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ハジメテノオトをあなたに。第1回「はじめに」

今、VOCALOIDがアツい。



「Lemon」「感電」の米津玄師。
「夜に駆ける」のYOASOBI(正確には、作詞作曲担当のAyase)。
「うっせぇわ」のsyudou。

彼らは、VOCALOIDで曲を作っていました。いわゆる、VOCALOIDプロデューサー……ボカロPと呼ばれる人たちです。

アニメ「チェンソーマン」のエンディングを、多数のボカロPが手がけたことも、ご存じかもしれません。

また、スマートフォンゲーム「プロジェクトセカイ」のメガヒットにより、中高生のリスナーが増えています。

TikTokでは、「トンデモワンダーズ」「グッバイ宣言」「酔いどれ知らず」「真生活」と言ったVOCALOID楽曲を使用した動画が多くアップされていると聞きました。

VOCALOIDは、今や日本の音楽シーンに欠かせない存在です。


しかし一方で、「VOCALOIDは敷居が高い」という声も耳にします。


VOCALOIDブームのきっかけとなった「初音ミク」が発売されたのは、2007年の8月31日。もう、16年も前です。
ニコニコ動画の「VOCALOID」タグでヒットする曲は704,774曲(2023年5月8日現在)。youtubeのみに投稿されたものを含めれば、さらにたくさんあります。 この瞬間も、大勢のクリエイターによって、膨大な数が投稿されていることでしょう。


一体、誰の何を聞いたらいいの?


さらに、VOCALOID音楽……一般的には「ボカロ」と呼ばれています……は、楽曲が投稿された当時の出来事や、ムーブメントと複雑に絡み合っています。
「名盤」「名曲」と呼ばれる楽曲を試聴する際、それらが気になって、調べようとする。


16年以上蓄積されたそれらを、どうやって?


敷居が高いと感じるのも、当然です。


もちろん、それらを知らなくても、問題ありません。すぐに飛び込んでいける手軽さも、ボカロの魅力でしょう。
ですが、知ることで、楽曲の聴き方はがらりと変わります。




「昔の話をしましょうか」


少しだけ、昔の話をさせてください。
初音ミクが発売されてからしばらくの間、ボカロはアンダーグラウンド……オタクのものでした。

「機械がボーカルだなんて、意味が分からない」
「オタクだけが楽しむ気味の悪い音楽だ」


あらゆる偏見から、好きなものを勧められない。そんな時代がありました。


そのボカロに、今、たくさんの人が興味を持ってくれている。
本当に嬉しいことです。


ボカロを14年間聞き続けた、いちリスナーができること……。
それは、私なりの視点で、シーンの魅力や、記憶を発信することです。


こんな文章を書くのは初めてです。 でも、手探りでも、やってみたい。
あなたがボカロを深く知り、楽しむ手助けがしたいのです。



「あなたの初めての音に」




連載のタイトルは、maloさんの楽曲から拝借しました。
私の文章で、あなたにとって大切な曲……「ハジメテノオト」が見つかることを願っています。


この連載では、先に紹介したスマートフォンゲーム「プロジェクトセカイ」を足がかりにしつつ、時折、思い出話を交えながら、ボカロ曲やクリエイターを紹介したいと考えています。

プロジェクトセカイを用いるのは、あのゲームが古今東西のボカロ曲を網羅していて、話のとっかかりにちょうどいいからです。
ゲームをプレイしている方に、ゲーム内の楽曲をより楽しんでいただきたいという気持ちもあります。

もちろん、ゲームをプレイされていない方でも分かるような内容です。
あくまで、話題のきっかけです。

それ以外にも、ボカロまわりでおもしろいことがあったら、取り上げたいなと思います。

どうか、よろしくお願いいたします。

六日野あやめ

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