【タコの旨み成分等】


 鰹節のイノシン酸、昆布のグルタミン酸、干シイタケのグアニル酸などいわゆる『旨み成分』。もちろんタコにもあります。

先ずグリシン。最近はサプリとしても注目されている物質です。自然でまろやかな旨味が特徴。甘味度は砂糖の70%程だとか。グルタミン酸ソーダなどの物質との相乗効果で旨味が増すので昆布と併せるといいですね。また、塩、酸味、苦味を和らげる効果があります。その上静菌作用、つまり菌の活動を抑えるそうです。当然サプリとして注目されている以上、『旨み』としてだけではなく人の健康にも役立つ成分です。

次にベタイン。動植物全般に広く存在するそうですが、動物ではタコ以外にエビ、カニ、イカ、貝類などに多いそうです。グリシンと同様、他の旨み成分との相乗効果で旨みを増強するそうです。またベタインには塩、酸味、苦味を和らげる効果があります。そして特徴的なのはベタインには水産物特有の味わいがあることだそうです。そう言えばタコはエビ、カニを好んで食べるので、より多くのベタインを含んでいるのかも知れません。何故ならタコは普段食べているモノでその味わいが大きく変わる傾向がある食材だからです。私が仕入れている山口県の周防瀬戸、上関半島の海域には学名もついていない小さなエビやカニがたくさんいると聞いたことがあります。だから美味しいと感じるのかも知れません。

 最後にタウリン。旨み成分ではないのですが他の旨み成分に影響を与えることで味を増加させることから、ここにも書き加えます。ほのかに甘いと言われています。タコに含まれる成分として一般的に良く知られている『タウリン』。栄養ドリンクのCMで聞いたことがある人が多いのではないでしょうか? 味に関しては良き脇役のようですがその効能はなかなかすごい。

・肝臓の働きを活発にする
・血糖の上昇を抑える
・血中コレステロール、中性脂肪を減らす
・血圧を正常化する
・肝臓の解毒能力を強化、アルコール障害にも効果的
・インスリン分泌を促進し糖尿病の予防・治療に有効。
・視力の衰えを防ぎ、新生児の脳や網膜の発育を助ける。

ちょっと万能すぎると思うのは私だけでしょうか? 特に中高年には助かるものばかりですね。なんと脂肪燃焼効果も期待できるそうです。魚肉に多いとされる成分ですが、特にタコに多いようです。ただし、ホヤはその3倍だとか...。しかしホヤ、そんなに食べる機会がないし、食べても量が少ないですからね。

その他の目立った成分として、抗酸化作用があり、若返りビタミンとも呼ばれる『ビタミンE』。貧血に有効で動脈硬化を防ぐと言われる『ビタミンB12』。あと味覚を正常に保ち、皮膚や粘膜の健康維持を助ける『亜鉛』などをよく含むそうです。

ところで、そもそも『旨い』、『美味い』は『甘い』から変化してできた言葉なので、甘味を感じる食材はそれだけ旨み成分を多く持っていると言えますね。タコも『旨み』をたっぷり持っている食材だけに一部の漁業関係者及び流通業者がそれを蔑ろにしていることが残念でなりません。


前項  目次  次項


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?