バクスタやメインの北側にも相当数のアビサポが。
完全アウェイ、5万人コレオとはなんだったのか。
観たかった景色がそこにあった。
最初のチャントでもう涙が溢れてきた。
圧倒的な声量。浦和にも負けないような声。
アビサポみんながこの時を待っていたのがその声から伝わってきた。
皆んなそれぞれの色んな想い。サポーター人生を経てここに辿り着いたんやなと感じられた。
そして試合。
1番のサプライズはアビスパに来てからの4年間で1度もやってない前寛之のシャドー起用。
確かにU21出場義務で公弥を起用するといつもの井手口陽介、前寛之コンビは組めない。
酒井宏樹対策も含め、井手口シャドーはあるかなと考えていた。
ただ前寛之のシャドー起用なんて考えた事もなかった。
大一番で長谷部さんの奇策は当たる。
貴重すぎる先制点は前寛之から生まれた。
守備でも浦和の右サイドを封じる。
世界的名監督でも決勝の奇策を失敗することがあるのに、この采配を当てたのは凄いとしか言いようがない。
まだまだ知らなかった長谷部さんの底知れなさを感じた。
1点目の前寛之、2点目の宮大樹の得点。
普段の試合ならまず出てこないであろう形のゴール。
そんなゴールがこの大一番で飛び出す。
山岸の前線での働きぶり、紺野の縦突破からの2アシストも光る。
流れは完全にアビスパ。
そして後半
グローリがドリブルで獲得したPKを山岸が失敗。
なおも1点を返され押し込まれる展開。
苦しい時間は長く感じられた。
ただアビスパは最後まで戦い抜き、身体を張り、強度を落とさなかった。
中村駿を入れて再び前寛之シャドー。
もし延長行ってたら。勝てなかった気がしてる。
全てを90分にかけたアビスパ。
そしてPK戦における西川周作の存在。
延長にもつれ込むかどうか運命を左右した終了間際のカンテのシュートはポストに弾かれる。
最終的に勝負は紙一重だった。
待望のホイッスル。
そして念願のタイトル。
また涙が溢れてきた。
夢に描いていたのはカップ戦の決勝を応援する所までだった。
本当にタイトルを取れる日が来るなんて考えてなかった。
アビスパは次いつ来るか分からない最初のチャンスをモノにしてタイトルを取ってくれた。
それもレジェンド城後寿が在籍している間にタイトルが取れた。
ずっとアビスパの歴史を紡いできた城後寿と。
城後がカップを掲げる姿をずっと観たかった。
タイトルを取って思うのは、タイトルを取る時は取るべくして取るんだなと。
運良く勝ち上がって偶然取れることなんて多分あんまない。
着実に力をつけて、一歩一歩進んだ先にタイトルはあった。
タイトル獲得はもちろん。
そこに至るまでの過程を応援できたのは幸せだった。
城後が言ってくれた通りもう弱いアビスパ福岡とはお別れ。タイトルを取った事でまた次のステージに行く事になる。
悪い時期もいつかは必ず来る。
でも今日タイトルを取った事はかけがえの無い経験値と歴史になった。
これからのアビスパが今から楽しみで仕方ない。
国立で辿り着いた結論。
アビスパに出会えた人生でよかった。
アウェイでバモるサポーターがひとり増えます