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選ばなかった道を想いながら、『虎に翼』の物語を見る【あやめしの部屋】

今月から新しく始まった朝ドラ『虎に翼』を、面白いなぁと思いながら見ているこの頃。

わたしが朝ドラを見始めたのは、2021年の第105作『カムカムエブリバディ』から。それまではあまり朝ドラにはご縁がなかったのだけれど、2021年に出産したことを機に、朝ドラが放送される時間に家にいる生活が始まったのが見ることになったきっかけ。そこから『ちむどんどん』『舞いあがれ!』『らんまん』『ブギウギ』と欠かさず視聴して、今回の『虎に翼』で6作目。

今まで見てきた朝ドラの中で、今作が一番自分の興味がそそられるものだなぁと思って、毎朝楽しみに視聴している。

今作は、伊藤沙莉さんが演じる「猪爪寅子」が主人公。日本史上初めての女性弁護士となった方の実話を元にしたオリジナルストーリーだ。まだ放送されて日が浅いので、そこまで物語が進んでいるわけではない。現時点では、主人公の寅子が大学の女子部に入学し、法曹を志す仲間と共に法律を学んでいるところ。

まだここから先のストーリーがどう展開されいくのかは分からないけれど、どうにも興味がそそられるのは、わたし自身が法学部出身で、弁護士になることを目指して勉強に励んでいた過去があるから。

弁護士は、小学生の頃からの「なりたい職業」だった。なぜそれが弁護士だったのか。それは、自身の幼い頃の小さな体験が基になっている。

わたしがまだ小学生低学年くらいだった頃、自分の中にずっと「女性だから」という理由だけで下駄を履かされているような感覚を持っていた。例えば、みんなと同じようないたずらをしても先生に怒られるのは男子だけ。女子はなぜか怒られないことに、とても違和感を持っていた。今はそんな世の中ではないとは思うけれど、「あなたは可愛いから許してもらえるよ」とか「可愛いからサービスしとくね」とか「女の子だからこうしておくね」みたいなものが、頻繁にあった。「可愛い女の子」だからという理由だけで、マイナスを回避できることやサービスをしてもらえることに「なぜなのだろう」という疑問が常に自分の中にあった。

下駄を履かされる度に「そんなことしなくたって、わたしにだってできるのに」と、負けず嫌いなわたしは思った。贔屓されたり、特別な対応をされる度に「みんなと同じでもわたしはちゃんとやれるのに」と思った。舐められたくなかった。

だから、心の中で思ったのだ。「将来は、すごい人になるんだ」「下駄を履かされなくたって、自分の力でしっかりやっていける強い人になるんだ」。その時に、わたしの頭の中で浮かんだ職業が、何を隠そう「弁護士」だった。当時の弁護士は、まだまだ男性が多いイメージだった。男性優位の知識労働者の中でも、バリバリに働ける女性弁護士がいたら、なんとかっこいいのだろう。そんな思いから、弁護士はわたしの目指すべき職業となった。

1浪して入学した大学の法学部には、同じように法曹を目指す仲間がたくさんいた。彼ら彼女らと机を並べて、夜遅くまで勉学に励む時間は、本当に楽しかった。今の朝ドラ『虎に翼』を見ていると、あの頃のことを本当によく思い出す。

当時毎日持ち歩いていたポケット六法

でも結局、わたしは法曹の道には進まなかった。

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