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（承前）

セラピスト（以下太字）「ボーラさんは何で錬金術をしているのか分かりますか？」

「え、なんで他の人はしないのかがわからない」と彼は言っています。なんでこういうことに興味を持たずにいられるのかそれがわからないって。だって生まれたり最後死んだり病気になったり歳を取ったり不老不死とか興味がないほうがおかしいでしょ、て言ってます。

「他にAさんにメッセージはありますか？」

多分これ以上この人からは出てこないですね。だいぶ特殊な人、本当に、自分にだけ集中する人。時代や環境が良かったこともありますが、この人は本当に、自分自身に集中していられる人で、外から惑わされることのない強い人でもあるし、恵まれた人でもある。なかなかここまで自分から目をそらさないでいられる集中力は凄いなぁと思う。こうありたいものだと。本当に集中しちゃうと楽しいかどうかなんて、どうでもよくなるんだなぁって。今社会的に、評価されるかどうかとか。そんな事はどうでもいいと。そのぐらい集中している人なんだなぁって。まぁそれは、エリンみたいにそういうことに集中しようとしたら、途中で妨げられてしまう人生もある。本当に運と巡り合わせの違いもあるけれど、この2人は本当に対照的だなぁと思います。全然違う。だから同じものに興味があったとしても、生まれ落ちた時代や環境によって、それが何の問題もなく、開花する人もいれば、それに取り組める人と、そうじゃない人というのが、完全に白黒はっきり分かれる。エリンは分かっていたので、出来る限り隠れてやっていたけれど、それでも見つかってしまった。ボーラのほうは全く隠す必要もないし、周りからも責められないし、そのかわりたいしたお金になるとか、そういう事はなかったみたいだけれど、彼は結構裕福な家の人なのでそういうこともできた。でも、彼は、彼が残した研究の結果をエリンは、どこかで読んでいるから、時代も国もまたいでいるけれど、エリンはちゃんと受け継いでいる。

「エリンさんは、ポーラをすごく尊敬していると言う事だけれど、ボーラは、今のAさんの人生に何か関係していますか？」

うん、私（Ａさん）もあんな風に生きたいです。今の自分も、ああいう風に、他人が何を考えているかとか、これは役に立つのかとか、社会的に評価されるかとか、そういう事は全部度外視して、そんなこと思いつきもしない位、自分に集中する。ああゆう風に私も生きたい。ものすごくそう思う。羨ましくて仕方ない、あの集中力が。集中力と言うのは、自分の興味と、自分自身のしたいことに対する集中力。それが社会的にどのぐらい価値があるかとかお金になるかとか、そんな事は一切無視。そんなこと気にしたこともないというか。あの集中力、その集中できる環境もだけれど、羨ましいですね。

「じゃぁ当時のエリンさんが、憧れていた人物は今Aさんの憧れの人物でもあるんですね？」

うん、そうですね。目標とすべき。目標となる人物。

（続く）