消化器内科医 あや かわうそ

消化器内科医。消化器病学会専門医。炎症性腸疾患(IBD)について、ゆるゆる書いていきま…

消化器内科医 あや かわうそ

消化器内科医。消化器病学会専門医。炎症性腸疾患(IBD)について、ゆるゆる書いていきます。 記載内容は所属とは無関係です。

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潰瘍性大腸炎の治療のゴールって何だろう?お医者さんと患者さんのすれ違い。(粘膜治癒と組織学的治癒)

1.潰瘍性大腸炎の治療のゴールって何でしょうか? 炎症性腸疾患の治療や、病気との付き合い方について医師と患者のギャップを示したGAPPS survey1)という、アメリカの研究があります。この研究では、潰瘍性大腸炎治療のゴールとして、医師の15%が重要視している「内視鏡的組織学的治癒」を、同様に治療のゴールと考えている患者さんは3%しかいません。同じ論文の中で、「粘膜治癒」という言葉を知っている患者さんは潰瘍性大腸炎で36%に過ぎなかったことが示されています。一方で、患者さ

    • バイオマーカーについて(カルプロテクチンとか、LRGとか、CRPとか) 1.総論と便中マーカー編

      炎症性腸疾患の患者さんの場合、通院の際に、病院で血液検査や便の検査をすることが多いと思います。病院でもらう結果表には、血液検査だとCRPとか、LRG,便だとカルプロテクチンや便潜血などの結果が書いてあるかもしれません。これらは何のための検査なので、どういったものなんでしょうか? 1)まずは、Treat to Targetとバイオマーカー 炎症性腸疾患(IBD)の治療で、現在主流になっているのがTreat to Targetという考え方です。これは、臨床症状(腹痛とか下痢と

      • 妊娠中の検査に関して(主に内視鏡などの画像検査)

        妊娠中の画像検査についてお話しします。初めに、妊娠中のみならず、全ての検査において言えることですが、検査には検査によって得られる情報などの利益と偶発症などの不利益があり、天秤にかけたうえで、必要性が上回るときに検査を行います。もし、あなたが、妊娠中に、主治医の先生に内視鏡を行いましょう。と言われた場合、主治医の先生もかなり悩まれたうえでの決断だと思います。不安も多いと思います。基本的には、主治医の先生とよく話し合って、ご相談されてくださいね。今回は、以下の検査について書きます

        • リンク集(2)医療機関・公的機関および医療者編

          医療機関や、公的機関および医療者も情報を発信しています。ぜひのぞいてみてください。ほんの少しです。もし情報をお持ちの方は、教えてください(*´ω`*) 【難病情報センター】 http://www.nanbyou.or.jp/entry/62 おなじみの?難病情報センターによる潰瘍性大腸炎の説明ページ。潰瘍性大腸炎以外の指定難病に関しても非常に詳しく説明されています。 【厚労省研究班による患者さん向け資料】 厚生労働省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班」による患

        潰瘍性大腸炎の治療のゴールって何だろう?お医者さんと患者さんのすれ違い。(粘膜治癒と組織学的治癒)

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          妊娠を希望されている、炎症性腸疾患(IBD)の患者さんへ(はじめに)

          今、このnoteを読んでくださっている方の中には、妊娠を考えておられる方もいらっしゃるかもしれません。あなたが、潰瘍性大腸炎やクローン病であっても、病気が落ち着いてさえいれば、基本的には、IBDではない人と同じように妊娠、出産をすることができます。でも、いろいろなサポートや、注意が必要です。主治医の先生とよくご相談されて、ご自身の不安もお話しされて、計画的に妊娠をなさってください。  一番大事なことは、病気が落ち着いている。ということです。不安でも、ご自身の判断で、お薬を飲

          妊娠を希望されている、炎症性腸疾患(IBD)の患者さんへ(はじめに)

          IBDに関するリンク集 企業・患者会編(1)

          IBDに関してたくさんの人、団体などが情報を発信しています。とても分かりやすく作られたホームページがたくさんありますが、バラバラで探しづらいのでまとめてみました。IBD全般の情報から、治療、医療費の助成のこと、イベントのお知らせなどもあります。時々、のぞいてみてくださいね。まずは企業、患者会などによって運営されているページからご紹介します。 【情報一般】  1. https://ibd.qlife.jp/  医療情報サイトQlifeが監修しているサイト。IBD患者さんの様々

          IBDに関するリンク集 企業・患者会編(1)

          炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)とその周辺について。。

          初めまして。あやと申します。東京で消化器内科医をしています。消化器病学会の専門医です。 消化器全般と炎症性腸疾患(以後IBDと書きます)について勉強をしています。 IBDの患者さんのほとんどは、年齢の若い時に診断をうけて、病気と長く付き合っておられます。ご自分の病気のことをとてもよく勉強して、病気とうまく付き合っておられる方もたくさんいます(*'ω'*)そんな患者さんたちの中には、もっと新しい情報を得たい、もっと勉強したいと思っておられる方もいらっしゃると思います。  

          炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)とその周辺について。。