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ウイルスの語源をおっかけろ!

さて、マガジン化していくつもりの、ホリスティック・エシモロジー(語源)シリーズなのですが、ある「視点」を持ちながら考察するからおもしろい、という部分があって、だけど具体例がないとその「視点」についてピンとこない、ってのがあり、悩ましいので、むりやりとにかく書いていきますね。「視点」についてもおいおい書いていきたいです。

さて、今日のエシモロジーは、今をときめくウイルス。

一般人の感覚では、なんでもアルコールをかければ死ぬので、「菌」と「ウイルス」の区別すらついていないのではないかと思うのだけども、

語源を調べてみると、かなり近代に造り出された言葉のようである。

First use in the computer context by David Gerrold in his 1972 book When HARLIE Was One. 
https://en.wiktionary.org/wiki/virus

めちゃめちゃ最近じゃないか、、
まさに、天体が発見されたらそれ以後にその天体の効果が発現する(トランスサタニアンは、発見される前は効果が存在しないとされてる)、的なものをウイルスに感じる、、

そして、語源探偵をやりはじめると、きわどい単語ほど必ずぶつかる「語源が追えない」現象。あるいは、こじつけの、変な由来に持っていかれる現象。今回もそれっぽいですね。

で、そのままで語源が追えない時にやる方法は、
私の中でルール化しており、それは「近い音で追う」です。

なんせ、子音はどれも、辿っていくとなんでもありになります。細かい使い分けは、後の時代で分離が進んだ後の現象で、根っこは、母音ベースのシンプルな音、それが言葉の変遷だと思っています。日本語は古い言葉だと言われるのも、母音ベースだから(その対極が、子音ベースのヘブライ語)。

で、ウイルスに近い音、、
そう、そもそも、英語で発音すると、ウイルスではなく「ヴィールス」「ヴァイアレス」みたいな音に近くて、どう考えても「ウ」ではない。
その延長で捉えると、violence(暴力)、音が近いですね。
意味が一見全然違うので「?」となるけれど、少しそこは我慢して進みます。

From Middle English violence, from Old French violence, from Latin violentia, from adjective violentus, see violent.
https://en.wiktionary.org/wiki/violence

からのviolens
From vīs (“strength”), as if from some diminutive *viola.
https://en.wiktionary.org/wiki/violens#Latin

つまりviolenceとは
From vīs (“strength”) +‎ -olentus (“full of, abounding in”).
https://en.wiktionary.org/wiki/violentus#Latin
力に満ちている状態、という意味に取れる。

vis というのは、「力」に語源がありますね。

私がなぜホリスティック・エシモロジーをやりはじめたのか、はまさに
「すべての病は力の副作用」という視点なのだけど、
ウイルスが、力と語源が似ているとするならば確かに腑に落ちる。

(病は力の副作用、については、別で解説記事書くので少し保留させてください)。

また、vis を追っていくと、次々、体育会系、力に満ちた世界のキーワードがいろいろ出てくる。

まずはrush、性急さ、急ぐ、殺到する、という意味があります。
あの「3密」な風景も思い出しますね。2022年では最早忘れ去られかけてますが、、

From Proto-Italic *wīs, from Proto-Indo-European *wéyh₁s (“force, vehemence”), from *weyh₁- (“to rush”). Cognate with Ancient Greek ἴς (ís, “strength”). See also via, invītus, invītō, Ancient Greek οἶμος (oîmos).
https://en.wiktionary.org/wiki/vis#Latin

それから、筋肉、もでてきますね。

ῑ̓́ς • (ī́s) f (genitive ῑ̓νός); third declension
1.force, power
2.muscle (of the body)
https://en.wiktionary.org/wiki/%E1%BC%B4%CF%82#Ancient_Greek

まずは、ウイルスの語源が、マッチョな体育会系の世界観、とわりと近い可能性がある、ってイメージが、頭の中に渦巻いていたら成功です。
これからまだ続くのですが、いったんここまで。

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