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気がつけば..の話

時が経つのは案外あっさりしているもんで、大学2年生の前期も半分が過ぎてしまった。地元の友達の話を聞く限りでは、全部の授業をzoomでやっている私の大学はまだ良心的と言えるのかもしれない。ビデオ観るだけ、とか、課題が出て終わり、とか、そういう話を友達から聞いた時は単純に可哀想だと思った。

スーパーの七夕の短冊コーナーには、「早くコロナがなくなりますように」だの、「早く普通に戻りますように」だの、大人の顔色を伺うような面白みのない文章が並んでいてなんか複雑な気持ちになる。複雑な、と書いたものの、実際の感情としてはやはり可哀想だというのが1番にあると思う。

人のことばかり気にしていないで自分のことを考えてみろと言われれば、たしかに世の中のこういう状況で普通なら出来たことが難しくなっていてやはり可哀想だと思う。しかし、今年が大学2年生で良かったとも思う。1番人生の選択肢として重要でないポジションな気がするから。交友関係が広いわけではないが分からないことがあった時に頼れる友人がいて、なんとなく授業の進め方がわかっていて、ソフトも全くの初心者では無くて、就活やらなんやらに直接関わっている訳でもない。自分はすぐにネガティブな方向に考えてしまうので、他の友人がもっと将来のことを考えて行動しているのを目の当たりにすると「自分は何やってんだ」と悩んでしまうし、とにかく些細なことで病んでしまう。おぼろ豆腐メンタルと呼んでいるくらいだ。普通に生きてるだけでめちゃめちゃ偉い。まじでそう思う。


先日、とは言っても2ヶ月前のことだが、20歳の誕生日を迎えた。実家に帰ることができなかったので、虚しい一人の誕生日だった。20歳になったその瞬間は何をしていたのかと考えてみると、地元の友人とテレビ電話をしていた。しかも彼女は私が今日誕生日だということを知らない。深夜2時を過ぎて眠くなってきた頃に、実は今日が誕生日なんだということを知らせておいた。「えっじゃあ○○が一番のりだねっ!」 何ともお気楽なもんだ。

夕方ごろには母親から大量のお惣菜が送られてきて、テレビ電話をしながら夜ご飯を食べることになった。母がそういうつもりだということは知らなかったのだが、祖母からの電話でフライングされてしまった。まあ身構えることができたから良かったのかしら。コップ1杯分の自家製梅酒が同封されており、生まれて初めてのアルコールはそれとなった。どうやらアルコールがまわるとすぐに顔が赤くなるらしい。父親のDNAをガチガチに感じて恐ろしくなった。

ずっと前から20歳の誕生日にはやまやにラム酒を買いに行って、ラムレーズンを漬けると心に決めていた。私のくせに珍しく有言実行。ちゃんと買いに行った。レーズンは熱湯で洗い流し、水気を丁寧に拭き取ってからこれまた熱湯消毒した瓶に詰める。レーズンひたひたになるようにラム酒を注ぐ。1週間ほど置いてから今度はそれをラムレーズンアイスにした。イチから作るアイスクリームはとんでもなく美味かった。一番近所に住んでいる友人と一緒に食べた。あまりにも美味しかったので、母の誕生日には新たに仕込んだラムレーズンアイスを宅急便で新潟の干物と一緒に送った。


演習の授業では、最初の課題がグループワークだった。グループワークは大の苦手だ。人の話を理解するのにみんなより時間がかかってしまい、迷惑をかける。もちろん自分が心配していたことはちゃんと起こった。話についていけない。前半のグループでも、後半のグループでも、それは同じだった。私を取り残して頭上で交わされる会話に恥を晒して首を突っ込む。トンチンカンにもほどがある自分の意見にちゃんと耳を傾けてくれた仲間に感謝が尽きない。定期的に行われるビデオ会議の後、私は毎回とても悔しい気持ちになった。「あーーもう全然わかんねっ!」と口に出していたかもしれない。これ以上迷惑をかけまい、という意地で、与えられた役職はきっちりこなした、んーー、、こなす努力はした。

優秀な仲間たちのおかげで、前半の課題も後半の課題もそれなりに講師陣に褒めていただけた。グループワークというのは不思議なもので、いつも通り提出前には睡眠不足が続くが、生活はそこまで荒れなかった。足の踏み場もないほどまで部屋が散らかることはなかったし、食生活も安定していた。特に後半の課題は自由に班員を決めることができ、陽気な関西・四国出身のおしゃべりマシーン3人で組まれたのですごく楽しかった。深夜2時半にLINEで交わされる「おはよう!あともう少し頑張ろう!」の会話が何とも滑稽で前向きに頑張れた。


遠回りだから吸収できるものもある、と自分でもわかっているし、そのことを教授も肯定してくれた。それが自分のやり方であり、これまでの生き方でもある。ゆっくり答えを見つけていければ良いと散々これまでも言ってきたが、世の中そうはいかないことだって山ほどある。その塩梅が難しく、自分が抱える生きづらさにつながっているのではないか。If you had one shot or one opportunity to seize everything you ever wanted in one moment, would you capture it or just let it slip?(もしもお前が欲しかったものが一瞬で全部掴めるチャンスがあるとするのなら、お前はそれを掴み取るのか?それとも見逃してしまうのか?※めっちゃ意訳)  エミネムの歌詞だ。コピペじゃなくてちゃんと覚えている。何か自分を成長させれるチャンスが掴めそうなら、臆せずに取り組んでいきたい。それが20歳の目標。