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 どうしてもと君が言う時、僕の世界に、美しい海が広がる。水平線を柱にして、赤や黄色のビー玉が散らばって、足の裏に白い砂が、温度を持って溢れ出す。願いごとも、軽口も、約束に繋がるからだと思う。何かを契った思い出が、記憶の裏で色づいている。そしてそれは、見えないからこそ、あまりにも鮮やかだ。たった今目の前にいる、君の瞳よりも、ずっと。

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