【タコの可食部】


 食材としてのタコ。その各部位について書かせていただきます。まず当たり前ですが『足(腕)』。これは当然食べられます。というか、ここが食べられないなら私もこんな商売しておりません。ただ、一昔、二昔くらいの主婦の中には、

『タコの足の先端には毒があるから、足の先端は切って捨てる』

という人が結構いました。しかし、これは間違いです。どうしてそう言われるようになったのかハッキリしませんが、諸説ある中で有力なのは『雑菌対策』。吸盤の中には雑菌がいっぱいいます。当然足先の吸盤は小さいので、なかなかキレイに洗えない。つまり雑菌が残り易いのですね。昭和の中期以前はまだ冷蔵庫の普及もそんなに進んでいませんでしたから、タコを生食する場合のことを考えてそうしていたようです。『雑菌』もまあ『毒』と言えなくもないですね。ただ、タコの唾液やスミには毒が含まれています。なので飛躍した考え方をすると... いや... やっぱり足先とは関係ないですよね。あと、もう一つの有力説としては『食感の悪さ』。固くて舌触りがザラザラと悪いため捨てる。ただ、勿体無いので、『毒がある』と言って捨てる行為を正当化していたというものだそうです。あっ、そうそう... 稀にですが吸盤に『アニサキス』がいることがあるそうです。私は見たことありませんけどね。

 ついでなので、タコの毒について。ここ数年ニュースでも伝えられていますがヒョウモンダコというタコがいます。10cm以下の小さなタコで西太平洋熱帯域・亜熱帯域に生息する種で食用とはされません。その名の通りヒョウ柄... というか毒々しい色の輪状の模様が体中にあるタコ。カエルや昆虫にも見られる警告色といわれる色と模様ですね。変人でない限り、一目見て『食べよう』とは思わないタコです。このタコの唾液にはフグ毒として知られる『テトロドトキシン』が含まれ人が噛まれると死ぬことがあります。また、ヒョウモンダコは危険を察知するとこのテトロドトキシンを含む唾液を吐き出すこともあるそうです。ホントに厄介です。最近の研究では唾液だけでなく筋肉や体表にもテトロドトキシンがあることがわかっているそうです。それでもってまた更に、『ハパロトキシン』という毒を海水中に吐き甲殻類の動きを弱めているとか... なかなかなモンスターですね。コイツが日本近海で発見されているので気をつけなければなりません。

 さて、マダコに話を戻しますが、実はマダコにも毒があります。先程のヒョウモンダコと同じで唾液の中にあります。捕食時に噛み付いて相手を弱らせる効果があります。ただテトロドトキシンのような猛毒ではなく、『チラミン』と『セファロトキシン』という毒です。人が噛まれて死ぬような毒ではないものの、場合によっては腫れ・痛み・痺れなどの症状が長く続き、最後にはタコの歯型が残ってしまうそうです。危険であることは間違いありません。ただ、この毒は『タンパク毒』と言う毒で熱を与えると無害なので安心して下さい。また、スミにも毒がありますがそれについては後述の『肝』の紹介で説明することにします。そういえばウナギの血にも毒があるそうですが、これも加熱で無害化するそうです。蒲焼は正義ですね。

 タコの可食部。次は『胴体』。よく頭と言われたりする大きく丸い部分。正式には外套膜。もちろん食べられます。足(腕)と違ってコリコリといった食感はありませんが身と皮の間にあるゼラチン質がいいですね。私の意見としては、赤味噌を使って名古屋の土手煮風にするのがお勧めです。『チュルンッ』とした食感がとても素晴らしいですね。タコメシに使うのもお奨めです。ゼラチンがまたまたいい仕事します。

 次は『カラストンビ』。タコやイカにある口の歯のことです。足(腕)の中心にあり、エビやカニのような甲殻類をも噛み砕くキチン質の嘴(クチバシ)状の歯。上顎がカラスの嘴、下顎がトンビの嘴と似ている? ことからその名がついたと言われていますが... 似ているのかなぁ...。まあそれはそれとして、食材として指すときは基本的にその周りの肉のことです。顎にある歯を動かすのですから、当然顎の筋肉です。イカの場合、稀に小料理屋さんなどで煮込まれたものがあったりします。そのビジュアルは

