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”Supernova”PL第1節 チェルシー(H)vsクリスタル・パレス(A)

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 EURO、東京五輪とこれまた激熱なシーズンオフを終え、とうとうプレミアが帰ってきました。チェルシーの今オフの動向をまとめると、主力の慰留にほぼ成功し、かつFWロメル・ルカクを推定9750万ポンド(約149億円)で獲得(おかえりルカク)。第3GKとしてマーカス・ベッティネッリをフルアムから補強し、その他は全員レンタルからの復帰となった。退団としては、GKカバジェロをはじめギルモア(→ノリッジへレンタル)、ジルー(→ミラン)が昨季のスカッドから退団。既にレンタル移籍していたトモリ、ファン・ヒンケル、モーゼスがそのまま完全移籍へと移行しました。今後新戦力獲得はなさそうですが、FWエイブラハムには依然としてASローマからの引きが強く退団の可能性も。ディールが成立すれば移籍金4000万ユーロ前後を見込まれていて、生え抜きと言えどFW3番手を売却するには十分すぎる金額を手にするかもしれません。

 ちなみに今節対戦したクリスタル・パレスにも2選手移籍(!)。うち完全移籍のDFグエヒは先発にも名を連ねています。グエヒは昨季チャンピオンシップのスウォンジーへとレンタルされており、40試合に出場して定位置を確保。移籍金は2000万ポンドとされていますが、パレス先生太っ腹にもほどがある気が????期待の若手ながら、トップチーム定着が難しかった若手銘柄を30億円で売り飛ばすグラフノスカヤの姉御の手腕も天晴。2人のうちのもう片方、MFコナー・ギャラガーはレンタル契約で入団しています。

 チェルシーはリーグ開幕に先駆け、11日にUEFAスーパーカップをEL優勝ビジャレアルと対戦し勝利、今季初タイトルを幸先よく奪取しています。CL優勝のスカッドをそのままに、EUROを制したイタリア代表組も残留。ラストピースとも言われるルカクを手に入れ、順風満帆な出足を切ってくれました。とはいうものの、中2日でリーグ開幕戦を戦う以上ターンオーバーは不可欠。挙句11日の試合ではカンテとシエシュが負傷離脱(ふぁっく!!)し、先発は5人を入れ替えています。それでも十分豪華な先発なんだけれどね。えっへん。特筆すべきがスーパーカップに続いてCBの先発に名を連ねたトレヴォー・チャロバー(22)。スーパーカップでも先発起用に応えて素晴らしいパフォーマンスを発揮し、恵まれた身体能力と柔軟な足下の技術を遺憾なく見せつけてくれました。そしてリーグ開幕でも先発すると、競り勝つわカバー速いわボール運べるわ蹴っ飛ばせるわ挙句弾丸ミドルで3点目奪いとるわでMOM級の働き。やべぇよまたスーパースター候補生出てきちゃったの?得点後、敵陣付近でボールを持つたびに観客から「SHOOOT(打て!)」って叫ばれてたのは流石に草。あんたら好きだなそのノリ。ちなみにナサニエル・チャロバー(ちょっと前までうちにいた現ワトフォード)は彼のお兄ちゃん。兄弟そろって有望株だったのね君たち。

 新監督パトリック・ヴィエラが就任したパレスはなんと噂では堅守速攻からマイボール保持を中心としたモダンなチーム作りに着手したとかなんとか。おそらくそれは試合から観ても事実ですが、まだまだ建設途中もいいところ。設計図はできたものの現場レベルでの落とし込みが~、って感じなのかもしれません。

新生パレス爆誕!かと思いきや流石に急ごしらえ?

