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それはそれ、これはこれ

面白い記事。

このコラムを書いたのは、スポーツ報知・小島和之記者。現在は讀賣番だが、その前はヤクルト担当、さらにその前はファイターズ担当で、ヤクルトファン、ファイターズファンとして馴染みのある記者だ。

他球団の選手同士のコミュニケーションについて真っ先に思い浮かぶのは、星野仙一だ。
中日時代も楽天時代も、監督として指揮をとる星野は、自軍の選手に他球団の選手との交流を一切禁止した。

このことは、人情派の星野仙一という人を端的に表すエピソードだと思う。
他球団の選手と仲良くなることで情がわき、ふとした時に情けをかけてしまう。友に豪速球を投げはぐって、打たれでもしたら大問題だ。
勝負に影響することを考えれば、初めから禁ずることも頷ける。

今の選手たちとの大きな違いは、教育だ。
星野仙一は、男性性や社会的地位に価値を置く、武士の教えが色濃く残る教育を受けた世代だ。
どんな時でもテストステロン優位の集中力で戦うことを是とする野球選手にとって、敵に情がわくような行動を避けることは当然だ。

野球選手は勝負人でなければならない。
勝負の世界に身を置く者として、常に戦う姿勢をとらなければならない。
しかし今の若い選手たちは、星野仙一にはできない「情の線引き」を器用にできている。

1月の自主トレでは、球団の垣根を越えて選手たちが集まり、ベテラン選手は他球団の選手に対しても出し惜しみすることなく技術を教え込む。
それでシーズン中の試合に影響があるかといえば、試合は試合で緊張感ある真剣勝負を展開している。

友達だけど、ホームランは打つ。
「それはそれ、これはこれ」ができてしまうのが、時代の変化で変わった教育を受けた今の若者なのだ。

野球=戦争だった星野仙一からしてみたら、「友を撃つ」なんてどうにも理解不能な思考回路かもしれない。

もちろん、今の選手たちも戦争だと思って野球=ゲームをしているかもしれないが。

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