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映画「怪物」 皆のレビューを観て思ったこと

本編の内容に触れます。セリフも引用してます。

世間は優しい。いや、怪物のレビューを書く人は優しい。と言った方がいいのかもしれない。

私は怪物を観てより君の強さに憧れた。親から虐待を受けても、心許せる同級生から「花の名前知ってる男子はモテないよ」と言われても笑顔を絶やさず社会との交流も断絶しない姿は大人でも体現し得ないしなやかな強さがあった。

と同時にそんな強さは生まれつき持つものなのかな、と。より君とあまりに歳が離れた私には半ば諦めの気持ちも沸いて目指したくても素直に目指せないとも思った。

でも、レビューを見ると知らないうちに人を傷つけうる言葉を怪物と表現する人も一定数いた。

なんだか私が日々の生活に染まり切っていることを知った。

私は、言葉には人一倍気を使うタイプだ。言葉の意味を考えるのも好きだし、テンプレートな言葉を何も考えずに使うと人知れず出された誰かのSOSや小さな優しさをかき消すことがあることも知っているからだ。でも大学に入ったら私の周りの人は誰もそんなことは考えていなかった。

一緒に再履修しよ。の応酬。間を持たせるためだけのテストやばい。レポート終わった?は相手を気にかけているのではなく相手のレポートを見るための初めの一歩なんだと1年経つ頃には学習した。証拠に自分より進度が早いと思われる人にしかこの質問はしない。誰かがスマホを見せ合っていたら次の瞬間にはさっきの過去問?の質問攻め。中にはテンプレート以下の言葉もあった。

私はそんな日々にも順応していくことを選んだ。学番で決められる席、班。嫌でもそいつらからは逃げられないからだ。テンプレートな言葉を発する人にはテンプレートな言葉を、ジャンクフード的にその場しのぎの言葉を発する人にはその場しのぎの言葉を選んだ。自分の優しさを存分に発揮できる場所なんてなかった。

だからこそ、より君に幸せになって欲しい。とは思わずただ無責任に憧れたりしたんだと思う。

でも世間は違った。より君がみなと君がより生きやすい環境に行けることを望み、大人たちの気づきを祝福した。

私はあと3年この環境で我慢する。4年後にはもう一度この映画を観てより君たちの生きやすさを望めることを願って。


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