その瞬間、空間が真空に、雲晴れて青い空。

午前中、美容院へ行っていた私はその後、何とか横浜ロック座に行くためにタクシーを捕まえて日ノ出町駅へ向かっていた。
そういやタクシーなんて終電を乗り過ごした時か、飲み疲れてもう歩きたくないと言う時しか乗らない贅沢な乗り物。それに白昼から乗ってでも見逃せない香盤があった。
8月頭の横浜ロック座。はじめはあんなにマイナーだ、常連が強い、入り口が入りにくいとか言っていたのに今では慣れてしまった。というかあの広さが癖になってきた。
ロック座系列の中にも特徴が色々あって、圧倒的劇場感のSNA、舞台の広さが魅力の川崎、照明と舞台、統一感が圧倒的な浅草、そして横浜はいい意味の「狭さ」が魅力だと思う。それは舞台との距離感もあると思うが、人と人との距離感。ソーシャルうんぬんの近さではなく、よりよく隅々まで見れるという魅力もあると思う。あと個人的に女性お手洗いが一番好き(超個人的)
そんなこんなで、劇場にそろりと静かに飛び込んではじめに目に入ったのは2番目の藤川菜緒さんのちょうど終わる時だった。
そんなこんなで、今日もレポをつらつらと書いていこうと思う。


1番:沢村れいかさん

6月頭の川崎以来に演目は拝見します、お会いするのは浅草のロックバー以来。今秋に引退を表明されたれいかさん。しかしながら「全力投球」の演目のひとつひとつが本当に称するに太陽。そんなれいかさんの祭演目の2つ出しでした。
祭1のわっしょいわっしょい、白と赤のぼんぼりが灯る華やかな祭りも素敵だったのですが、今回、記憶に強く残ったのは「祭2」の神に捧げるような踊りだった。
祈りから祈りで終わる踊り、途中で挟まれるエイサー。ただでさえキレ鋭いれいかさんの踊りに緩急がついて、手拍子で横浜ロック座が劇場から神社に変わった気がした。最強のパワースポット、空気が真空に澄んでいくような感覚。盆でもその威力は強くて、れいかさんって「もうここでポーズ終わりかな?」なんて背を向けて去ろうとした私たちの肩をがしぃっと掴んで「ねぇ?終わると思った?!まだまだぁ!」ってパワーを浴びせてくる人だと思いました。最初に言ったけど本当に太陽。
ポラに並んだ時も、以前、差し入れしたものについて覚えていてくれて、ポラも映えるようにと真っ赤なぼんぼりを取ってくれた、おかげでポラはめちゃくちゃ映えてた。とても明るくて元気でパワーが降ってくる系踊り子さん。引退は本当に残念だけど、次へのステップと前向きなれいかさんの気持ちを心から応援してます、といってもまだまだコースも決まっているし行ける時には足を運びたい気持ちです。


2番:藤川菜緒さん

ポラ館は4月のSNA以来、浅草では「祭音1st」以来拝見します。
というか後半に行くつもりが、ス初見で心を掴まれた「クソリプ」をされると聞いていてもたってもいられずやってきた次第です。
ちょうど辿り着いてほぼ汗だくでポラ列に並んで、初めましての挨拶と共に「今日って、クソリプやりますか!?」って聞いたのは私ですすいません。なおぴさん、凄く小柄だった。やはり舞台ではとんでもなく大きく見える方だ...。
「Lupin」と「誹謗中傷撲滅委員会」の2個出しの菜緒さん、お身体を心配していたのですがなおぴワールドはすんごく健在で、ますます理解が膨らみました。
初見のLupinはとにかく手袋万歳、凄い。盆での色っぽさはさっき話してたほわんとした菜緒さんかな?と頭クラクラ。
そしてクソリプ!念願でした!大好きな演目。というかもう一度巡り会いたかった演目!
その後、演目の楽曲を教えていただいて既に履修済みでもう見ると理解が深まりました。
私、4月に見た「Daisuki!!」と混ざってたみたいで、M4のドレスが頭からスポーンと抜けてました。真っ赤なランジェリー、やっぱり血みたいで、灰色のパーカーで心突き刺さる歌詞を踊る姿は氷のようでした。最後にパーカーを脱いで振り向く顔はほんと、歌詞通りで。鳥肌が。
祭り上げられた姫、黒いドレスの彼女は真っ赤なショーツを手首に巻くとますます血みたいで。でも菜緒さんの演目ってこう...人間の汚いところを炙り出しつつも、這い上がる強さみたいなものを描いていて、最後の音ハメのところなんて
「私はここから必ず這い上がってみせるから、世界、見てろよ」
なんて言ってるみたいだった。祭音では悔しい思いも沢山したと思うけど、菜緒さんの感性や表現力はやはり圧倒的なので、ますますのご活躍を応援したいです!
個人的にLupinのOPのダンスは、本当に本当に嬉しかった!


3番:桜庭うれあさん

場内にいらっしゃった女性のお客さんとやりとりした中で
「うれあさんは、可愛い演目からカッコいい演目も演じられる素晴らしい踊り子さんですよ!」
と教えてもらいました。
浅草でも素晴らしい踊りを披露されていることは、TwitterのTLなどでも知っていましたが、今回はじめましてのうれあさんは

真っ白なソフトクリームに、妖艶に舌なめずりをしていた。
ベロりんちょ!!!

