奏で

4月の上旬、自粛が始まりかけたときに
ビブラフォンの山本玲子さんと、中止になってしまったライブの代わりに、何かやりたいねぇと電話していて。

ちょうどその時、星野源さんの
うちで踊ろう、をみんながカバーしてるのが流行っていた頃で
なんか、みんなで演奏するのってやっぱり素敵だね、早く一緒にまた音を出したいね、って話をしていた。


レッスンの仕事も、対面は出来なくなり
オンラインでのレッスンを開始していた頃。
全ての生徒さんがレッスンをオンラインに切り替えが出来たわけでは当然なく
やはり、経済的な理由だったり、家庭の事情だったり
音を、声を出すことができない人もたくさんいらっしゃった。


誰かと一緒に、音を奏でていたことはこんなに貴重なことだったのだって
ライブ感の尊さに改めて気づかされた。


どうか、今一緒に音を出すことができなくても、
また誰かと一緒に、
そしてまた誰かが音楽ができるようになりますように、

そんな気持ちが湧いてきて、電話を切って
5時間で、歌詞まで一気に完成させたのが
この「奏で」

今まで、曲を作っていた時というのは
なんか、私の私利私欲な、エゴな気持ちを
放出して、それが勝手に誰かに響いてくれたらラッキーだな、くらいに
時に傲慢さも持って書いていたことを

曲ができた瞬間、初めて思い知った。

というのも、自分のエゴじゃなくて
本当に誰かに伝えたい、与えたい、誰かが歌ってくれてもいい、誰かの音になって欲しいと、
自分をこんなにも切り離して曲が空に浮いた感覚になったのは、初めてのことだったから。

その誰かは、みんながみんな、前向きに生きてられないだろうとも思ったし
私だってその誰かの時もあって
マイナスな感情や、悲しい思い、痛みも
抱き抱えよう、って愛情が溢れたので
辛い言葉も口にしてあったかい言葉にして消化してみた。


曲が完成した瞬間、
自分で言っちゃうんだが名曲できた!と確信したので笑、すぐさま
大事な友達たち、ミュージシャン仲間に、
できたー!
一緒に歌ってーー!!!
演奏してーーー!!!!!!
って
個人営業をかけまくった。笑


譜面を作ってくれた友達、オケを作ってくれた友達、弾き語りで動画を出したら、私の周りの何人かのボーカリストもカバーをしてくれた。


もう、私の曲なんだけれど私だけのものじゃなく
みんなの曲になってる感じが幸せだった。

そうか、こうやって曲って育つんだなぁと。
与えるって、結局返ってくるのだなぁと。






そんなわけで。

東京都の文化支援事業アートにエールを!に
guitar福冨博くんにプロデュースしてもらって
バンドバージョンで完成させました。


メンバーは
vocal & piano 土屋絢子
guitar 福冨博
Vibraphone 山本玲子
Electric bass 伊東佑季
Drum 則武 諒



譜面ができた時の、高揚感とか
大事な人に曲を伝えられた時の興奮とか
そして友達たちが共有してくれた喜びとか
早く誰かとこの曲を歌いたいと願った気持ちとか

多分、ずっと記憶残るのだろうなーと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?