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Living, Loving, Learning #003

霊性がリーダーシップをとって、テクノロジーがそれに従うのが理想的です。しかし、今はその逆になっている状態です。だから人類はダメな方向に向かっていって、環境は破壊されているのです。
ー原子転換というヒント 久司道夫 よりー

手を動かしながら話をしていると、ほんとうにその時に無理なく、普段なら理解できないようなむずかしい話がするりとわかる、ということが結構起こる。

今日はたまたま、鍼灸の神様的な存在、沢田健先生のお弟子さんが、いろいろなエピソードを書き連ねている鍼灸真髄、をちらっとだけ読んでいたのだけど、沢田先生がなにげなく編み物をするというシーンがあって驚いた。

今の時代はこういった、身体と心が連動して、どんどん質があがっていくような成長、というものがほんとうにやりにくい。パソコンばかり向き合って仕事をしていると、どんどん自分がだめになっていく感覚がある。ひらめき力を磨こう、みたいな自己啓発本がいっぱいあるが、何のことはない、机に座る以外の、家事をやったり散歩をしたり楽器を弾いたりすれば嫌でも閃く。

手を動かしながら世界を捉えようとする過程で、心の内側に描かれていく設計図。うまく何か作品や制作物が完成し、写真に撮って「わあ素敵♡」とするより実はもっと、大切なことがある。
お手軽な達成感を犠牲にする方が世界が広がることもある。

内側に、内的秩序、内的ストーリーのようなものを描く手掛かりに、手を動かして何かする、ということが連動しているとき、人は生きた学びをしていると思う。心をからっぽにあけわたし、作業だけが淡々とつづいていくとき、人はテクノロジーの奴隷になっているだけかもしれない。

職人とアーティストの違いは、内からわきおこる想い、生きている間つむがれつづける、その人の物語と、何かしら連なりがある作品なのかどうなのか、なのかもしれない。だから、いくら同じものをたくさん制作したとしても、想いが込められていれば、それはアーティスト的な在り方なのだよな、と思う。



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