本当に大切なものは、隠しておくものだ。

本公演「秘すれば花」の意味を調べた時に、まず目に飛び込んできたのがこのタイトルだった。
なるほど、大切なものほど目に見えないんだよ、かつてサンテクジュペリの「星の王子さま」の狐もそう言っていた(大好き)
そんな「大切なもの」をそれぞれの景で見せてくれた、秋の浅草。
時には華やかに、そして時には心の芯まで凍る、ファンキーでクレイジーな「秘すれば花」略して「秘す花」のレポのはじまりはじまりなのです。

今回は2ndの皆さんを綴りたいと思います。
開演アナウンスはトリを務める徳永しおりさん、しかしBGMからどこか不気味...怖さを感じさせる音なんです。

1景 橋下まこさん

幕が開くと金色の世界。
各景の踊り子さんがニップルリングをつけて、華やかにまこさんを中心に群舞のはじまり。
今回は3回見た中で、最前列に座ると本当に1景の華やかさが素晴らしかったのでオススメです。
橋下さんははじめて拝見する踊り子さんで、とにかく綺麗で気品があって...というイメージを受けていたのですが、

マジ、天女だと思いました。

今回は各景それぞれ特徴がある中で、平和で華やかで「神聖な舞」というがごとく微笑みを絶やさずに金色をベースにじゃらっとした飾り、真っ赤な腰布、群舞メンバーがくるくると踊っている間に(これも綺麗)まこさんお着替えで、移動盆で優雅に中央盆へ。
やはり天女様は歩かないもの、なぜならもう地面から迎えに来るから。
ベットでもまるで幸せを振り撒くように、見事なポーズを決めていく。キレより優雅さを強調されているようで、何だか妙に御朱印をどこかにもらいにいきたくなる気分だった、ご利益ありそう。

3景の三山でも「桜子」として登場、桂子の相棒として登場する。可愛い楽曲と巫女さんスタイル、その長い黒髪も美しくにこにこっと微笑みながら大幣をユニゾンダンスで踊りながら舞う姿はとっても綺麗でした。

そして...そして7景、なんですが3回目で私は上手側の最前列に座っていたのですが、目の前に氷のような冷たい瞳と表情で盃の酒を飲むまこさんが。

こっ!こわーーーーーーい!!!!

1景と3景のにこやかなまこさんがいたからこそ、その微笑すらしない冷たい表情が心に刺さりました。え、嫌いかって?

大好きですが、なにか?

眼福でした。


2景 ゆきなさん

幕が開くと真っ黒な布が舞台に広がり、移動盆が回ると矢が打たれた木に打たれた鵺。
ばたりと前に倒れ込むが、ぬっと立ち上がるとフードに何やら布を裂いたかのようなヒラヒラを引きずっているようにも見える。
そして歪な形の鴉マスク、ダンサーさん2人と共に主に花道と盆で、キックするような動きでひたすら踊る。あのリズムと踊りはすっごく癖になって、もうマスクしてたけど、リズムを3回目見ている時には口で刻んでたくらい大好き。
仮面のダンサーたちが退場してからは鵺のベット、ここがすごく印象的でやっとマスクを取るんだけど、やはり素顔のゆきなさんのベビーフェイスが何だか艶かしくて。
これは演出かもしれないんだけけど、あの重そうな真っ黒な纏いだけを身につけてポーズを切ると

「重油がどろどろと海に流れ出したかのような、身体に纏わりつくねちっこさ」

があるなと思ったんですよね。なんとねちねちとしたポーズなんだろうと。
あとどこで見ても素晴らしかったけど、2景は照明が素晴らしくて、身体を映し出すまるでモノクロに見えるあの色はどこから見ても素晴らしかった。ああいうの大好き。
その後、まるまるM4を使って
「あ、あれ?私、とんでもないことしちゃった?え、許して?」
と罪を許してと乞うような表情と動きをするけど、とにかくこの時の鵺は孤独で周りに救いもなくって、悲しいまま終わる感じです。
しかしながら、非常にドラマ性があって特にベットの魅せ方がとても大好きです。

7景で登場した時は下手側で楽しげにお酒を飲む姿が見れます、すっごく可愛い。
しかし...鬼になるんだよねぇ...。

フィナーレでは美しいドレスダンサーの一人として登場、いつもの個人演目とはまた違った華やかで綺麗なゆきなさんを堪能できました!


3景 鈴香音色さん

見た人やはりみんな、口を揃えて言う
「3景は、ほんっと怖い」
それが私も体感して、やっと意味が分かった。
M1ではプロジェクションマッピングも使いつつ、巫女の桂子として、まこさん演じる桜子と共に(なぜかもう一人いる巫女さんと共に)大幣を手にポップな曲を踊る。
この時の可愛らしさは本当に「あ、この景はとても可愛い演目なのかなぁ?」と思わせます。しかしですねぇ

スポットライトが当たっているのは、桂子だけなんですねぇ。
桜子も同じ動きしてるのに、全く光も当たらないんですねぇ。
しかも二人とも可愛い動きなのに、ほぼ目も合わせないんですねぇ。


こんわっ!!


