アヤノカラス

京都でダイニングバーの経営をしています。 学生時代の経験をもとに書いた話です。60~7…

アヤノカラス

京都でダイニングバーの経営をしています。 学生時代の経験をもとに書いた話です。60~70%くらいが実話です。 読んでいただけたらありがたいです。 感想なんかいただけたら滅茶苦茶ありがたいです。

マガジン

  • 蛸を食べる

    タコ料理専門店のマスター(私自身)が国産の生タコを20年以上扱ってきたという『生きた経験』からタコについてアレコレ思いつくままに書いたとりとめのない話です。

  • ミモちゃんとドライブ

最近の記事

【あとがき】

タコはとっても美味しい食材です。また、日本人にとってとても身近でとても愛されている食材。しかし一部の関係者の雑な扱いや、知識やポリシーのない流通・加工によりその優れたパフォーマンスが活かされていないケースが非常に多い。とても嘆かわしいことです。加えて、その惨状に気づくことのない調理関係者(もちろんそうじゃない方も多くいます)、そして消費者は 「タコの味って... えっ!! 知らない。こんなものでしょ。」 と納得してしまっている。そう、知らないから追求しない。追求しな

    • 〖余談〗の時間 その十

      ではどうして私が脱サラして店を始めたのか、それはタコの旨み(味)を知ったのがきっかけでした。そのエピソードです。ノンフィクションです。 京都生まれ大阪育ち、就職も大阪、私は頭のてっぺんから足の指先まで関西人でした。しかし1990年、28歳の頃、とある企業からハンティングされた私は、関西を離れ九州の福岡市に移住することになりました。その地でできた友人たちとの何気ない会話の中でした。 「大阪の人の家には絶対タコヤキ用の丸穴鍋があるって本当?」 最近はあまり聞かなくなりま

      • 【BROGLD】

         知識的なことばかりだと何ですので、ちょっとお店のことも書かせてください。『どうして脱サラする気になったのか』も書いています。独立を考えている人は参考になるかもしれません。ちょっと長くなるのであしからず...。  最初の『きっかけ』で書かせていただきましたが私は“BROGLD(ブログルド)”という名の『タコ料理専門店』を経営していますが、最初は『縁蛸(えんたこ) 』という名のタコヤキ屋としてスタートしました。脱サラ、料理学校経験なし、まったくの素人で始めました。 その縁蛸は

        • 【タコ料理のレシピ】

          この際ですから、我がBROGLDで提供している一部のメニューを紹介します。 『タコの赤ワイン煮』 ギリシャ料理として先程も紹介しました。テクニックとしては何も特筆すべきことはありません。良い材料が揃えば誰にでも簡単に出来ます。まぁ... ただ良質のタコを入手するのが難しいのですが...。 材料.1  生のタコ   1kg  ブツ切りに(4~5cm)、大胆に大きく 茹でタコでは基本的に美味しくできません 材料.2  トマト缶        400

        【あとがき】

        マガジン

        • 蛸を食べる
          29本
        • ミモちゃんとドライブ
          37本

        記事

          〖余談〗の時間 その九

           最初は『たこ焼屋』からスタート。でもそれが何故『タコ料理専門店』になったのか? 不思議に思う方もおられるでしょう。もちろんこれにも、アレコレ紆余曲折ありました。 「絶対成功する!!」 っと脱サラして始めた店。当初は 「5年後にはクルーザー買うんじゃーっ!!」 とまで豪語していました。しかし僅か最初の数か月で世間の厳しさ、自分の甘さを痛感しました。今更サラリーマンに戻ることはできません。いやできたかもしれないけど変な意地を張っていたかもしれないですね。それに事実、お客

          〖余談〗の時間 その九

          【海外の代表的なタコ料理】

           本当に有名な料理だけですが案外面白い発見もあります。最初にギリシャ。日本以外でタコをよく食する国で代表的な国、それがギリシャ。実は英語の『オクトパス(Octopus)』は元々古代ギリシャ語からだそうです。そして現在のギリシャではタコのことを『クタポディ(Χταπόδι)』と言うそうです。何でかな? 古代ギリシャ語が英語になって、その元の古代ギリシャ語が今は別の単語になって...? でも意味は同じだそうです。古代も今もそれぞれ『8本の足』という意味なんだそうです。 因みにギ

          【海外の代表的なタコ料理】

          〖余談〗の時間 その八

          京都洛北の東の端、一階で店をやっていると思いがけない来客があったりします。 ・ドアを開けた瞬間、血相を変えて飛び込んできた『子猫』。 ・窓から飛来してきた『オニヤンマ』(ホントに大きい)。 ・どこから入ってきたか不思議な『サワガニ』 ・天井の小さな穴から現れた大きな『ムカデ』 ・手のひらより大きな『スズメ蛾』 ・大軍勢で看板の光や窓めがけて押し寄せてくる『女王アリ』と『羽アリ』 ... すごい自然豊かな立地でですねぇ...。 でも一番私を驚かせたのは彼らではありません

          〖余談〗の時間 その八

          【タコの目利き】

           ここで一度、良質のタコの選び方を考えてみます。これも私はしっかり勉強したわけではなく、あくまでも経験上そう思ったことなので専門家が読めば、 「間違っている。」 と言われるかもしれませんが、この際気にせず自論で行かせてもらいます。また、ここでは市場に出た時点で茹でてあるものは除外します。私なりの『生のタコ』の品定め方法を書かせていただきます。  まず『外見』というかパッと見た時の状態。どういう形で置かれていても立体的なものがベター。筋肉が発達しているとタコの全身が盛り上

