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【映画11】ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019)

ずっと(といっても5年ほどですが)気になっていた作品でした。
理由は何といってもレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの共演作だから。どうやら初共演だったようですね。
いつもはレビューやあらすじを事前に読んで少し予習してから観始めるのですが、今回はなぜかそれをしませんでした。

未来の私は、そのことを後からひどく後悔します。

なので、これを読んでいてこの作品を未視聴で今から観てみようかな~と思っているそこのあなた!
せめて「シャロン・テート事件」だけでも検索してから観始めることをオススメします。
概要を知ってから観るのと、知らないで観るのとでは観終わったあとの印象がかなり変わるので。



※この記録にはネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。


◆あらすじ

舞台は1969年代のハリウッド。俳優リック・ダルトンはかつては西部劇に出演しかなりの人気の俳優だった。しかし、ハリウッドも移り変わりが激しい世界。今は出演の機会も減り、落ちぶれた俳優となっていく一方だった。クリフ・ブースはそんな彼のスタントマンであり、公私ともに行動を共にする相棒でもある。
ある日、リックの家の隣に女優シャロン・テートと映画監督ロマン・ポランスキー夫妻が引っ越してきた。
そして、1969年8月9日。リックとクリフはハリウッドを揺るがす衝撃的な事件に巻き込まれるのであった。


この2人ほど強いバディはいない

さすがレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットと言うべき!
この作品において二人のバディが本当に良い味を出していました。
冒頭で書いた通り、作品のテーマとなっているシャロン・テート事件のことを調べずに観始めた私にとって上映時間の159分、約2時間半は正直長すぎました。たぶんテーマを知っていた方でも長く感じたことでしょう。
しかし、さすがレオ様とブラピ様。それでも画が持つんです!そういう意味でまず強い二人でしたね。
しかも、レオナルド・ディカプリオが落ちぶれた俳優の役で、ブラッド・ピットが寡黙で影のあるスタントマンの役。それぞれお互いを支えあっている相棒というか親友のような雰囲気がとても良かったです。
それぞれの絶妙な演技も素晴らしい!
レオナルド・ディカプリオが演じたリック・ダルトンは全盛期を過ぎた俳優。自分が主役級で求められていないのは分かっているけれど、俳優としてのプライドもある。そして、仕事に真摯に取り組む姿勢。休憩中、子役の女の子に読んでいる本の内容を教えながら自分と重なって思わず泣いてしまい慰めてもらっていたシーンは何だか可愛かったですね。特に良かったのは、年下の俳優の前でNGを出してしまい控え室となっていたトレーラーで喚き散らしながら悔しがるシーン。その流れから、後の場面では一発OKで素晴らしい演技を行い子役の子にも「人生で一番のシーンだったわ」と言ってもらえた後の少し泣きそうな表情。落ちぶれた俳優の役など逆に難しそうなのに、レオ様だったからこそできたのではないかと思います。
ブラッド・ピットが演じたクリフ・ブースは過去に何かあり(妻殺しとの噂はあったけれど結局真偽は不明)業界から干されている様子。あくまでも問題は起こしたくないとは言うのですが、自ら問題に突っ込んでいくん節もあります。クリフが人を殴るシーンがあるのですが、その時の表情が涼しい顔というか何も悪びれていないんです。(ラストシーンは別として)アクション映画というわけでもなかったのに、この表情管理が逆に怖かったです。それなのに、リッツの前ではちゃんと振舞い、落ち込んでいたら慰めたり励ましたりしてくれる。この二面性を出せるのはさすがブラピ様と言えるのではないでしょうか。
作中でも、俳優としても強い二人のバディでした。

映画のもうひとつの可能性を感じた

繰り返し申し上げますが、この作品はシャロン・テート事件を題材としています。事件のことを簡単に説明すると当時ハリウッドで人気だった26歳の女優シャロン・テートが何の理由もなくヒッピーたちに、友人3人と共に殺されてしまったというもの。しかも彼女は当時妊娠8ヶ月。子供も共に惨殺された、言葉も出ないほど残忍な事件です。
この映画にシャロン・テートも出てくるのですが、その描かれ方が、無邪気というか可愛らしいというか幸せいっぱいというか。実際に起こった事件のことを考えると胸が痛くなります。
しかし、これは映画。フィクションの世界です。実際には存在していなかったリック・ダルトンとクリフ・ブースの二人がいます。この作品での二人の役割はおそらくヒーロー。
ラストシーンで、事実とは違いリックの家に押し入ったヒッピーたちはそこで逆にやり返されます。それはまた、すごい方法で。最後に火炎放射器が出てきたときは開いた口が塞がりませんでした。結局犯人たちが惨殺されてしまうのですが、その殺され方が実際に起きた事件へのどうしようもない怒りを表現しているようにも思いました。(何も知らずに観ていた時は圧倒されていただけでしたが)怒りってこういう表現方法もあるのか、と。
フィクションや史実に基づいた物語を映像化していることが多い映画において、そのどちらでもないこちらの作品は私にとって新たな一面を見たような気持ちになりました。

ラストシーンのその後が気になる

上でも述べましたが、ラストで家に押し入ったヒッピーをリックとクリフで無事撃退はしたのですが、クリフはケガを負ってしまいます。
救急車に乗って病院に向かうクリフに向かって「良い友達だ」と言い、リックに「努力してる」と返す。このやりとりが最高でした。
事件が起こる前に自身の俳優としての引き際を悟ったリックは相棒として雇っていたクリフとの関係を解消することを決め、クリフもそれを了承していました。
クリフを見送った後、今まで交流のなかった隣人の映画監督ロマン・ポランスキーが騒ぎを聞きつけてリックに初めて声をかけます。そして、それをきっかけに家に招待されることになりシャロン・テートとも初めて顔を合わすことになるのです。それは、現実ではあり得なかった世界線。ここで作品は終わりを迎えます。
果たして、そのあと監督であるロマンとつながりができたリックは作品を撮ってもらい再び俳優として返り咲き、クリフとの関係を復活するのか、それとも別々の道を歩むのか。その後の話が気になりました。
しかし、この作品のタイトルは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。「ワンス・アポン・ア・タイム」とはおとぎ話の導入部によくある「むかしむかし・・・」という意味です。
おとぎ話の物語のその後についてはあまり詳しくは語られないものです。きっとご想像にお任せします、ってやつですね。

◆総評

この作品の監督はクエンティン・タランティーノ。
実は私、タランティーノ監督の作品を観るのは初めてでした。理由はグロいと有名だったから。あまりにもグロすぎるのは・・・と敬遠していましたが、こちらの作品は意外と大丈夫でした。多くの作品を観てきたおかげで多少はグロさにも耐性がついてきたのかもしれません。
それに、素人目線ではありますが、カメラワークが独特だったように思います。「おもしろいな~」と思いながら観ていたので長い上映時間も思ったほどは苦には感じませんでした。
映画好きの人だったらきっとこの作品の良さを分かってくれるはず!事前に「シャロン・テート事件」のことを調べることを念押ししたうえで、今度映画好きの友だちに薦めてみようと思います。



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