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 全てが変わってしまっても、君の電話番号が変わらないのなら、僕はそれでいいと思う。水晶に映る景色が目まぐるしく変わっても、球体そのものはただただ透明で、静かにそこに存るだけで、そしてその水晶が、君だった。だから。だから、僕は空が青ければそれでかまわなかったし、何かひとつだけ、信じることができた。君の黒い髪と、茶色い瞳が青空になびく時の色、その色のことを、僕は今でも世界で一番、美しいものだと思っている。

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