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 チェルシーは昨季に続いて3-4-3を採用。コヴァチッチ&ジョルジーニョを極力近い位置でプレーさせ、ポジションチェンジはWB・3トップの間に留まる布陣を敷いた。

対するクリスタル・パレスは攻守可変システムを採用してきた。

攻撃:4-3-3

 アンカーのリーデヴァルトを中心にパス交換してボール保持を目指す。

守備:4-4-2

 ザハ&マテタで2トップ化。アイェウとシュルップをSHに置く。

 「守備のソリッドさはクラブの伝統そのままに」「攻撃はダイナミックに」といったコンセプトを感じる戦い方だ。ヴィエラ監督は就任会見で攻撃志向について言及していたらしく、前クラブでもポゼッションに取り組んでいたと。実際キックオフからパレスはマイボールを蹴っ飛ばさず繋いでいたことから、彼らは「ボール保持」をテーマにしている可能性は高い。

まずは パレスの攻撃 / チェルシーの守備 について。

 アンカーのリーデヴァルトに預けた後のアクションは大分手探りで、彼経由の攻撃ルートが露呈するとハイプレスを喰らってロスト多発。試合通してチェルシーのハイプレスに捕まり、そもそもボールをどこで落ち着かせるかを見出すことが出来なかったのが悔やまれる。

 ボール保持困難とみるや最前線のマテタ、ザハに預けて起点化を試みるもチェルシーCB⇔ボランチの挟撃に遭いこれまたキープできず。CBが挟撃に出遅れるとジョルジーニョが鬼の形相でブチ切れていたので、チームとして狙っていたんだろう。いやほんとすんごいキレてた・・・・・。

とにかくチェルシーのプレスがハマった試合。リュディガー、チャロバーが対人戦でほぼ負けなかったのも良かった。肉体自慢のマテタ、ザハ、ベンテケらに数少ないチャンスが訪れようと、最後まで体を張った彼らあっての無失点だったと思う。

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続いて チェルシーの攻撃 / パレスの守備 について。

ぶっちゃけパレスはこっちのが問題だった気がする・・・というのも、大外で高い位置を取ってくるチェルシーWB(orシャドー)に対してかなりフリーで放置していて、彼らにフィードが入るとSBが釣り出される→ハーフスペース走り込まれてニアゾーン強襲される____を繰り返しまくったから。「大外誰がいくねん問題」と言えばいいのか、守備時におけるSH(アイェウ、シュルップら)の立ち位置をどこに設定して誰につかせるのか整理してもよかったのかも。

 26分にアロンソが直接FKを突き刺して先制するのだが、そのFK自体ハーフスペースを活用してドリブルを仕掛けたマウントが倒され獲得したもの。32分にチャロバー→マウント(大外)→アスピリクエタ(ハーフスペース)からビッグチャンスを創り出すと、40分に同様の形からマウントがアスピとのワンツーで抜け出してクロス____こぼれ球をプリシッチが詰めて2点目奪取。ハーフスペースを散々使われ、高い代償をパレスは払ってしまったなと。でも流石に6バックするのも非現実的だし、4-4-2守備を準備してきた以上は序盤から変えて監督への求心力失いたくないだろうし・・・と思うとしんどい。57分にヴィエラ監督は布陣変更に舵を取るのだが、そっちのが割とまぁポジティブだった気もするけれど、実行したコンセプトは昨季までのパレスだった感あるのでうーん・・・・いやそれ以上はいけない。

 守備時のパレス2トップ(ザハ、マテタ)もカバーシャドウでとにかくチェルシーのボランチ消すぜ!を目指したのだが、チェルシーの3CBが持ち運ぶと彼らが対応に追われるのが悩みどころ。リュディガーorチャロバーが2トップの脇から運び始めたので追いかける→カバーシャドウ解除→クリステンセンに戻してダイレクトに縦パス→ボランチにボール到着で難なく前進できた。ザハのあの「もう嫌じゃ・・・」って顔が全てを物語っていたか。前にいてもボールが届かないので4-3-3崩壊しかけたのは同情したが。

