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私は、「妄想の凡人」だった~妄想彼氏2021~

人は、わかりやすい能力を誇示しがちな生き物だ。

「走るのが早い」
「頭が良い」
「たくさんお金を稼げる」

そう、私の場合は――

「妄想が過ぎる」

※説明

この記事は、Pepabo CS Advent Calendar 2021に寄せて書いております。

上記アドベントカレンダーは私が所属するGMOペパボ株式会社をPRするため、企画されたものです。
※簡単に自己紹介をいたしますと、私はロリポップレンタルサーバーを担当しており、SNSの中の人をしたりHRブログのライターをしたりもしています!

というわけで、アウトプット大好き人間、「さていっちょこの一年で成長した私の仕事論を書いて、全インターネット界隈を涙で濡らすか」と意気揚々アドベントカレンダーの説明文を読むと、こんなことが書かれているではありませんか。

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プライベートのことでもOK!

プライベートのことでもOK!

OK!じゃあ、あたしは、
彼氏との1年を振り返っちゃうね!


1.「師走君」との出会い

「師走君」と出会ったのは、2020年の12月1日のことだった。
もちろん「師走君」は彼の本名ではない。12月1日に出会ったから、私が勝手に「師走君」と呼んでいるだけのことだ。

2020東京オリンピックが幻となったこの年。
一年が終わるというこのときに訪れた「師走」は、あまりにも無力感に満ちていた。我々は何も成し遂げられなかったのではないか。今いる場所で、ずっと足踏みをしているような感覚に、なんともいえない焦りのようなものがあった。

その時に突如として私の前に現れたのが「師走君」だった。

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師走君の一番のよさはこの笑顔だ。なんとなく焦りっぽいところもあるけれど、わくわく感のある人、だと思う。すごく抽象的な表現で申し訳ないけど、ほんとそう。わくわく感と次への希望のある人、なのだ。そういうところを、私は好きになった。そして、自然な流れで恋人になった。

ところで恋愛系のドラマや小説などで「自然な流れで恋人になった」という表現が散見されるが、その「自然な流れ」ってもんがなんなのか知りたいのになぜそこをぼかすのだろうと常日頃疑問に思っている。自然な流れってなんだ。どういう風に最初のデートに誘うんだ。どうしてその人を恋人にしたいと思ったんだ。映画館でふと隣の彼を見ると涙を流していることに気づき「私 彼の そういうところが すきなんだ」みたいなポエムを心の中で呟いてみてるのか?彼にとってもらったUFOキャッチャーのぬいぐるみを毎晩抱いて寝てるのか?彼と食べたクレープの味、彼と行った思い出の街、初めて手をつないだ並木道。そういうのが知りたいんだよ!そういうのを教えてくれよ!

と思いつつ、とにもかくにも師走君と、自然な流れで恋人になった。

この月、私はテレビ出演をした。師走君の前の彼氏のことを話す内容だったので、大層やきもちをやかれたことを覚えている。そうして私たちは2021年へと足を踏み入れた。

2.「師走君」と新入社員

4月。門出の季節。
私たちが出会ってから4ヵ月が経っていた。その間「師走君」とは順調にイオンショッピングモールでのデートを重ねていた。

その日も私たちはイオンショッピングモールに来ていた。4月、フレッシュマン向けの商品も数多く展開されているモール内で、突然師走君が言い出した。

『僕はフレッシュマンを経験したことがないんだ』

どういうことだろう。誰しもが新入社員というものを経験したことがあるという認識だった私は戸惑った。

『僕はほら、師走、だからね』

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いつもははじけるように美しい師走君の笑顔が今日はやけに悲しくて、イオンショッピングモールでビアードパパのシュークリームを爆買いした。私にはそれくらいしかできなかった。おいしかった。

同じ頃、私はペパボの新入社員向けの研修を行った。会社の新卒研修であったが、完全に妄想コンテンツに仕立て上げた。私得だった。なんで会社の仕事なのに私物化したんだと今でもあの時の私を殴っていやりたい。

