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中医学で尿から体質鑑別。更年期からの尿漏れケア

毎日、朝起きては排泄する習慣は、娘のルーティンにするまで一苦労。
おむつの卒業をする過程で尿チェックをする習慣が付きました。

おむつから成長して自発的にトイレに行けるようになるまで、
人間は膀胱と脳の連携がとれないと、おむつを卒業できません。

今回は乳幼児のおむつの卒業でなく、
大人のおむつへ移行していかないために、
成長というより老化の観点から尿を考えてみます。

とくに更年期の悩みに多い尿漏れのケアについて中医学の考え方をお伝えしたいです。まずは尿で体質診断のヒントになることからお話します。

尿の色・量


色が薄く透明・量が多い・・・寒証
色が濃く、量が少ない・・・熱証

体質や症状を寒熱を見分ける際に、尿の状態を問います。
上記のように簡単に判断できます。

尿量の異常

以前より量が多くなった時・・・多尿
①症状で口の渇き、多飲、体重減少なら中医学で消渇といい、糖尿病を疑います。八仙丸などの漢方薬が選ばれます。

②色は透明、寒気を感じるなら、体が冷え切った虚寒証です。
冷えてむくみを感じる腎陽虚(腎の温める陽気の不足)も頻尿を伴って多尿で透明です。加齢や冷えにより頻尿になっている症状です。
腎を温める八味地黄丸などの漢方薬が選ばれます.

以前より尿が少なくなった・・・少尿

①色が濃く、熱感もあるなら、熱盛傷陰といい、高熱を出している時の尿の状態です。まずは解熱をすべきです。

②大量の汗や嘔吐の後、量も少なく色も濃く、体液を消耗した時の尿の状態です。消耗した体液を補給しすべきです。

①②の場合、救急の対策をされてから漢方薬は麦味参顆粒(生脈散)で回復を高めます。

③色は透明で体のむくみもあるなら、水湿内停といい、体の湿気が溜まった状態です。体に溜まった湿を追い出す利湿作用がある五苓散などの漢方薬が良いです。

回数の異常

頻尿
年齢とともに感じる頻尿は老化と関係しますが、
膀胱炎などの急性病でも同じ症状があります。

①量が少なく濃い、尿意急迫(急に尿を排泄したくなる)
体にこもる熱があると尿は濃く少なくなるとして、中医学で下焦湿熱といい、下腹から下半身に湿熱が停滞しているとします。

湿熱は尿から排泄すべきで漢方薬の竜胆瀉肝湯や漢方茶の五行草茶なども使います。

②量が少なく、尿意急迫、尿しぶり、排尿痛があると、中医学では琳証といい、尿路結石、膀胱炎などの症状です。猪苓湯などの漢方薬を使います。

③余瀝(排尿後に尿がしたたり落ちる)、夜間多尿、色は透明で、さらに尿失禁まであることも。中医学で腎気不固といい、子供のおねしょや精液の漏れ、老化現象でも見られます。
漢方薬では八仙丸や八味地黄丸などを使います。(詳しくは後の排尿障害で)

④頻尿で便は乾燥した感じがあれば、
中医学で脾約病といい、脾気虚という胃腸の虚弱があり、
排尿が多く大便へ水分が行かず便秘となり、
脾を強める腸活が良いと考えます。食事や睡眠などの生活習慣の見直しが必要です。

排尿障害、排尿困難

尿閉(排尿したくても出ない)、下腹の張満がある場合、重度の結石や腫瘍が考えられます。救急対応が必要です。

ただ、加齢により排泄する力がない、腰が冷えてだるいなどは、中医学で腎気不固で、補腎で精をつけるものが良く、亀板・鼈甲の漢方薬や八味地黄丸、腎馬補腎丸などの補腎精の漢方薬が根本治療になります。
さらに固精・固渋作用のある生薬を追加します。
次の尿漏れケアで具体的な生薬をご紹介します。

中医学の尿漏れケア

尿漏れパットのCMを見て、本当にお悩みの方が多いなあと思います。
トイレが間に合わない、くしゃみなどで尿漏れしてしまうという方は特に経産婦さんや更年期の女性に多いと思います。

骨盤底筋のトレーニングをされたりする方も多いかと。

実際、骨盤底筋のゆるみや膀胱の筋肉が硬くなり尿の貯留が少なくなることは加齢によります。

中医学では尿漏れの原因は腎・膀胱の衰えと考えます。上記の腎気不固の原因です。

腎は尿を生成、膀胱は尿を溜め排泄する機能ですから、腎・膀胱の協力関係が合って円滑にいかないと尿漏れへ。

まず補腎精で腎の精を強め、膀胱の力も高め、漏れないように固渋収れん作用のある漢方薬を合わせていくことが尿漏れ対策の根本治療となります。

固渋とは漏れないように固めておくというイメージで、収れん作用のある生薬が良いとされます。

例えば
桑螵鞘(そうひょうしょう)という かまきりの卵鞘。
他に蓮肉(れんにく)という蓮の種子。
六味丸という補腎薬にも入っている山茱萸(さんしゅゆ)はミズキ科のサンシュユの熟した赤い果実です。

これらの生薬は酸っぱく渋い味で、収れん性があり、漏れを防ぐものです。
漏れは尿だけでなく汗・オリモノ・精液・不正出血などの漏れにも応用されます。

密かな悩みですがとても多い悩み

日本では補腎薬や固渋薬はあまり浸透していませんが、中国では当たり前に更年期対策として服用される漢方薬です。

中医師(中国の中医学専門の医師)が日本のCMを見て、これほど悩む人が多いのに薬がないのかと驚き、日本に取り入れて欲しい漢方処方だ感じ、近年に健康食品として、収れん固渋薬が発売された経緯があります。

尿もれは加齢により男女とも抱えやすいお悩みです。
対策があること、そして補腎薬や収れん固渋薬の存在も知られてほしいと願います。

補腎薬を体質に合わせて選択して、収れん固渋薬を合わせるという対策をされて、夜中の頻尿が減り、ゆっくり眠れるようになったという方がいらっしゃいます。

同時に頻尿も落ち着いて、アンチエイジングにもなって、心も体も元気になってトイレの悩みから解放していただきたいです。














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