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カタルーニャ地方・ジローナへ 〜スペイン一人旅日記〜

※このnoteは、2019年5月〜6月にかけてのスペイン一人旅の記録を振り返りつつ綴った旅日記です。

楽しかったアンダルシア滞在期間もあっという間に終わり、スリ未遂に遭った翌日、コルドバとお別れする朝がやってきた。

次の目的地は、バルセロナだ。コルドバから列車Renfeに乗り、バルセロナへと向かった。

その翌日は、大学時代の友人の友人、Dさんが地元カタルーニャを案内してくれることとなった。

旅の出発前、大学時代の友人に「スペインに行くんだ」と話していたら「バルセロナに友達がいるから紹介するよ」とDさんを紹介してくれたことがきっかけだった。

Dさんは日本が大好きで日本語も勉強中。早速事前にお互いの連絡先を交換したところ、「せっかくだから、車でしか行けないところを一日案内するよ」と提案してくれて、この旅が実現した。

当日はDさんと奥さん、Dさんの友達とわたし、総勢6人でバルセロナから車で2時間程のジローナへ出かけた。

異国の地で友達がわざわざ車で地元を案内してくれるなんて。これから何が始まるのか、ワクワクが止まらなかった。

車内で話をしている間に、あっという間に目的地に着いた。まずはPeratallada(ペラタヤダ)という、中世の街並みがそのままの残る小さな村を訪れた。

16世紀に造られたというその村は、まるでその時から時間が止まっているかのような街並みだった。村の真ん中には小さなお城があり、今はどなたか個人の方が所有しているそうだ。

建物は石でできている。元々は村の堀や要塞造りに用いる石で建物も造ったそう。確かに、村の要塞も街も茶色い同じような色でできていて、まさに中世にタイムスリップしたかのようだった。

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村の中にはアンティークのお店や雑貨屋、お菓子屋、ジローナのワインや特産品が買えるお土産屋さんにレストランもあった。村の中にはホテルや住居もあり、住んでいる人もいるのだとか。

ああ、土日やちょっとした休暇に車を飛ばしてこんな場所に泊まってゆっくり過ごせたら最高だろうな…と思いつつ、30分程歩いて村を散策した。

そうこうしているうちに、時計の針はあっという間に12時を過ぎていた。

日本なら「さあお昼ごはんにしよう!」と言いたいところだが、スペインでは昼食時間は14時〜15時なので、地元の人はまだ昼食を取らない。でもやっぱり小腹は空いてくるようで、「カタルーニャ人は週末のランチの前の時間、ベルベレチョとポテトチップス、オリーブをつまみにベルムットを飲むんだよ」とDさんが教えてくれた。

ベルベレチョとは、しじみくらいのサイズの小さな貝のこと。缶詰でどこでも売られていて、爪楊枝でつまんでちびちび食べる。ベルベレチョ…何だかカワイイ響き。

ベルムットは様々なハーブやスパイスを配合したフレーバーワインのこと。
週末のランチの前に「ベルムットしよう」と言われたら、ベルベレチョ・オリーブ・ポテトチップスをつまみにベルムットを飲み、ランチを待つ、という意味なのだとか。

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こちらがベルムットしている時の写真。それにしても、もう少し早く写真を撮っておけばよかった…

その後、小さな遺跡に立ち寄った後、車を走らせ海辺へ出かけた。

時間は15時を過ぎ、お腹がペコペコだった。早速、Dさんが予約してくれていたビーチに面したレストランでランチを食べた。

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小魚のフリット。シンプルながらとても美味しい。

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魚介がたっぷりのパエリアにイカスミのパエリア。見た目がなかなか豪快ですが、特にイカスミのパエリアは海の旨味がたっぷりで本当に美味しかった…

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カタルーニャ地方の名物、山羊のチーズに蜂蜜をかけたデザート。チーズはヨーグルトのように柔らかく、食後にさっぱり頂きました。

食事中はみんなと色んなことを話した。仕事の話、日本の話、バルセロナの話…。わたしは英語もスペイン語もまだまだたどたどしいのにみんな一生懸命耳を傾けてくれた。

初対面にも関わらず、こんなにも良くして下さるなんて、なんとありがたいことなんだろう。スペインの人はおしゃべりが大好きだ。みんなでたくさん話してたくさん食べて飲んで、ただそれだけなのに、みんなの楽しそうな表情を見ているとわたしも幸せな気持ちになる。

ビーチには日光浴を楽しむ人々で大賑わいだった。日本だと、日焼けや肌の露出を気にして海へ行かない人も多い。だけど、ここでは誰もそんなこと何も気にしていないようで、老若男女問わず大勢の人がはしゃぎまわって泳ぎ、ビーチに気持ちよく寝そべってリラックスしていた。

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みんな、とにかく気持ちよさそうだった。その姿を見ているとわたしも海に入りたくてうずうずしてきた。自分の体型や日焼けなんて、どうでも良くなっていた。体型は人それぞれ違うのだし、ちょっとくらい日焼けしたって良い。この美しい海を目の前に、日光浴も海水浴もしないなんて、なんともったいない!

それまでの人生、10代から今まで暑いのは苦手で海やプールとは無縁だったのに。自分の価値観が、旅を通じて変わっていった。

食後は海を見ながらのんびり散策した。海沿いには白い家々が建ち並び、人手も多く賑やかだった。一体どこから人が集まってくるのか、Dさんに質問してみた。すると、どうやらこの地域は特にフランス人に大人気で、バカンスで過ごす人も多く、別荘として家を所有している人も多いのだとか。

なるほど、フランスとカタルーニャ地方はお隣でアクセスも良いし、EU同士だから行き来もしやすい。いいなあ 涙。まさに、憧れの暮らし!!

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入居者募集の広告も、ちらほら目に入った。どんなお金持ちが住むのだろう…

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たくさん歩き話しているうちに、あっという間に時間は過ぎていき、Dさんの運転でバルセロナ市内へ戻り、長くて楽しい一日が終わりを迎えようとしていた。

わたしはDさんのお土産にと、京都・丹波産のワインをこの日のためにスーツケースに忍ばせていた。当日はDさんの車の中に見つからないように置いておき、別れるタイミングで「今日はありがとう!」とプレゼントした。

Dさんも奥さんもとても喜んでくれて、それが心から嬉しかった。

「みんながわたしを心から歓迎してくれて、わざわざ貴重な土曜日に一日付き合ってくれたと考えたら、お礼はワインだけでは足りないよ…。」そう伝えたら、「SAYURIはわざわざ日本からワインを持ってきてくれたんでしょ。重いのにありがとう。その気持ちがとっても嬉しいよ。」と返事が返ってきた。とても嬉しくて、別れた後、一筋の嬉し涙がこぼれた。

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それからというもの、Dさんと大学時代の友人、わたしとで今でも時々近況報告をしている。またいつか、パートナー・家族と共にカタルーニャを訪れてDさんに会いたい。その時までお金を貯めて、元気に生きなければ。


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