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クイーン×ディズニー考察5~Dルネサンスその2~美女と野獣

そこには、命を懸けて仕事をした魂と、

それを引き継いでいく意志のようなものを感じる。


美女と野獣

(概要)
美女と野獣(1991年公開)
音楽:アラン・メンケン
製作総指揮:ハワード・アッシュマン
アカデミー賞歌曲賞(「ビューティー・アンド・ザ・ビースト」)・作曲賞:メンケン
アカデミー賞作品賞ノミネート(アニメで初のノミネート)


「美女と野獣」は、アカデミー賞の「作品賞」にアニメで初めてノミネートされ、「ファンタジア」の頃並みにヒットする。


元は、フランスの民話。ディズニーは18世紀のボーモン夫人の原作をもとにしてる。フランス語で「美しい」という意味の「ベル」という女性が主人公。英語ではビューティー。

こちらも、ウォルトの頃から(1930〜50)構想はあった。


この作品で有名な曲は主題歌「美女と野獣」と並び、「愛の芽生え(Something There)」がある。


音楽は引き続き、作詞ハワード・アッシュマンと作曲アラン・メンケンのペアだ。


「美女と野獣(Tale as old as Time)」の方は、ティーポットのポット夫人が歌い、エンド・クレジットでは「美女と野獣(ビューティー・アンド・ザ・ビースト)」として、世界の歌姫セリーヌ・ディオンとピーボ・ブライソンが歌い、大ヒット。この主題歌でアカデミー賞歌曲賞をとる。


また、「愛の芽生え(Something There)」は、ベルが歌い、恐ろしく、醜いはずの野獣へ芽生える愛情をうたう。

アッシュマンの前作「リトル・マーメイド」の「パート・オブ・ユア・ワールド」と同じく、主人公の心情を歌い上げ、重要な曲である。

冒頭の「朝の風景("Belle")」もサビが同じメロディーである。


朝の風景は、

「ボンジュールx5」というやつで、

ごらん、あのこは、い~つ~で~も~、

すこし風変わり(ふうがわり)~

というやつだ。

クイーン関連では、

There must be more than this provincial life
(この田舎の生活よりもいい場所があるはず)

というセリフがかなり気になる。

頭がお留守(her head's up on some clouds)とか。


近年ディズニー・ランドにもこのフランスの朝市みたいな噴水周りが再現されている。木組みのアルザス地方っぽい可愛い家が立ち並んでいる。羊が現れ、ベルの大好きな本を食べていく。

ベルは本好きで、冒頭でも「豆の木と巨人」などと言い、これはディズニー作品にもあるが、巨人はgiantでなく、ogreオウガといっている!(オウガ・バトル)


他にも、歌は、

ひとりぼっちの晩餐会(Be Our Guestビー・アワー・ゲスト)や、(強いぞ)ガストン、モブ・ソング(群衆の歌)など。

「Be Our Guest」は、燭台のロウソク、ルミエール(Lumiere,もとコック)がフランスのコース料理でベルをもてなす曲。フランス語も多用される。

あ〜れ〜、も〜、

こ〜れ〜、も〜

とか、

食べ過ぎには御用心〜

というやつ。


シャンデリアやシャンパンなど、キャバレーのショーのようでとても華やかで楽しい。

ルミエールは陽キャで声もよくソロもあるのでジーニー的な感じがする。


しかし、私が子供の時見た時は、この部分は好きだが、この作品は全体的にあまり意味がわからなかった。


ドームに入ったバラの花の意味や、

いったい誰が敵なのかとか。


ベル、早く逃げてー!としか思わなかった。

何でのんびり、いじわるなモンスターと食事しているのかと。

視聴中ずっと、このスキに逃げればいいのに!、と落ち着かなかった。

(実際は父親が人質だった。「走れメロス」のような展開。)


ラストも、野獣の変身した王子もワイルドすぎてなんか合わない。そもそもマッチョな黒髪のガストンがいい男というのがピンとこない。海が舞台のせいか現代風な感じのアリエルに比べても、昔話風ベルも当時あまり魅力的に思えなかった。


とにかく子供心(5、6歳くらい?)にはよく意味が分からなかった。

したがって、ビデオ(ダビング)・テープが家にあったがあまり見なかった。


ディズニーとしては、フランス風に挑戦したので、そこらへんのおしゃれな感じが私には伝わらなかったのかもしれない。せっかくのフランス語という異国情緒も吹き替えだとわからないし。


私がオーストラリアで暮らしてたとき、2017年の4月ごろ、「美女と野獣」の実写がかなり流行った。私は見なかったが。ハリポタのハーマイオニーのエマ・ワトソンがベルを歌った。主題曲はアリアナ・グランデ。(日本はその前の年に「君の名は」がヒットし、中国や韓国の友達には「見てないの?!」と驚かれた。)


とにかく、「美女と野獣」は、ディズニーの中では私にはあまり好きでない映画だった。


しかし、今は曲の部分だけでもYouTubeで見ると、それだけで泣いてしまう。美しいのだ。子供の頃から気づかなかった。


そこには一人の男の人生が込められていた。


ハワード・アッシュマンはHIVウイルス陽性で、すでにエイズの症状が出ていた。


そして前作以上に絶賛された「美女と野獣」の公開を待たず、1991年に亡くなる。

あまりに早すぎる。


ここには、命を懸けて仕事をした人物、そして、それを引き継いでいく意志のようなものを感じる。

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