リルケの「秋の日」
九月になりましたね。九月になるとわたしが毎年暗誦するリルケの詩です。
「秋の日」
主よ、時節がまいりました。夏はまことに偉大でした。
日時計のおもてにあなたの影を置いてください。
そうして平野にさわやかな風を立たせてください。
最後の果実たちに、満ち満ちるようにお命じください。
彼らにもう二日だけ南国のように暖かな日をお恵みください。
果実らをすっかりみのらせ、重い葡萄の房に
最後の甘みを昇らせてください。
今家を持たぬものは、もう家を建てることはないでしょう。
今ひとりでいる者は、長くそのままでいるでしょう。
夜ふけて眠らず、本を読み、長い手紙を書き、
そうして並木路を、あなたこなたと
不安げにさまようでしょう、木の葉が風に舞うときに。
ー高安国世訳ー
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