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かつて立っていた場所

3時間しか寝ていない。寒すぎて、ずっと布団で寝ていたいと思う。重すぎる身体になんとか力を入れて起き上がり、準備をする。全然寝れていないから、頭は冴えているけれど、ぼーっとしている。
準備を済ませて自転車を漕ぐ。前に進まないし寒いし人は多いしで、ちょっと泣きたくなる。バス停に着き、バスに乗り込む。運転手さんがすごく丁寧に言葉を紡ぐ人だなと思った。ほっとした気持ちが広がりながら、これが本心でありますようにと願う。ある時から、働く人が何を思っているのだろうとすごく考えるようになった。彼らの感情や想いは見えないのだけれども、私に向けてくれた笑顔や言葉がせめて無理して出したものではありませんようにと願う。

友人とやりとりをしていて、着くのぎりぎりになりそう、どうしようと1人で焦る。この直前まで見通しを持って動き出せない自分の癖にうんざりする。バスがちゃんと予定通り着きますようにとハラハラした気持ちで乗っていたら、知らない内に眠っていた。バスが着きそう、時間に間に合うかなとまた直前でハラハラし出したら、運転手さんが「バス内の忘れ物のトップ5を発表しまーす。」と言っていて、気が緩んでしまった。素敵だと思ったことを伝えたいな、と思ったのだけれども、そんな時間がなく、後悔する。
急いで走って駅のホームに向かったら、ひとつ早い電車に乗れた。埼京線、戸田公園駅はやっぱり落ち着く。あの時の自分が蘇ってくるようで、少しあの時の自分に思いを馳せる。埼京線で前の席に座っていたおばあちゃん達がすごく楽しそうにお話をしている。

戸田公園駅に着き、友人と合流してバスを待つ。元インターン先に着き、少し緊張しながらもドアを開けたら、たくさんのスタッフさんたちが出迎えてくれる。「彩、大丈夫?」と聞かれ、涙が溢れそうになる。なんとか耐えて、私が大好きだった顔を見つめる。彼女に会うと、なぜこんなにも気持ちが揺れ動いて、弱い自分でいることができるのか分からない。
友人と戸田公園駅に向かい、ドトールで話をする。戸田公園駅には思い出の痕跡が至る所にあって、実家の最寄駅よりも私にとってはホーム、と感じる駅だ。みんなからもらったかわいいくまさんのケーキも見つけた。たくさん話していたら時間があっという間にきていて、びっくりする。彼女に今日また会えて、話すことができてよかったと心から思う。「たくさん考えすぎてしまう、人のことを考えすぎてしまって苦しくなるのも彩だよ」最近話す人みんなにそう言われている。私の深いところに残っている言葉。

彼女と別れて、急いで駅に向かう。すれ違うお母さんたちが子どもを叱っている。お母さんも、子どもも必死で今を生きていると思った。急いでゲストハウスにチェックインし、待ち合わせ場所に向かう。滑り込みで2分前に到着して、「よし、遅れずに間に合った!」とドタバタだった今日の最後のタスクはなんとか完了。彼とも話し込みすぎて、時間があっという間に経っていた。彼は私にはない視点を持っている人で、それが面白く、いつも聞き入ってしまう。私の現状を話しても、私はもうあまり傷つかないんだな、とふと思った。
彼が私を尊重してくれているのを感じる。私たちの関係性は変わっていったけれど、それでも、関係性を築いていく意思があること。彼が何を思っているのかは分からない。それはきっとずっと分からない。そしてそれでもいい、と思う。ただ、今日の夜話せたこと、一緒に過ごせたことはきっと忘れない。

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