          【タコの目利き】

          〖余談〗の時間 その七

           とある日曜日の午後。開店時間直後に電話が鳴りました。このタイミングなので、テイクアウトの予約かな? っと思っていたら、電話に出た奥様が何か妙な表情を浮かべながら、  「あ... はい。はい。申し訳ございません。」 と変な感じ。しばらくして奥様が電話口を手で押さえて私に伝えます。その内容は、 1. 昨日ウチの店のたこ焼を買ったお客からの電話 2. 帰りの電車の中で子供に食べさせた 3. 『たこ味焼』の中に髪の毛が入っていた 4. 子供はソレに気づかずの食べてしまった(一

          〖余談〗の時間 その七

          【タコの旨み成分等】

           鰹節のイノシン酸、昆布のグルタミン酸、干シイタケのグアニル酸などいわゆる『旨み成分』。もちろんタコにもあります。 先ずグリシン。最近はサプリとしても注目されている物質です。自然でまろやかな旨味が特徴。甘味度は砂糖の70%程だとか。グルタミン酸ソーダなどの物質との相乗効果で旨味が増すので昆布と併せるといいですね。また、塩、酸味、苦味を和らげる効果があります。その上静菌作用、つまり菌の活動を抑えるそうです。当然サプリとして注目されている以上、『旨み』としてだけではなく人の健康

          【タコの旨み成分等】

          〖余談〗の時間 その六

           『たこ味焼』をテイクアウトされるお客様には、ご要望なら『割り箸』をお付けしています。極々超トロトロですから爪楊枝じゃ上手に食べられません。しかしここでちょっと難儀な問題があります。  『たこ味焼(たこ焼)』という食品の性格上、テイクアウトした場合1パックを複数人で召し上がることがよくあります。当然ですよね。だから例え1パックでも割り箸が1膳とは限りません。ですからお客様に割り箸を何膳希望かその都度聞いていたのですが、 「4つください。」 「5膳。」 「6膳欲しい。」 っ

          〖余談〗の時間 その六

          【タコの可食部】

           食材としてのタコ。その各部位について書かせていただきます。まず当たり前ですが『足(腕)』。これは当然食べられます。というか、ここが食べられないなら私もこんな商売しておりません。ただ、一昔、二昔くらいの主婦の中には、 『タコの足の先端には毒があるから、足の先端は切って捨てる』 という人が結構いました。しかし、これは間違いです。どうしてそう言われるようになったのかハッキリしませんが、諸説ある中で有力なのは『雑菌対策』。吸盤の中には雑菌がいっぱいいます。当然足先の吸盤は小さい

          【タコの可食部】

          〖余談〗の時間 その伍

           どこのどの飲食店もそうでしょうけど、ほんとに色々な人がやってきます。中には私の前で堂々と、  「俺にもたこ焼屋だったらできると思うねん。」 っと呆れるほど失礼なことを言ってくる人もいます。でもそういうタイプじゃないちょっと不思議な方もおられます。  創業当時、最初の店は店内の狭い待合スペースに2~3人なら入ることができました。その席の位置は道路(歩道)に面した窓に向かってたこ焼を焼いている私を右側面から見る場所になるのですが、そういった位置関係なのでお客様と話しながら

          〖余談〗の時間 その伍

          【タコの冷凍保存について】

           さて、前のテーマで書きましたが、 『基本的に地元の一部や特別なもの以外、流通するタコは冷凍されます』 とあるように、皆さんが口にするタコはそのほとんどが冷凍後に流通されたものです。この際はっきり申し上げますが私の店で仕入れているものも冷凍です。ただ、“生”の冷凍です。しかしこの、“生”と“冷凍”という言葉が広く世間一般には、持つニュアンスに不確かな理解があります。例えば、 「ウチの店のタコは産地から直接送られています。その生タコを調理しています。」 と言えば、お客さ

          【タコの冷凍保存について】

          〖余談〗の時間 その四

          私の店は自店の『たこ焼』を『たこ味焼(たこあじやき)』と呼んでいます。ソースをぬらず具はタコだけ。たこの旨味を味わうたこ焼だから『たこ味焼』です。茹でる工程をせず、生のタコを生地に入れ焼きますのでタコに火が入れば肉が縮み、そのエキスが流れ出て超トロトロです。おそらくこれ以上トロトロのたこ焼はないと思います。お客様に中にはそのエキス(液体)の多さに、 「小籠包みたい」 とおっしゃる方も多くおられます。たこ焼にとってトロトロは正義。とても大切なことです。 さて、そういう超

          〖余談〗の時間 その四

          【産 地】

           タコ(マダコ)の名産地は全国に結構あります。兵庫県の明石は特に有名ですが西日本では岡山の下津井、広島の三原、山口の周防瀬戸、熊本の天草、中部は愛知の日間賀島、東日本では宮城の志津川といったところがよく知られています。私が西日本以外の産地をよく知らないだけかもしれませんが、確かに瀬戸内海が目立ちますね。特に有名な明石のタコなんか現地では『立って歩く』と言ってそのブランドを強調していることがあります。その理由は潮の流れが早く岩の起伏が大きいため踏ん張って生きているからだそうです