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置き勉とヘッドホン

今日学校に行くと、後ろの置き勉スペースからみんなの物が消えていた。

終業式は来週。なんでこんなに早く?と思ったが、今週末試験があるので持って帰らないといけないらしい。知らなかった。私だけ、知らなかった。教科書でパンパンの自分の棚を見る。次に、入りきらなくて上に載せた分を見る。

無理だ。これを1日で持って帰るなんて。それに私のリュックはとても小さい。全ての勉強道具を置き勉しているからだ。この財布とポーチでいっぱいになってしまうようなリュックに入るはずがない。

仕方がないので親に車で来てもらうことにした。17時半にならないと来れないらしい。

あと2時間半。

暇!

勉強しろよという話だが、今の私にそんなモチベーションはない。それでは本でも読もうかと思ったが、そんな気分でもない。なによりヘッドホンを忘れたのがいちばん痛い。ヘッドホンがあれば、昨日の日プを見たり、YouTubeを見たり、ラジオを聞いたりして時間を潰せたのに。

あーあ、暇だな。
何もすることが思いつかないので机に突っ伏した。

放課後の声が聞こえてくる。
袋のお菓子を分け合ったり、共通テストの話をしたり、先生と話したり。詳しい内容までは分からないけれど、楽しそうだな。

ヘッドホンが欲しい。

廊下から聞き覚えのある声がする。昔よく聞いた声。咄嗟に振り返ろうとする気持ちを抑える。見たい。でも、見たら負けな気がする。

なんで忘れたんだ。私の大事なヘッドホン。昨日の夜充電してそのままにしたんだった。馬鹿。

何かすればいい。することなんて探せばいくらでもあるはず。面倒くさいとか気分じゃないとか言ってるんじゃない。

これを書き終わったら1月の演劇の予約をしよう。どうせいつかはやること。少しは時間潰しになるだろう。

また同じ声が聞こえてきた。あいつ、いつまで学校にいるんだ。早く帰れよ。いや、あいつじゃないのか?似たような声の人?私の脳が勝手に変換している…?

やめだ、やめ。考えるのやめ。
そういえばやることはたくさんあった。
演劇の予約をして、台本を覚えて、諸々の返信をして、ダンスの振りを完璧にして、他にも、たくさん、たくさん。

何かしなきゃ。みんな、何かしているし。

ひとりになりたい。

ひとりになりたい!

ヘッドホンがあれば、どこでもひとりになれるのに。

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