4月に入社した新卒11期生。半年以上が経ち、彼らはもうそれぞれに与えられたステージの上で活躍を見せている。

私物化しつつも大変好評だったため、その後会社で賞をいただいたことは光栄なことであった。

受賞もしたし、この記事を書いたのも私である。すみません、上半期大活躍しちゃってすみません。

3.「師走君」とTwitter

梅雨に入るころ、私はTwitterの中の人業を担当することになった。四六時中Twitterを見ている私にはもってこいの仕事が舞いこんだことに、私は歓喜した。

「師走君って、Twitterとかやるの」

ふと気になって尋ねてみた。彼氏のSNS回りはあまり見ないほうがいいというのが巷の恋愛読本の定説ではあるが、ミステリアスでどこか師走っぽい彼のTwitterには何が書かれているのか、気になって仕方がなかったのだ。

『僕はTwitterアカウント、作れないんだよ。僕って、師走だから』

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こんな風にたまに師走君はよくわからないことを言う。きっと私にはTwitterのアカウント見られたくないんだな。そう思って口をつぐんだ。きっと師走君は秘密主義の人なんだろう。一瞬「どうしよう、会社の悪口とか書く裏アカウントとか持ってるタイプだったら……」と思ったが、さすがに師走君はそんなことしないことくらいわかる。

あらぬ妄想をかき消すように、師走君のTwitterアカウントのアカウント名を妄想してみた。

@shiwasu_121
@Dec1_shiwasu
@nochiko_daisuki

最後のアカウント名を思いついた瞬間、赤面してしまった。やだもーーう!師走君ったら!バカバカ!

ちなみに担当するTwitterアカウントでは、師走君を登場させたことがある。全世界に向けて彼氏を自慢しているようで恥ずかしかったし、完全に私物化してしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだが、弊社の同僚たちはだれも私を責めることはなかった。私と師走君の関係性を祝福してくれてる……ってこと、かな?

4.「師走君」の20周年

11月、ロリポップレンタルサーバーは20周年を迎えた。

「100周年まであと80年」というイベント名で実施された20周年の企画のライティング周りだとかTwitter周りだとかの担当をしたが、この件についてはまた後日まとめ記事を作成するつもりだ。普通に考えたらこのアドベントカレンダーで書いたほうがきっといい内容のはずなんだけど、今一番ホットにアウトプットしたい話が彼ピとの2021年総括なので仕方がない。20周年企画、簡単に説明すると「めっちゃいい経験だった~~」って感じである。

宣伝記事も書いているので、全人類読んでほしい。


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「師走君って、20年前はなにしてたの」

『20年前も、師走君だったよ。たぶん君が生まれてから、ずっと。』

生まれてから、ずっと……?よくわからないけれど、師走君はどこか寂し気で、なんだか不安になった。世間はあたりまえの顔で冬の色を深め、次の師走は、もうすぐそこまできていた。

5.「師走」

2021年の師走がやってきた。
今日、12月1日は師走君と出会って一周年になる。

師走君との思い出を振り返ろうと、iPhoneの写真のデータをさかのぼってみる。愛しい師走君の顔を見てみ……

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あ、れ……?

そこに映っていたはずの「師走君」がいなくなっている。あんなにはじける笑顔をみせてくれていた師走君がもういまはどこにもいない。写真に写っているのはただ白い壁のように見える。どうして。

『僕は2020年の師走君だったんだ』

師走君の声が聞こえてくる。

『君は2021年の師走に足を踏み入れた。だからもう、僕はいない。君は2021年の師走君に出会う。いや、本当は年号なんて関係ないんだ。常に君は新しい師走君を抱えて生きていく。次に進まないといけない』

次に、進むって……?
よくわからないことが多すぎる。師走君はいなくて、また新しい師走君に出会って。どういうことだ。わからない。わからないよ。

いや。本当はわかっている。

師走君は彼氏じゃない。

今は12月1日朝6時。
アドベントカレンダーを担当するまさに当日の朝。
「やっべーーーー1文字もかいてねえええええええ全然おもいつかねえけど妄想彼氏のことだったらすぐ書けるから妄想彼氏のこと書くしかねええええええええええええええ」と、焦りに焦った結果、「自然な流れ」で生み出したのがこの師走君でした。