その後、唐突に曲が終わる。もの凄まじいスモークが焚かれ音楽が次第に不気味に。
これ、下手側に座るとスモークの間から現れる桂子が見れるんですが、上手側に座るとスモークをまともに浴びて煙からぬぅっと現れる桂子が見れます。怖いね、これね。
桂子の様子が何かおかしい、何やら怒りの表情を浮かべ手に何か持ってる、自分が羽織っていた真っ赤な打掛を脱ぐと、手に持っていた長い髪の毛を組み合わせ天でぐっっっ!!!!と締め上げる。

これ、殺ったわ、100パー、殺ったわ。

震え上がる私、数秒前まで踊ってたのに。笑顔で!!!
その後、髪の毛と打掛を花道にそっと置き、大幣でお経を唱える(生で)
これを2回目と3回目に最前列で見ていた私、震える。怖い。
その後、立ち上がると盆で見つけた「愛しい貴方」を見つけ駆け寄るも既に男などいない。
ああ、メンヘラ桂子。彼女は救われることなく盆でポーズを決め消えてゆく。
でもポーズを決めるにも音色さんのながーい髪がざわっと前に下ろされ、表情が見えないとかもう...。
でも、その後音色さんのキャスでご自分も分析されていたけど、花道で殺したのは実は桂子自身で、お経は真言宗で「浄化」の意味もあるんですって。そう考えると、すごく深い景だなぁと思いました。

1景でのニップル姿は「おっぱい最高♡」

5景のちょっとえっちなキノコ生徒はもう自由で、見てて楽しくて、何か勝手に食べてるし踊ってるし、脱ぎ出すしで見てて楽しかったー。ピクトグラムでもノリノリでしていたのが凄くキラキラしてました!

4景:沙羅さん

ダンサーさんから迎え入れられ、空から降る雪の中、山笠を手に現れる沙羅様。
1景の「翁」が天女だとしたら、4景の「葛城」は国を統べる姫。
祭音の時はドレス姿でしたが、今回は和の装いでそして真っ白な世界。
今回、多分沙羅さんの日舞ははじめて拝見したのですが、群舞も素晴らしく、3景の冷えた心がゆっくりと暖められていくようで。
真っ白な腰布をつけたまま、美しいポーズを決められる盆では、中トリということでミラーボールも回って
「このままうちら、昇天していくのかな?」
って思ってしまうほど、美しく癒されました。

1景での沙羅様のニップル姿ははじめてだったので、見入ってしまいましたがやはり気品は相変わらず凄くて美しかったです。

7景では下手で楽しげに酒を飲むゆきなさんと、微笑む沙羅様。なんと平和な...(一方、下手では以下略)

5景:星崎琴音さん

本公演の中で、一番ファンキーでポップだと思う、ひたすら見てて楽しい景。
私も聖ロック座女学園番外編で、菌こと”くっちゃん”と山伏”りーぬ”先生のやりとりを思わず書いてしまったぐらい、大好きです。
キノコの授業をしようとする山伏先生と、キノコ生徒たち。
しかし先生完全に舐められて、生徒たちは自分勝手にやりたい放題、脱ぎ放題。
そこにやってきたのは一人のキノコ生徒、菌。
彼女も勝手に机の上に立っちゃうと踊っちゃう、蛍光ピンクの衣装が眩しくて、思わずそれに感化されちゃったのか山伏先生もキレキレな踊りで乗せられちゃう。
全ては菌の仕業なのに...そのうち先生も「醸され」ちゃって、みんなそろってお幸せに♪
ピクトグラムで少しいやらしめの実演が生徒たちが披露する間に、菌は第二形態に。
ここで先生と生徒は退場し、菌はファーコートにトップレス、蛍光ピンクの紐パンで盆へ躍り出る。
ことにゃんさんのベットはやっぱりいつも凄いと思っていて、もう色っぽくてカッコよくて、綺麗なんですよね、その視線とか指先とか...これは川崎でも思ったこと。
菌が成長して、私たちまで魅了していく感じがしました。みんな、かもすぞーって。
最後は一糸纏わぬ姿で本舞台へ。浅草はこれでラスト、最後は明るい笑顔で見れて良かったです。

