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【開催報告】韓国CSES:社会課題解決の成果を測定し、その成果に対してインセンティブを提供する「SPC」(AVPN TOKYO Visionaries' Gathering 2024.3.8)

「AVPN TOKYO Visionaries' Gathering」は、AVPNメンバーの皆さまが毎月集まるクローズドな会合です。戦略的フィランソロピーとインパクト投資の推進による社会課題の加速度的解決を目指すアジア最大のネットワークであるAVPNが厳選する、先進的な取り組み・ベストプラクティスを共有し、社会的インパクト創出に向けた質の高い資金提供のあり方について議論・学び合い・協働の場となっています。

※「Brown Bag Lunch Gathering」として実施しておりましたが、この度名称を変更いたしました。


2024年第2回「AVPN TOKYO Visionaries' Gathering」のご報告

2024年第2回目の「AVPN TOKYO Visionaries' Gathering」が、3月8日(金)、AVPNメンバーである一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)の事務所にて開催されました。

今回の話題提供者は、韓国Center for Social value Enhancement Studies(CSES)SPCチーム主任研究員のジョン・ジョングドゥク氏です。

韓国から3名が来日

韓国から参加してくださった皆さま
・Soon Beom Kwon 氏(SPC Team Leader)
・Jongduk Jung 氏(Principal Researcher, SPC Team)
・Ko Hyun-Chang 氏(Researcher, SPC Team)
・Yunkyung Lee 氏(Project Manager, Fair Travel Japan)

韓国におけるソーシャルセクターでは、社会的企業や協同組合、マウル企業、自助団体などの総数は年々10%を超える成長を見せています。一方で、昨今はソーシャルベンチャーへの注目が高まっており、約2,500ものソーシャルベンチャーが生まれています。AVPNの韓国代表パートナーであるMYSCなどを中心にインパクト投資も推進されており、1割程度のソーシャルベンチャーがインパクト投資で資金調達をしているとのことです。

こうした動きを背景に、Center for Social value Enhancement Studies(以下「CSES」)では、社会的企業による社会課題解決の成果を測定し、その成果に対してインセンティブを提供することにより、社会課題解決の取り組みを推し進めるために「SPC(Social Progress Credit)」というプロジェクトを、約400社とともに実施しています。

このSPCには、以下の2つの特徴があります。
①社会的価値の貨幣化:製品とサービス、雇用、バリューチェーン、環境という4つの領域において、企業が生み出した社会的価値を客観的に測定し、貨幣価値換算をすること。
②インセンティブの支払い:測定された社会的価値に基づいて、使途の制限のない現金のインセンティブを支払うこと。

インセンティブの獲得に向けて、より良い成果を目指すとともに、インセンティブを新規事業の開発や雇用に活用することで、さらなる社会課題の解決を促しています。例えば、3Dプリンタを活用し義手を製造する「MAND.RO」という社会的企業は、一般的な製品よりも半分の軽さで、20分の1の価格で義手を販売。これまでに8.9億ウォンの社会的価値を生み出し、1.8億ウォンのインセンティブを受け取り、新規事業の開発に活用しています。

当日は20名が参加

CSESでは、この取り組みをソウル市などの自治体との連携で広げるだけではなく、海外への展開も図っており、2023年からは日本ファンドレイジング協会と協働で「アウトカムファンド for IMM」も実施しています。

後半のディスカッションでは、参加者から、助成規模や出口戦略などについて質問が寄せられました。出口戦略としては、10年もの実績をもとに国による社会的企業の支援施策に導入されるよう働きかけているとともに、いずれは民間において炭素排出量取引のように、社会的価値を取引できることも目指していると説明されました。

最後に、AVPNのNorth East Asia HeadであるMark Yehよりご挨拶と、4月にアブダビで開催されるグローバルカンファレンスについてご案内をしました。グローバルカンファレンスの詳細は本記事の後半をご覧ください。

Mark Yehよりご挨拶

韓国における新しい取り組みをクローズドの場で聞ける、AVPNならではの機会でした。そして、セッション終了後も、会場が開いている時間を最大限活かしてメンバー同士の名刺交換が積極的に行われ、財団や金融機関、政府機関や中間支援組織など所属を超えて、資金の出し手としての立場を同じくしたメンバー間での交流の機会となりました。

意見交換の様子
意見交換の様子
意見交換の様子

当日の参加者:20名(Foundation/Trust、Impact Fund、Government-related、Intermediary、Corporate/Financial Institutions、Service Provider、Network、AVPN staff)
ご感想:

「韓国は近いですが、普段は行き来することがないため、アップデートな情報を直接お聞きできる良い機会でした。人数が少なくアットホームで、会合前後のおしゃべりのなかで、有意義な情報交換ができたのも良かったです。やっぱり対面はいいですね。」(公益財団法人トヨタ財団プログラムオフィサー甲野 綾子さん)

最後はメンバーで記念撮影

AVPNからのおしらせ

4月23日から25日の3日間にかけてアブダビで開催される、アジア最大のインパクト投資カンファレンス「AVPN Global Conference 2024」のセッション内容や登壇者が次々と発表になっています。2023年は44ヶ国から1,329名が参加しました。ご関心がありましたら、お気軽に以下の「お問合せ先」までご連絡ください。

(ご参考)AVPN Global Conference 2023 in Kuala Lumpur(動画)

AVPNについて ”Moving Capital Towards Impact”

AVPNは、シンガポールに本部を置く戦略的フィランソロピーとインパクト投資の推進による社会課題の加速度的解決を目指すアジア最大のネットワークです。AVPNには現在33の国と地域から資金提供者である600以上の財団、企業、インパクトファンド、大学、政府、金融機関等がメンバーとして加盟しており、アジアを中心に世界14か国に90名以上のスタッフが所属しています(2023年7月時点)。アジア中のあらゆる資本を動員し、社会的なインパクトを生み出していきます。

メンバーの皆様には、アジア最大のインパクト投資カンファレンス「AVPN Global Conference」への割引参加、年に一度の「AVPN Social Investment Forum Japanご報告)」のご招待、定例の「TOKYO Visionaries' Gathering」等の特典があります。 

昨年度の「AVPN Global Conference 2023」
東京で開催された「AVPN Social Investment Forum Japan」
アジア各国でのAVPNメンバーの共創
東京でのAVPNメンバーの共創

AVPNメンバーには、資金提供者である財団、企業、インパクトファンド、大学、政府、金融機関等のみが加盟できます。ご関心がある資金提供者の方は、以下までご連絡ください。

お問い合わせ先(日本語・英語での対応)

japan@avpn.asia

日本語でのお知らせは、以下でも発信しています。
https://jfra.jp/avpn
https://www.facebook.com/avpnjapanoffice 
https://twitter.com/AVPN_Japan


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