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語彙

自分が一年間で口にした言葉だけを集めて、一冊の辞書にしたら、とうてい辞書とは言えないような薄いものになると思う。
仕事柄家に篭りがちで、会話をあまりしないということもあるが、たまに人と話しても、何だか似たようなことを似たような言い回しで話している気がする。

件の辞書は別に分厚ければ良いというものでもないのだが、問題はそこではなく、自分の中で固まった便利で使い勝手のいい言葉で話ばかりしているような気がしていて、それが問題なのである。人によっては、少ない語彙で洗練された言葉が並んでいて、美しい辞書になっていることもあるのだろうなと思うが、自分がそうかといえば全くそうではない。
消費カロリーの少ない、コスパの良い言葉に寄りかかって生きている気がする。コスパという言葉があまり好きではないだけに、なんとなくショックでもある。

なんで急にそんな事を考えたのかというと、テレビで食リポ(食レポ?)というものを見た時に、そういえば塩味(えんみ)って、ある時期から急によく使われるようになったなあと以前から思っていた事を思い出したからである。
塩気(しおけ)や塩加減、しょっぱさみたいなものが淘汰され(とまで言うと大げさだけど)、
今は"えんみ"がだいぶ幅を利かせている気がする。食リポはある程度"型"のある世界のような気がするので、まあそういうものなのかと思った時にふと、自分の口から出ている言葉もまた"型"化してないかと気付いて、これを書くに至りました。

ちなみに、頭の中に浮かぶ独り言を辞書にしてみたら、なかなか分厚くなるような気はしますが、口汚い言葉とか下らないものがまあまあ多そうで、それはそれでどうなのだろうと思ったことも付しておきます。

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