『鬼太郎の親父かよっ!!』

っといいたくなるようなちょっとグロテスクなものですが、食感は他のどの部分、いや、数多あるタンパク質系の食材と比較しても特異なものです。上手く説明できません。

『柔らかいけど、歯応えがバツグンで小気味良く...。瑞々しいのだけど、これってホントに瑞々しいと言うのかな...。球状で中は空洞だから歯応えの割りに食感が軽いし...。』

っと、とにかく他に例が見つかりません。味は超淡白。塩コショーと醤油で炒めても美味しいですが、但しそれは食感の妙。私の店では酒、味醂、醤油に漬け込んでから天ぷらに仕上げています。香りはもちろん一級品。天ぷらの衣がその食感を更に面白いものにして絶品のメニューです。もちろん数が極少ないので、ちょっとした裏メニューですけどね。

 次は『ナンコツ(軟骨)』。私の店ではメニュー中にタコの『ナンコツ』の文字があります。それがお客様の目に触れると、

「タコにナンコツってあるんですか?」
「どこにあるんですか?」

という話になることが多々あります。もちろんナンコツはあります。あるからここに書いています。さてさて、如何な軟体動物とはいえ形がある程度定まっていないと不都合なところがあります。その部分がナンコツで出来ています。その部分とは目と脳のこと。目の位置がグニャグニャとしてしっかり座ってなければ、見る対象物の位置も距離もはっきりしません。だから目はしっかり固定できる部分にあります。ナンコツには窪みがあり、そこに目が据え付けられているのです。そして目の後ろのナンコツ越しに脳があり、神経で繋がっています。この部分だけはある程度の形と強度が必要なわけですね。食材として仕込む際、目をくりぬき爪で神経を引っ掛けて千切るのですが、ちょっと気持ち悪い作業です...。

 っで!! 味なんですが、これも基本的に味はありません。食感が面白い部分です。鶏よりもかなり瑞々しいですね。鶏のナンコツが『ヴゥォリヴゥォリ』なら、タコは『クォリッツクォリッツ』って感じでしょうか? 鶏みたいに強く噛まなくてもバラバラッと砕けてしまいます。これも私の店では天ぷらに使っています。塩コショーをした上にガーリックパウダーを纏わせ揚げるとお酒に合う肴になります。男性より女性に人気があります。

 さあ続いて、次は内臓です。内臓のトップは『肝』。イカと同様内臓で最も大きな部位。腹のど真ん中にある弾丸型のものがソレです。大きさはまちまち。色もまちまち。特に色は茶色系統ではありますが、結構黄色っぽかったり、黒かったりとかなり差があります。そしてこの肝の表面には埋め込まれているようにスミ袋があります。そうそうこのスミですが、イカスミは有名ですね。それでタコのスミはどうなんだ? という話題も多いのですね。でっ、実際それがイカよりも美味しいとかそうじゃないとか... よくわかりません。ただし、タコのスミに含まれる旨み成分はイカよりも多いそうです。しかし美味しいかどうかはそれだけで判断できませんからホントのところはわかりません。また、

・タコはイカに比べて漁獲量が少ない。
・同じ大きさのタコとイカでもスミの量そのものがタコは少ない。
・イカは簡単だが、タコのスミは採取しにくい。
・イカのスミは粘度があるが、タコのスミはサラサラしていて利用しにくい。

といった理由からタコのスミを使った定番料理がないようです。タコスミパスタを作ろうとした場合、必要なだけスミを集めるだけで数千円かかるという話を聞いたこともあります。あと、前述したとおりスミの中にも毒が含まれています。スミを吐き天敵のウツボの動きを抑制するとか...。実際にはあまり利いてないような気がしますが...。このスミの毒はイカも同じだそうです。ただ、熱を加えると無毒化するので調理する以上は安心ですね。