ファーストインプレッション!!!
可愛い清楚な女の子と思いきや、可愛らしいドレスとは裏腹に手にしたソフトクリームでお客さんを挑発しつつ、長い舌でぺろーんと舐め回す姿...。
え、えろいねぇ...。
どこか気恥ずかしい気持ちになりつつも、目配りや場数を踏んだからこそできる軽やかなステップ、繰り出されるポーズの多彩さは自分で魅せる場面をきちんと心得ている(客の期待を知っている)からこそできることだと思いました。あと1回目ではウィッグだったので分からなかったのですが、フィナーレに出てきた時は黒髪のつやつや具合に「なんて綺麗な髪!」と見入られました。あれはきちんとお手入れしている髪やでぇ...。


4番:高崎美佳さん

今週、5周年を迎えられた美佳さん。以前4月(初横浜)に「蝶」を拝見しました。
その時も世界観に圧倒されてしばらく動けなかったのですが、今回の周年作「HAGOROMO」は圧倒的白と、圧倒的お着物で魅せる圧倒的世界観。
個人的に高崎さんの世界観、大好きになりました。「高崎美佳」というジャンル。
キーポイントとして羽織りに使われている「羽衣」が効果的に使われていると感じました。衣装変えなどでも舞台に必ずあって、今まで自分が培ってきた経験や思い出などの「記憶」とかの概念的なものなのかなと感じたり。薄くてキラキラで見た目儚いけど自分を守る鎧になる、みたいな。
個人的に盆に羽衣をまとってやってきたあとのポーズ→立ち上がりの曲に載せたところがとても好きです。大好きな曲ということもあるのですが、羽衣を抱きしめ何かしら触れたまま取るポーズは美しく、目を瞑って精神統一している姿は周りを漂ってる雲が晴れて、さーっと青空が広がるような「希望」が見えたような気がしました。
立ち上がりでほんの少し微笑むんですよね、そこが凄くきゅーんと胸が高まりました。クールビューティというイメージもあるので、不意に微笑みとか見るとギャップ萌えします。
ポラもはじめて参加してnoteのことととか色々お伝えできました。ご自身では恐縮されてましたが高崎さんの文章は凄く好きです。これからも素敵な世界観を広げて行かれますように...。


5番:徳永しおりさん

ツイッターで「明日から私が横浜のリーダー」というオタク心に突き刺さる一枚を見ていた、我(オタク)
新作「I'm the Last.」直訳はラスボス(個人的印象)
はじめからワイルドな男装スタイル、背高い、足長い、ショートカット、めっちゃ美人、というかその時はイケメン。

存在が、マジ二次元や。

予習にしおりーぬさんのラジオとか(エレベーターの話とか)ツイッターの面白い紹介文とか拝見してましたが、本物に久々にオタクはただ吹き飛ばされました。
ワイルドに踊り、扇子をぱしんと開くとひらりと舞台と盆を縦横無尽に駆け巡るしおりさん。
M1の最後のシンとした後の扇子を開く音当ての場面大好き、無理。
全オタク好きなやつ、きっと(語彙力)
衣装変えすると先程の雰囲気とは全く変わり、女性の華やかさを一気に場内に広げる。ドレスが綺麗でひらひらで...(語彙力)
私は序盤のイケメンを「第一形態」後半の長いドレス姿を「第二形態」と呼称しています。
盆ではその長い手足を高く上げて、綺麗なポーズを決めている姿(狭い盆にはまらないくらい)にただ拍手。
あっという間に演目が終わり、本能のままに久々にポラ列に並びました。んでポラの時の音楽がっ!!!!ガチオタクを感じさせる選曲っ!なんというか作品とかうんぬんより「推し」を聞きたい選曲っ!あとで伺うと推し被りでした!嬉しいね!
しかも初対面なのに、感想と恐る恐るオタクですか?なんて聞こうと思ったら、ポラ着がペイスティという衝撃的。わいペイスティ初見。それでも感想とかあたふたと告げて、何故か「いにしへのオタク」同志の謎の安堵感を感じました、なんだそりゃ?初対面なのによく分からないね!
というわけで、徳永しおりーぬさん。本当に存在と品が美しくて、一気に推しになりそうです。
ポラの時にも朦朧とした感じで「もう...推しになりそうです」と言うと「やったー!」と言ってくださいました。
いやあ、良かったなぁ。ステージ写真欲しいなぁ、これで浅草でもし男装とかやっちゃった日には死ぬなぁ、ははは。なんてたかをくくっていたら、帰りの電車で浅草乗りが決まったと見て「マジ...?」となった私、(たぶん)命日は近い。棺桶を担いで浅草まで行くしかない。


私は2回目まで拝見して劇場を出た。極寒の寒さから、常夏の日ノ出町。
ばっさり切った髪の毛をゆっくり撫でつつ、劇場からの余韻を楽しむ。
劇場を後にすると、まるで遊園地に行った後みたいに少しだけ寂しい、だけどスト活のいいところは「いいな」と思った出演者さんのTwitterを追えたり、色々な過去レポを見れたりして勉強できる機会があるということ。これが次の劇場への予定に繋がったりする。
家に帰ってから見るのはポラ。先程の会話とか思い出とかが嘘じゃなかったんだと再確認する大切な時間なのです。
この時勢、行くのもとてもデメリットもある。だけど心へのメリットもとても大きい。
私は、密やかながらそう思います。


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