1景では、穏やかな笑顔で舞い踊る天女の一人、伏せ目がちで優雅に踊る姿を見せてくれました。

7景では、酒を飲むまこさんの隣で、彼女に寄り添うようにそっと佇み微笑みながら酒を飲む女中。しかし鬼になる...。


6景 藤咲茉莉花さん


ぎいいと音を鳴らしながら、古い扉から現れる夕顔。
藤咲さんを拝見するのははじめてでしたが、なんと嫋やかで和服が似合われる方なんだろうとうっとりしました。
5景がとても賑やかだったので、まるで夢幻のような静かながら手に持つ夕顔の鉢を愛おしげに持つ夕顔の表情。
「この人は、ずっと静かな愛情を送り続けているんだ」
と心にじーんと響きました。
途中、大切そうに鉢を下手に置かれた小さなテーブルに置くと、くるくると和服を解きドレス姿に。
この時、流れていた楽曲が...本当に今、自分に突き刺さる楽曲ではっとなって。
その一曲でベットに夕顔をそっと盆に置くと、見守ってくださいねと言うようにポーズを決める。決して派手なポーズはなかったけど、静かで穏やかで。
最後はまた夕顔を手に本舞台に戻ってきた時に、本当に...本当に優しい笑顔で夕顔を抱きしめる姿、最前列だからこそ見れた景色に思わず涙しました。

静かで、ただ注ぐだけの愛、恋。
夕顔が咲くのは、夕方の数時間だけ。
その限られた時間だからこそ、目一杯の気持ちを注ぐ優しさに、思わず凄く目頭が熱くなりました。

と思ったら、5景では少し控えめだけどすぐ脱いじゃうし、四十八手ピクトグラムもやっちゃうよ!の少しお嬢さまキノコ生徒さんでした。わちゃわちゃしてて可愛かったー!


7景 徳永しおりさん

舞台が開くと姫たちが酒を酌み交わしている、後ろ姿だけで顔が見えないのが今回のトリを飾る姫を演じるしおりさんです。
盆が回ると、真っ赤な盆で酒を美味そうに飲む姫、周りの女中たちもそれぞれ酒宴を楽しんでいるようだ。
すっかり酔いがまわったようで彼女たちは、華やかに踊り回る。
しかし舞台に掛けられた布を勢いよく引っ張り現実に戻ると、周りの女中たちは全て鬼に変わっていた。どうやら先程の酒のせいらしい。
そして、姫自身もすっかり鬼になってしまった...。
踊り回る鬼たちの後ろで、衣装変えし手には般若の面を持ち紫色の美しい羽織り、そして首からは真っ赤な飾り(じゃらっとした)を着けると、頭には紅葉と彼岸花の髪飾りをつけた姫が、ゆっくりと絶望の眼差しで盆へと歩き出す。
盆ではゆっくり羽織りを脱ぐと、原色の照明が彼女の裸体を映し出す、赤、黄、青、緑などなど。ここが本当に大好きで、段々人間から鬼へ変容させられていく苦しみや悲しみが見えるようで目が離せない。視線も、動きも苦しげで。
ベットを終えると、紫の羽織りをまるで引きずるように本舞台へ戻っていく。
しかし、本舞台の盆に乗るとすっと般若の面をつける。だが、そのあとすっと素顔が見えると、戸惑いの表情。

「わたくし、鬼になんてなりたくありませんの」

そんな最後の人間としての感情が見えて、涙がボロボロでした。しおりさんは「迷い」「戸惑い」の表情がとても上手い方だなぁと思っています。


1景では早速、ニップル姿が見れて鼻血ブー。

5景ではみんな大好き山伏先生、ドジっこだけどやれるときはやっちゃう、醸されないと思いつつも醸されちゃう先生愛しいんだけど、二次元にいますかね?いませんかね?

フィナーレ 踊り子さん+ダンサーさん全員

ゴーゴーレッツゴー!

ドレス姿のダンサーさんと踊り子さん、そして歌舞伎の連獅子に扮するのは琴音さんとまこさん!いつも通り、賑やかなレッツゴーな曲で客席を巻き込んで楽しげに手拍子したり、手を上げたり、そして何より連獅子役のお二人の見事な毛振り!
どこまでいくんだー!?と思いつつ、終わると思わず拍手!そして幕が閉まるー。
どうやら私が行った週末では大入りもその後、出たらしくてとっても幸せそうなお写真を見て帰路の電車の中でこちらも「やったー!」って思ってました。


「秘すれば花」3期まで続いている本作。
踊り子さんに人気がある演目だというのも頷けるほど、やはり演目の個性が強く踊り子さんのそれぞれのスキルが高く表現できる景が多いなと思いました。
ポラはないものの、メイドバー(原みおりんさん)も楽しかったし、やっぱりステージ写真や、お遊び要素が一杯の写真もたくさん買っちゃいました。特にやっぱり5景のは特にー!見てて楽しかった!鵺ちゃんが「はいっ!先生!」ってしてるの可愛くて買っちゃった。

新しいプログラムも発表されて年末まで相変わらず、テンション高めの浅草ロック座。
家から、一番遠い劇場(現状)ですが、ぜひまた夢の世界に行ってみたいなーと思います。
あと私、最前列ほんと大好きね、ほんと。


本当に大切なもの、この舞台をご覧になった貴方は見つけられたでしょうか?
でもでも...

「知らない方が、いいのかもね」

なのかもしれませんね...。まるで、百物語みたいに。

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