 さて、この肝。私の店では自家製のレバーペーストにして提供しています。オリーブオイル、玉ネギ、調味料、スパイス、ハーブと共に火にかけて完成ですが、先程のスミも一緒に調理しています。それが正解なのでしょう。とびっきりの酒の肴です。そのまま舐めてよし、パンに塗ってよし、料理に加えてもよしと超万能。最近ではアヒージョのオリーブオイルに溶かして使用することを始めましたが、これが絶品。オイルを浸したパンが止まらない逸品です。また、醤油に溶かせば極旨の刺身醤油になります。魚のカワハギも肝を醤油に合わせて食べる薄造りが有名ですよね。またこのタコの肝を溶かした醤油は卵かけご飯につかっても秀逸です。タコの肝はそれだけではなく、ミルクを加え玉ネギやブイヨン、スパイスでソースを作り生パスタ(フィットチーネ)に絡めたら病みつきになる美味しさ。若い白ワインと合わせるのがお奨めです。どれも他の店ではまず出せない自慢のメニューです。

 さあ次の内臓。『ハラミ』。... ハラミ...? とは言っても牛のように横隔膜を指す部位ではありません。すみません...。私の店で勝手にそう呼んでいるだけです。タコの胴体の中にある多くの臓器を囲み、それらがバラバラにならないように存在する『薄い筋肉の膜』のことです。非常に歯応えがよく舌触りも滑らかです。同じ筋肉でも足(腕)とはまったく違うものですね。少し胴体の肉と近い感がありますが、その薄さと噛み応えの程好い固さ、そして滑らかさは他のどの食材とも違うものです。味も淡白ながらしっかり旨みがあり、寿司ネタにするとトリガイやツブガイのライバルになるのではないかと思います。

 続きます。次の内臓は『胃袋』。これも可食部です。ただマダコのそれはとても小さい。重さ1kg程のタコでも胃袋の大きさは2~3cmくらいでしょうか、ホントに小さい。形はほぼ球形。でもどうしてそれ程小さいのかを考えていたら、私なりの結論が生まれました。その答えは食道。当たり前ですがタコが捕食した物は口(カラストンビ)で噛み千切られ食道を通って胃袋に送られます。人間も同じです。一部を除き生物の多くがそうです。でっ、例として人間の場合、食道はあくまでも食べたモノの通過点ですがタコは違うのです。口で噛み千切られ小さく砕かれた食物は一時的に食道に蓄えられているのです。解体したときに食道にエサがたっぷりあって膨らんでいることがあるのです。タコはエサを捕まえて、とにかく噛んで食道に蓄積し、あとでゆっくり時間をかけて消化しているのではないかと思います。だから食道は食料貯蔵庫の役割も果たしているのでしょう。ちょっと違いますがハムスターのホッペのような感じですね。ところで胃袋の味はというと... これもまた食感が面白い。すみませんそればっかりですが、そう言う以外言葉が見つからないです。あえて言うなら、噛んだときに顎や頭蓋骨から伝わる咀嚼音が『コリッ』と『パリッ』と『シャクッ』の3つが同時に響くような... そんな感じです。また食感はしっかりあるのに、凄く軽い歯ざわりです。中が空洞だからかな? これも他のどの食材にないものです。

 さあもう少し、次の内臓は『腸』です。驚きですが... この腸は先程の胃袋より更に小さい... というか短いです。1kg程度のマダコでも1.5~2cmといったところでしょうか。形は螺旋状です。

『まったく、こんなのでよく栄養が吸収できるなぁ...。』

と思います。でも、もしかしたらこの短い腸と小さな胃袋... お互いにバランスが取れているのかもしれません。どちらか一方だけが大きくても仕方がないですよね。それに間違っているかもしれませんが、あえて書きます。タコの胴体(頭)は収縮することで海水を噴射し泳ぎます。その際、内臓が大きくなり過ぎると海水を吸い込む容量が減ってしまうので泳ぐ能力が低下するのではないでしょうか? また、岩場に隠れるときも胴体が大きくなるほど狭いところに隠れにくくなります。なので内臓も過剰に大きくならないように進化したのではないかと... あくまでも私の考えですがそう思うのです。食道に噛み砕いたエサを溜めるのも、そうすることで食べた量が多くても食道が長いために内臓と胴体は比較的スリムな形を保てるからではないでしょうか? ところでこの腸の味と食感は特筆すべきことはありません。