この記事を書くためにさっき手前味噌で作り出した妄想です。彼氏との1年を振り返るって言いましたが、「師走君」とは1時間くらいの付き合いです。恋人歴1時間です。すみません。こういうことしちゃってすみません。まあみんな、そんなこと、わかってるよね☆彡

妄想と私

人は、わかりやすい能力を誇示しがちな生き物だ。

「走るのが早い」
「頭が良い」
「たくさんお金を稼げる」

そう、私の場合は――

「妄想が過ぎる」

私は今年一年自分の「妄想力」に頼り切って仕事をしてきたように思う。Twitterしかり、ライティングしかり、企画しかり。おおいに活用し、楽しんできたつもりではある。

私が「妄想力」を使って仕事をしてきたのはなぜか。この能力が誰が見ても明らかに「わかりやすい能力」だったからだ。要は見せ方がわかりやすかったのだ。悪く言えば、パッと見の派手さに逃げているだけなのだ。

人はわかりやすい能力を誇示しがちだ。
一番手っ取り早くバリューを出せるからでもあるし、もちろんそれは悪いことではない。むしろわかりやすい能力を発揮することは、大切なスキルの一つでもあるだろう。私自身、1年間「妄想力」を使って仕事をできたことは、とても楽しく幸せな時間ではあった。評価もしていただいた。

だがしかし思うのだ。
わかりにくく、人から見えにくい、こまやかな能力こそ磨くべきなのだと。

たとえば。今年1年私に足りなかったのは「洞察力」と「分析力」だったと思っている。周りをよく見て、必要な情報をその場で整理し分析する力。様々なシーンで、この「洞察力」と「分析力」が足りず、自分のスキルのなさに悔しく思うことも多々あった。特に様々なチームの方と共にプロジェクトを進める際には、うまくコミュニケーションをとることができず無力感にさいなまれることもあった。

つまり、その辺に転がってるような私の「妄想力」だけではいい仕事はできないのだ。「妄想力」に説得力を持たせるためにも、私はもっと細やかな、ぱっと見にはわかりにくい能力にこそフォーカスし、できないことを受け入れ、磨かなければならない。

「妄想の達人」だと自称して活動をしているが、自分が凡人であることを自分がよく知っている。それは妄想力を支え、それを輝かせるための力を私が持っていないからだ。「妄想力」を発揮し多くの価値を生み出すためには、学ばなければならない。努力しなければならない。私が今年得たものは、その「気づき」であった。

今、妄想の凡人が思うこと

今年気づいたことがもうひとつある。
「プレイヤー」だからこそ、「プレイヤーを支える人」として貢献できることがあるのではないか、ということだ。

今年、私は同じくHRブログを担当するCS室の先輩と共に、「ペパボCS大解剖」という連載を始めた。これはCS室のパートナーがHRブログを通してCS室のリアルな様子をアウトプットし、求職者の方にもっとペパボの様子を知っていただけるよう企画したものだ。

記事を作成するにあたり校正なども担当しているが、これがなかなか味わい深い。記事を書いていただき、文脈を合わせつつその人の色を残し、より読みやすく丁寧な記事に作り上げていくその工程はとても難しい。正直自分一人で書いたほうが簡単だ。だがしかし、誰かを輝かせ最適解を探し出すのは宝探しのようでもある。

「プレイヤーとしてやってきたからこそ、目の前のプレイヤーに伝えられることがある」

一緒に寄り添いともに文章に向き合う時、そんなことを感じることが増えてきた。充実感もある。そこにもしかしたら私の使命はあるのかもしれないと、目指す道がすこしだけ見えてきたような、そんな気がしている。

今年一年悩みと葛藤の日々であった。だがその中にこそ明日へのヒントがあったように思う。


「妄想の凡人」は、新しいステージへ足を踏み入れようとしている。
そうそれは、「自然な流れ」で。

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