ヴィエラ監督、起死回生5-3-2の一手

 さすがに2点リードされた挙句試合のコントロール権まで握られて苦しいアウェイチーム。痺れを切らしたヴィエラ監督は選手交代と布陣変更を決断し、ゲームが動き始める。

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 守備時はハーフスペースを5バックで埋めて対応、攻撃時は大外をWBに上がらせて役割整理と割といいことずくめだったこの判断。どうしても3CHの中盤が手持ち無沙汰というか、何をしようか明確にできなかったのはプランB習熟の時間がなかった為だと思われ。ていうか就任間もなく、新しいクラブカラー構築に着手してプランBまでどうにかできる監督は地球上に存在するのかどうか。

 とにかく前線のどこに誰がいるのか、ていう辺りを整理できたのは大きいもので3CB真ん中に入ったアンデルセンも鋭いパスをミッチェルに通していたし、リーデヴァルトも持ち前の展開力が復活。中盤での数的有利構築も大きかったと思われる。ただ、ただね?ロングパスで前線で起点作ってアタック!してくるクリスタル・パレスは既視感しかない気も・・・?あれ・・・でもザハもベンテケも活気づいてる・・・これでいいのか・・・これでいいんだな!革命は始まったんだ!

超新星、チャロバー

 いやまたとんでもねーのが出てきましたよ皆さん。贔屓目ぬきに、スーパーカップ、この開幕戦と素晴らしいパフォーマンスを見せたことに疑いの余地はない。スーパーカップでは時折ミスこそあったものの、身体能力を活かした対人戦やクリアは見事。フィード能力も申し分なく、大外に届けるパスは低弾道、ハイボール問わずピタリと着弾。こんなん(U-21カテゴリー扱いは)いかんでしょ。お兄ちゃんもやばかったけれど、この男のプレー、スケベすぎる。

 57分に布陣変更で態勢を整え反撃にでようとしたパレスだったが、その直後にチャロバーの弾丸ミドルで3失点目。逆サイドからフリーの状態で受けれたとはいえ、落ち着いて運んであの地を這うミドル打てるのはずるいっしょ・・・・。セレブレーションで皆が「ようやった!!」と褒め称えるように頭叩かれまくってて笑ったが、きっとトレーニングでも全員から実力を、その将来性を見込まれていたのかもしれない。あぁなんて素晴らしきチェルシーのアカデミーよ。

次節、アーセナルとのビッグロンドンダービー

 快勝を収めた開幕戦、次節はこれまた熱いアーセナルとの一戦だ。アーセナルの開幕戦は昇格組ブレントフォードに敗北。結果もさることながら、所々で聞こえる「なんかこのアーセナル昨季も観たゾ」が悲痛さを物語っているのかもしれない。スミス=ロウとロコンガだけでも試合観る価値感じたんですけどね、個人的には。スミス=ロウ、なんか間違ってうちこねーかな。ダメだアシュリー・コールの時以上に揉めそうだ・・・・。

 トゥヘルが頭を悩ませているとすればWBのチョイスかなと。右WBはジェームズ、ハドソン=オドイ、アスピリクエタ。左WBにはチルウェル、アロンソ、エメルソンとリーグ屈指の充実度。てか充実しすぎじゃ。エメルソン辺りは以前から退団が噂されていたものの、EUROで優勝したし下手に安い額で売り飛ばすくらいなら手元に置いて様子見たいのかも。今節アロンソが文字通り無双してくれたので、チルウェルもうかうかしていられない。先制点のFKで相変わらず彼のプレースキックは芸術品なんだなと感じたし、上がるタイミングが絶妙すぎてウォードを過労死ラインすれすれまで追い込んでたレベル。てかウォード可哀想やで。散々走らされた挙句の後半に「WBやって縦に駆け抜けろ!奪われたらアロンソについてけ!(アロンソは”攻撃参加毎に体力5%回復"スキル持ち)」をフルタイムできるのは鉄人カイル・ウォーカーくらいっす。

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