 では、内臓の可食部その最後、それは『鰓(エラ)』です。

「ウエッ!! 鰓って...。」

と思う方も多いかも知れませんね。確かに『鰓』が食べられる食材なんて他に聞いたことがないです。魚の場合、鰓が真っ先に腐ってしまいますから、釣り人も釣りが終ってすぐに鰓を取り除き、そうしてから魚を持ち帰る人がいます。またその形や色も食欲を刺激するものでは決してありません。表面もギザギザ、ザラザラでとても美味しいと思えませんね。でもタコの鰓は魚のそれとはかなり違う形状と材質です。塩揉みをする前のヌルヌルの身体同様、鰓も超ヌルヌルとしています。形は... んん~っと... 蛾の触角、それも太いタイプのものを少し立体的にしたような... それか葡萄の房、超小さな葡萄の粒でできた房を少し扁平にしたみたいな... そんな感じでしょうか。大きさはやっぱり1kgのマダコの場合で、4~5cm程度です。色は薄ぅ~いクリーム色。塩を振りしっかり揉み洗いしても、ヌメリが完全に取れることはありません。半分ヌメリでできているのか思うくらいです。茹でるとクルクルッと丸まります。その形はパスタのニョッキに似ています。食感は柔らかくて、噛み切りにくくて、しっとりとしています。ズワイガニの卵の外子をユルユル、フワフワにしたような感じといえば伝わるでしょうか? 味は特にありません。しかしやっぱり食感の妙があり、酒好きには人気があります。

 これら内臓の可食部。店では自家製の酢味噌をたっぷり添えてお出ししています。ご来店時には必ず注文される方も多い人気メニューでもあります。しかし、一皿に少なくとも3バイほどのタコを使用しておりますので、提供できる量が限られてしまいます。

 そして来ました。超レアな食材、『白子』。... あるんですよ『白子』。貝と近い種ですからね、ちゃんとあります。因みにホタテだと貝柱に沿うように赤、もしくは白い半円状の膨らみがありますよね。あの赤い方が卵。白い方が白子です。一見赤い方が見栄えはいいですが、食べると白い方が美味しいです。っと、ここでタコの白子に話を戻します。もちろんオスのタコにしかなく1kg程度のタコなら15~30gといったところでしょうか。色はその通り白く、形は... んんっと... 人の胃袋みたいな... 感じかな? 『球体の一部をちょっと引っ張ったら少し横によれた』ってそんな形です。袋状の中身の多くが極細の糸を巻いたようなものからできていて、私の店では茹でたものをポン酢でお出ししています。ねっとりした食感ながら舌に残らず、香りと旨味、特に旨味は飲みこんだ後もしっかり感じます。うまく言えませんが『タコの白子だな』と実感する味。少しの量でも存在感が抜群で

「フグの白子より美味しいかも?」

とおっしゃる方もおられます。大人気メニューです。
 

そして、最後、卵。この卵についてはマダコ以外も少し説明いたします。先ず、その卵が珍味の代表格と言えばイイダコ。イイダコの体はマダコより小さく、最大では30cmくらいに成長します。でも基本的に20cmに満たないサイズが一般的です。もっと小さな個体を1杯丸ごとタコヤキに入れている店があると聞いたこともあります。確かにインパクトはありますが... どうなんでしょうかね? ジャンクフードと捉えればOKなのでしょうね。しかし味を考慮せずに、ただ『丸ごと1ハイ』や『デカい』を強調しているタコヤキを正直私は好きにはなれません。
さてそのイイダコの名の由来は一粒のサイズが米粒と同じ位で形も似ているからイイ(飯)ダコ。本体は小さいのでそのままの姿で煮物、おでん、串に刺してバーベキューにしたりと人気ですが、卵があるメスがオスより倍以上値が張るそうで、イイダコはその卵に大きな価値があるのです。シシャモと同じですね。卵だけを生のまま三杯酢で酒の肴にするのも一興です。マダコと比べ随分小さな身体ですが卵一粒の大きさは桁違いに大きい。それがいいところですね。

