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Random Note03/ 美しきジュエリーデザイン画の世界

こんにちは、綾野です。
ジュエリーについて、そしてジュエリーを通して考えた人生についてのいろいろを書き残していくRandom Notes。今回は本物もいいがジュエリーはデザイン画もいいぞ、という話をさせていただきたいと思います。最後までお付き合いのほどよろしくお願いいたします。


見るのも買うのも描くのも楽しいジュエリーデザイン画

ジュエリーデザイン画はいいぞ

皆様はジュエリーのデザイン画を直接ご覧になったことがありますでしょうか。今でこそイラストレーターやCADといったデジタルデータが主流になっていますが、これらが現れる前デザインは全て手書きで描かれていました。この手書きのデザイン画が、本物のジュエリーに負けず劣らず、とても美しいのであります。

いや〜この営業、体験してみてーわ(売られる側で)!

雰囲気重視のファッション系デザイン画と言うよりは緻密な建築の設計図のようで、完成品とイメージがかなり近しいのがジュエリーデザインの魅力。ガッシュ/ Gouache(不透明水彩絵の具)を用いて、宝石のきらめきを再現しつつ新しいジュエリーという夢を描く。鍛え抜かれた繊細な線で構成される静謐さと手書きならではの躍動感は、まだ見ぬジュエリーへの期待を高めます。今でも一流のメゾンは上級の顧客相手にあえて手書きのデザイン画を作成するそうです。

見る楽しみ


各国の応用美術系ミュージアムには名ジュエラーたちのデザイン画も収蔵されており鑑賞が可能です。また現在のジュエラーの個展ではジュエリーだけでなく元となったデザイン画が展示されている場合もあります。こうやって完成品とデザイン画を見比べると、デザイナーと職人との喧嘩が聞こえてくるようでニンマリしてしまうものです。

並べて展示してくれている美術館、最高

私が過去見た中で素敵と思ったのは、ロンドンのコンテンポラリーアート専門オークションハウスPHILLIPSで行われていたジュエリーデザイナー、ローレン・アドリアーナの個展です。仕上がりも素晴らしいですがデザイン画も素晴らしく、並んで展示されているとより迫力があります。

違いを見つけるのも楽しい

ジュエリーデザイン画は英語ではDrawingやRendering、Illustrationなどと呼ばれており、名匠の名前+Drawingと検索すれば美しい世界が広がっております。たまにジュエリーは素晴らしいのに絵は中学生かい?という方もいますが、それはそれで趣深いものです(大事なのは経過ではなく結果だよね!)。お好きなジュエラーがどのようなデザイン画を描いていたのか、お調べになってみるのはいかがでしょうか。

アップにしてみると細かさがわかります

またデザイン画ではないのですが、肖像画に描かれたジュエリーというのも見応えがあります。私のお勧めは14〜15世紀初期のフランドル地方で活躍した初期フランドル派の画家ヤン・ファン・エイク(Jan van Eyck)の描くジェエリーです。

ゲントのシント・バーフ大聖堂

先日ゲントにある彼の代表作、神秘の子羊を拝見すること叶ったのですが、正気を疑う精密さです。彼と一緒に生活するのは絶対無理でしょう、床のパン屑ひとつでイラつかれそうです。我らがアントワープのKMSKA美術館にレプリカがございますのでご近所様でご覧になりたい方はぜひ!

買う楽しみ


私がジュエリーデザイン画の魅力に目覚めたのは、夫の影響です。それまではデザイン画=制作のための手段、という認識でしたが、初めて逢った際に彼のデザイン画コレクションを見せてもらい「これは一つの芸術である。」と認識したのであります。

美しいものはデザイン画から美しい

夫のようにデザイン画をコレクションしている方はこちらではさほど珍しいわけではありません。欧米のオークションやアンティーク市場には常に出回っており、有名どころでなければ簡単に手に入れることが可能です。(ちなみにこの手のマーケットに行くとジュエリーに限らず建築物や家具など他分野のデザイン画も扱っており、どれもが本当に美しいのであります。)

巨大な蚤の市を歩き回った思い出

私自身、夫に開眼(というかコレクション自慢?)させられたその足でパリの蚤の市クリニャンクールに向かい、デザイン画やPrinted Matter(=印刷物)を扱うショップにて、1枚購入してしまいました。当時は手書きですと100ユーロ〜、プリントものですと20ユーロ程度でした。本物を買うことを思えばなんとリーズナブル!欧州ご旅行のお土産としても素敵です。

描く楽しみ

ジュエリーを描くというのは一定のお作法があり、それさえ学んでしまえば実は結構簡単です。もちろんFINEを目指すのであれば鍛錬が必要ですし、オリジナルのデザインを考案するとなるとまた別の能力が必要ですが、こちらの画像のようなものであれば数日のワークショップで再現可能です。一時期「大人の塗り絵」なるものが流行しましたがそれと似ており、新しい趣味としてジュエリー塗り絵は流行する素質を持っている気がしています…チルなマインドフルネスタイム…!

光と影、カットの線を描けば宝石になります

私もデザイン提案の質を高めたくドローイングの技術も折に触れて学んでおり、先日もアントワープのダイヤモンド美術館が主催するワークショップに参加してきました。先生はヴァンクリーフでの経験がありとても素敵な方でした。オンライン講座もあり日本からも受講可能ですのでご興味ございましたらぜひ。作ったら数千万でも描くだけならほぼ無料、夢のジュエリーを描くのはシンプルにめっちゃ楽しいです!新しい趣味としてお勧めです!!

本講座の課題ネックレス 夢のスピネルとパライバとイエローダイヤモンド

以上、ジェエリーの魅力の一つとしてデザイン画の楽しみ方を私なりにお伝えさせていただきました。機会ございましたら本体だけではなくぜひデザイン画にも着目してみてくださいませ。


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