オードリーがヒルナンデスを卒業して寂しい。

芸能界の椅子取りゲームにおいて、お昼の情報番組は取っておきたい席であり、その中でも「ヒルナンデス」は特等席である。

ヒルナンデスのレギュラーが決まると、毎週2時間の生放送が固定で入る。
それ以外にも、定期的に半日〜丸一日かかるロケ定期的に入るため「ヒルナンデスのレギュラー」だけで相当なギャラが入り、芸能人ながら安定した生活が手に入る。

お昼は「主婦」を中心としたある程度の固定視聴者がいて、飲食店などでテレビを放映する番組もあることから、普段テレビを見ないビジネスマンにも見てもらえる。芸能人の認知度を高めるためには、うってつけである。

また、ヒルナンデスのレギュラーのメリットは、芸能人本人のメリットだけじゃない。ロケが盛んなヒルナンデスは、売出し中の若手を売り込む場所としてうってつけの場所だ。
前説やバーターで出演できるのは大きく、うまく売り込みに成功すれば、番組出演に繋がる。
なので、ギャラが上がって割にあわなくなっても、番組を辞めない芸能人一定数いるのは、「事務所のため」と割り切っている一面もあるのだろう。


そんなメリットが多いヒルナンデスは、椅子取りゲームの席の奪い合いで必死である。スタッフの入れ替わりも激しいため、人気がなくなって愛想を尽かされなければ、すぐにクビになる。熾烈な戦いである。

売れてない頃にヒルナンデスの前説をやっていたぺこぱの松陰寺さんは、常々言っていた言葉がある。

「ヒルナンデスは「出演したい」と思って出れる番組ではない。」


私はたまに思う時がある。
「南原さんって寂しくないのかな。」

一番輝いている時期にレギュラーになり、その輝きがなくなる頃にはレギュラーがクビになる。
「番組を楽しむ余裕」を持つ前に卒業してしまう。

そんな「闇」の部分を抱えたヒルナンデスだからこそ、せめて番組中は楽しんでもらえるように、南原さんが色々考えてくれているのかもしれない。

「南原さんと仲良くなる」境地に辿り着いたとき。
それは「卒業へのカウントダウン」が始まったことを意味する。


以前、有吉さんがヒルナンデスを卒業した時に「辞めると伝えてもなかなか辞めさせてもらえなかった」エピソードを聞いたことがあった。
だから、オードリーが辞める予兆は何年も前からあったけど、まぁ事務所的なメリットもあるし、難しいだろうなぁ…と思っていた。

その予兆は日に日に強くなっていった。
なかなかロケに行かない南原さんとのロケ。
今年に入ってからのロケの減り具合。
オードリーがやっていた役割をマヂラブに任せて、後任として育てたいのが伝わってきた。

だから、卒業そのものに、驚きは全くない。
私がなんとなく立てていた証明が、成立してしまっただけだ。
むしろ、とうとうこの日が来てしまったのかと、寂しい気持ちでいっぱいになった。

ちょっとだけ噂になっていたヒルナンデスにオードリーが移籍した結果、あっという間に笑っていいともの船が沈没していった。
それがもう10年前の出来事だなんて、考えられないなー。

オードリーがいなくなった水曜ヒルナンデスのメンバーは、1年以上居るのが井桁さんしかいない新人メンバー中心のメンバー。
0から全く新しいヒルナンデスを作り上げる、スタッフの気合いが伝わってくる。


私がオードリーに抱いている卒業の寂しさは、
もうお昼にオードリーを見ることが出来ない寂しさや、
オードリーのロケが減る寂しさではない。

オードリーが天下を取りに、遠くへ、遠くへ行ってしまうことへの寂しさなんだと思う。


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