 次にミズダコの卵。薄い膜に覆われたその全体はさすがに大きい。1kg以上のサイズもザラです。大きなソフトボールよりも更に大きい。ただ、一粒一粒は8mm×3mm前後の長卵形と言うことなので、さすがに体が大きいから卵も大きいといったところでしょうか。でも実際現物を扱うと「うそだろ!! そんなに大きいか!?」って信じられない気持ちになります。何度もミズダコの卵を扱ったことがありますが、眼を細めて見ないと形がはっきりわからない程度の大きさです。色合いと形はグレープフルーツの砂のう(房の中の小さな粒)と似ています。それを更に小さくして細長くした感じかな? 8mm×3mm前後と言うのはもっと成熟した大きさで、私が見たのは未成熟だったのかもしれません。多分そうなんでしょう。あしからず。

さて、ここでマダコの卵です。外形や一粒の形はミズダコと非常に似ています。ミズダコの卵も一粒は小さいですが同様にマダコの卵も一粒はとても小さいのです。タラコよりもずぅーっと小さい。魚介類の中でもかなり小さな類だと思います。薄い膜で覆われた塊は『タコマンマ』などと呼ばれ、成熟したものはテニスボール程の大きさくらいで、薄い黄色。結構重量感があります。

最後にヤナギダコの卵。この一粒はかなり大きい。ちょっと... いや... 結構グロテスクなビジュアルです。『怖いものが見たい人』はネットで探してみたらいいです。特に『群体』が苦手な方、夢に出てくるかもしれないレベルのインパクトですから注意です。しかし北海道ではよく食されるようで、多くはイイダコと同様三杯酢で食べられています。産卵期にはスーパーでもよく見られます。また、こちらも現地では『タコマンマ』と呼ばれています。グロテスクと言ってごめんなさい、北海道の人達。

でっ、再びマダコの卵に話を戻します。味は... あくまでも私の個人的な感想ですが...

『特筆すべきことがない』

って思っています。良質なたんぱく質で栄養面では優れているでしょう。ただ、特にコレと言った味はありません。メディアなどで『超珍味』扱いされていることがありますが、『なんで?』って感じです。一般的に流通するものではないので『珍しい』ことには間違いないのですが、味はコレと言って特徴がほとんどないです。私も

『美味しいならメニューに加えよう』

と何度かトライしましたが... 諦めました。もちろん不味い訳ではありません。味もまったくないこともないです。しかし砂糖や醤油、酒などで味付けして美味いということで、素材の力が感動を与えてくれる食材ではありません。そういうものに『珍味』という枕詞を加えて売るのには抵抗があります。珍しいのは結構ですが、やはりその素材を活かした美味しさでないと

「どうですか? 美味しいでしょ!!」

って、お客様に笑顔で向き合えないです。あっ!! 念のために繰り返しますが、マダコの卵についての私なりの意見です。イイダコ、ミズダコ、ヤナギダコの卵についての話ではありません。

 ただ、ただですね... 最近になりこのマダコ、それとミズダコの卵を使って辛子明太子ならぬ『辛子蛸子』を作ってみたところ、味わいはその通り辛子明太子のようなものができました。しかし卵の粒が小さ過ぎる上に柔らかすぎて触感が残念です。そこで、ご飯に乗せ出汁をかけてお茶漬けにしてみたら... これはなかなかに面白いものができました。あと、勢い余って塩漬け後に酒で洗い天日干し、そう『カラスミ』にしたところ、これは実に趣のある旨い酒の肴になりました。相当な手間と時間がかかりますが、これは価値があると実感しています。『辛子蛸子と薄造りタコのお茶漬け』と『タコのカラスミ』、運がいいお客様は店で召し上がって頂くことができますよ。


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