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【作品】有明海 選択

【有明海 選択】
サイズ:F8
画材:有明海のヘドロ、有明海の牡蠣殻

細かい粒子が流れ込んで
いつも濁っている泥の海有明海。

有明海は、
佐賀、福岡、長崎、熊本の4県に囲まれた海です。
有明海には112本の河川が流れ込み、
その水には豊富な栄養が含まれています。
この干潟には、ムツゴロウやシオマネキなど
珍しい生物が生息しています。
シギ、チドリ等の渡り鳥も訪れます。

さまざまな生命がいる宝の海です。

有明海

そんな海で牡蠣を育てている漁師さんから
「ヘドロで絵を描けないか」と
言われました。

そんな綺麗な海にヘドロが…?
なぜ漁師さんは「干潟」の事を「ヘドロ」というのか。
私には干潟が汚れているようには見えないのです。

■ヘドロについて
「ヘドロ」には2種類ありました。
・生活排水等からうまれる工業廃棄物的なヘドロ
・干潟にならず、海底にたまる酸素のないドロ

漁師さんが話されたヘドロは、酸素のない泥の事でした。
水と土に酸素が少ないと、栄養が腐り生き物が住めません。

「干潟」も「ヘドロ」も泥自体は同じ。
違いは栄養や酸素あるかどうかだったのです。
見た目じゃわからないわけです。


■原因は様々

・ダムが出来て川からの鉄砲水がなくなった
・諫早湾のギロチン
・殺虫剤の流れ込み
・サメがいなくなりナルトビエイが増え二枚貝を食べ尽くしてしまう
・雨が降ると栄養塩が無くなるまでプランクトンが増え続けて赤潮となる。通常は二枚貝がプランクトンを食べるので問題はないが、二枚貝がいない海では少しの雨でもバランスを崩し易い。
・酸が海に棄てられている


牡蠣、海藻、アワビが減ったのは温暖化の二次災害なのです。
温度が上がったからといって全てが死ぬわけでは有りません。
温暖化の影響を回避しようと人がしてはいけない対策をした結果、
海がバランスを崩してしまったのです。

干潟 ヘドロ



■100年後の有明海


このままバランスを崩した有明海は
ムツゴロウもいない
渡り鳥もいない
漁業がなくなり
宝の海ではなくなる
寂しい海になるのだと思います。

今回の絵は、ヘドロだった土を樹脂でコーティングし酸素の当たらない「ヘドロ」を再現しています。

中央の光の当たる部分には、コーティングをしておらず
酸素の触れる土になっています。
そこには人も鳥も魚も
様々な生命がバランス良く生きる
あるべき姿の有明海になっています。

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