見出し画像

建築学生が休学を決めて人口1万人の過疎地へ飛び込むまで

2023年10月、休学を決めた私はまちづくりをするために宮崎県都農町という人口1万人の町へやってきました。

よく聞かれるのは
「何で休学しようと思ったの?」「休学して何するの?」

恥ずかしながら前向きではっきりとした答えがあるわけではありませんが、この決断に至るまでに考えていたこと、休学して半年弱経って思うことを振り返ってみようと思います。


休学するまでの話

現在私は建築学科3年生を休学中です。小さい頃にスカイツリーができていく様子をテレビで見て感動したこと、地元の新しい駅ビルと古き良き商店街が一緒になってまちづくりをしているのが何となく良いなと思ったことなどから、漠然と建築や都市計画に興味を持ち、迷うことなく建築学科を選びました。

周りに圧倒された大学生活

早稲田大学に行きたかった一番の理由は周りに凄い人が多そうだったから。大学に入ってからの私はそんな「凄い人」に圧倒されてしまいました。優秀な友人や先輩たちから刺激をたくさん貰える、自分が思い描いていた理想の大学生活だったはずでした。しかし、他の人の制作物を目にしたり、講評会で順位がつけられたりするうちに、周りと自分を比べてしまうようになり、だんだん自分に自信を失くしていきました。自分は独創性もなければ絵もそこまで上手くない、CADも操れるわけではない、これが得意!と言えるものがない…「自分には何もないかも」と思うようになりました。

迫ってくる進路選択

3年生になって真剣に進路について考えるようになり、大学院進学も視野に入れながら一旦就職活動を始めました。

建物ができるまでのプロセスはざっくり

企画→設計→施工→維持管理

と分かれているのですが、設計者の仕事はデベロッパーなどの発注者が企画したものを図面に落とし込んでいくこと。設計課題の中でも建築の企画やその地域にどんな影響を与えられるか考える部分が好きで、まちづくりに興味があった私は、どの選択肢もしっくりこなかったのです。

建物ができる上流から下流まで関われる仕事がしたい、もっと目の前の人に対してできる手触り感のあるまちづくりがしたい、と悶々とし始めました。そんな自分の気持ちに蓋をして、とりあえず課題に追われながらも深夜までエントリーシートを書き、授業の合間を縫って面接を受ける日々。思考停止状態で就活を続けていました。今思えば大学にいる自分に自信が持てず、早く社会に逃げてしまいたいという気持ちもありました。

レールから外れるのが怖かった

気づけば、迫ってくる進路選択に対する焦りで自分を追い詰めすぎてしまっていました。6月くらいから、学校に向かおうとする電車で動悸が止まらなくなりました。スーツを着た後に面接を受けるのが怖くなって、連絡なしにドタキャンしたのは一度や二度ではありませんでした。もう限界かも、と母に打ち明けた時返ってきたのは予想外の言葉でした。

「休学すれば?」

今でこそ母のこの一言にはとても感謝していますが、初めは休学するなんて一度も考えたことがなく、先が見えない道を進むことへの恐怖や抵抗しかありませんでした。立ち止まりたくないけど、このまま卒業して悔いのない大学生活を送れたといえるのか、頭の中はぐちゃぐちゃで、いつの間にか夏休みも終わろうとしていました。

そんな時に出会ったのが、現在私がインターンしているイツノマの社員である吉良さんのnoteでした。

後ろ向きでいた私に「休学して、自分の知らない世界に飛び込んでみるのもありかもしれない」と思わせてくれたんです。

自分なりに頑張ってきたつもりの大学生活だったけれど、もうちょっと背伸びして挑戦してみたい、自分が興味のある「まちづくり」を突き詰めたい。大学生という自由さと時間がある今のうちしかできない経験をしてみたい。ようやくレールを外れる決意ができた3週間後に宮崎へと飛び立ちました。

休学して4か月経ってみて

休学して良かったこと① たくさんの人の人生観に触れる

まちづくりホステルALAでお客さんと地元の人とカレーパーティー

進路に迷っていた私に必要だったことは、たくさんの人の生き方に触れること。過疎地へ飛び込んでみて、都農町のちょっとやんちゃで芯のある大人たち、ホステルに来てくださるそんなのアリ!?と思うような生き方をしている人、そして50代で過疎地で起業しちゃった社長と、”面白い”という言葉で片づけるにはもったいないような人達にたくさん出会えました。

「迷ったときは想像できない不確実な道を選ぶ。予想可能な人生は、もう生きたことにする。」

都農町に来てくださったある総合診療医の先生の言葉です。そのまま大学生活を続ける道もあったけれど、あえて不確実な道を選んでみた。先は見えないけれど、案外楽しいし、休学を後悔したことは一度もありません。

休学して良かったこと② やりたいことに思い切り時間を割ける

建築学生というのは割と忙しいです。常に課題に追われ、徹夜は当たり前。言い訳にはなりますが私は要領が良い方ではなかったので、課題とサークルとバイトで一杯一杯な大学生活を送ってきました。1・2年生の頃はまだコロナで活動制限もあり、どこか不完全燃焼なまま3年生を迎えてしまったのです。

まちづくりをしてみたい!と意気込んで都農町に来て、リアルなまちづくりの現場に入って、町や社会の課題に向き合って頭を悩ませる毎日。とんとん拍子にはいかないことばかりだし、結果や成果がわかりやすく目に見えるような仕事でもない。でもこの泥臭さがちょっと好きなんです。

総合の授業「つの未来学」 中学生と一緒に町を良くするアイディアを考え中

地方でインターンをするという選択は学業と平行しながらではできなかったこと。こうしてやりたいことに没頭できるのは、休学したからこそだと思います。

覚悟や決意がなくても良い?

休学中の過ごし方は本当に自分次第。中身のない期間になったり就活でどう評価されるかわからなかったりというリスクや、同期に遅れをとる焦りや不安もあります。

休学する前は、もし休学するのであればその期間を有意義に過ごさなきゃいけないという観念がありました。しかし今は明確な目標だとか、こう過ごす!みたいな計画はなくても、一旦立ち止まってみるために休学するのもありだと思っています。

大学って多様な人に出会えるようで、実際は同じような人たちが集まっています。身を置く環境を変えてみたり、今までにないコミュニティに属してみたりするうちに、自分の得手不得手だったり、軸みたいなものがようやく少しずつ見えてきました。

休学してみて人生が変わったぞ!とまでは思いませんが、何かに挑戦する意欲も自信も失くしていた自分が、ようやく一歩前に動き出せたことは大きな収穫だと思っています。

少し長くなりましたが、取り柄のないごく普通の大学生の私が休学を決めるまでの話でした。同じように悩んでいる人がいれば、少しでも力になれば嬉しいです。

最後に

現在インターンとして働いている株式会社イツノマでは、春からのインターン生を募集中です!地方創生やまちづくり、教育、空き家活用に興味がある方はもちろん、進路ややりたいことに悩んでいる方も大歓迎です。


この記事が参加している募集

就活体験記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?