見出し画像

どれだけ言葉を尽くしても、思いを100%伝えることはできない

次男「ひいおじいちゃんって、まるちるで生まれたんやろ?」
私「え?マルチル??」
次男「まるちるやん!あれ?まんちん??」
さっぱり分からん・・・???
皆さん分かりますでしょうか?正解は・・・・満州です!!ヾ(*´∀`*)ノ
うろ覚えでも押し切る強さが眩しかった初瀬野アヤセです。こんにちは。

さて、今日はマインドセットの中でも私が特に重視している”コミュニケーションに対する姿勢”について取り上げたいと思います。

コミュニケーションは日常生活を送るうえで不可欠なもので、誰しもが特に意識することなく使っていると思います。
特に日本で生まれ育った場合、義務教育が浸透していることもあり、言葉が通じなくて困るという経験をした方は少ないのではないでしょうか。

その為、コミュニケーションは自動的に成立するものだと思いがちですが、実はコミュニケーションが成立するには条件があります。

ローマン・ヤコブソン(Roman Jakobson)というロシア人言語学者が、1956年の講演を元にした論文「言語学と詩学」において、コミュニケーションに不可欠な6つの要素として定義しているものです。

個人的にこの考え方がしっくり来たので、コミュニケーションに対する姿勢としてマインドセットに組み込んでいます。
尚、私の理解なので学問としての表現ではありませんのでご了承下さい。


言語行動の6要素

コミュニケーションを言語行動として考えたときに、6つの要素に分けられます。
①話し手 (addresser)
②聞き手 (addressee)
③事物・現象 (context)
④言葉 (message)
⑤接触 (contact)
⑥言語体系 (code)

これら6つの要素が全て成立しないと、意思疎通が図れません。
言葉を絵など他の要素にした場合でも、同様に6要素が成立する必要があります。

①~④までは意識せずとも行動が成立することが多く、成立していない場合でも自然と気づくことが多いですが、⑤と⑥は意識的に行動しないと意思疎通できない=コミュニケーションが成立しない可能性が高くなります。
逆に言えば、意識的行動に変えるだけで意思疎通ができる可能性を劇的に高めることができます。

① 話し手 (addresser)

発信者。言語行動の起点です。
自分からコミュニケーションを試みる場合、発信者=自分自身となります。
当然ながら、発信者がいないとコミュニケーションが始まりません。

② 聞き手 (addressee)

受信者。こちらも言語行動に欠かせない要素です。
独り言や脳内でシミュレーションしている場合など、一見聞き手が存在しない言語行動は、話し手=聞き手と解釈できます。

③ 事物・現象 (context)

表現しようとするモノやコト。
自分が発信者の場合は、相手に伝えたい内容になります。

④ 言葉 (message)

➂事物・現象に対応する言語表現。
表現しようとするモノやコトを聞き手に伝える手段になります。
日本語と外国語、音声、文字、点字、手話、絵など、使用言語が異なる場合は、後述する項目⑤物理的条件と項目⑥が必要になります。

⑤ 接触 (contact)

話し手と聞き手の双方が、意思疎通にするために物理的及び心理的に準備できた状態であること。

物理的条件は、会話の例では声が聞こえ合うほどの距離であることや電話が利用できること、筆談の場合はお互いに字が読めるほど距離が近い、使用言語が違う場合は理解できる・翻訳できるなどの状態にあることを指します。

心理的条件は、一方が他方の働きかけを無視しない、お互いに話し合う心のゆとりがある、などの状態にあること。要は双方が話を聞く態度になっている状態ということです。
誰にでも親の小言を聞き流した=聞いてたけど聞いてなかった経験があると思います。それが正に心理的条件が成立していない状態です。

物理的条件と心理的条件の両方が成立しないと、接触できていない=言語行動が起こってない=コミュニケーションが成立していないことになります。
物理的条件は意識せずとも成立しやすいのですが、心理的条件は意識的に行動しないと成立させることが難しいです。

ふとした瞬間に会話と全く違う事を考えてしまう経験は、誰しもあるのではないでしょうか。心理的条件が成立していなかった、あるいは途中で成立しなくなってしまうことは常に発生しうるので、自分が話し手でも聞き手の場合でも、意識的行動が必要になります。

心理的条件成立を積極的に補完する行動として、相槌などの受け答えがあります。
聞いているか?理解できているか?を双方が積極的に確認しあうことによって、条件が成立した状態を継続することができます。

⑥ 言語体系 (code)

共通理解のベースとなるコード。法律やルール、一般常識、文化などが含まれます。
コードと聞くとセキュリティ対策や暗号解読をイメージする人もいるかもしれませんが、日常生活においても事物や言葉について共通理解があって初めて意思疎通が図れます。

国籍や生まれ育った環境、世代間ギャップ、地域差、所属するコミュニティの違いなどにおいて言語体系の違いは顕著なため、違っていて当たり前という認識が重要です。

例えば日本文化を理解している人は、会話の中で出てきたご飯という単語に対して、それが食事を意味するのかお米を意味するのか、即座かつ的確に理解して使い分けることができますが、日本語や日本文化を勉強中の人は、どちらの意味か確認しないと分からないかもしれません。

日本で生まれ育った同じ日本人でも、世代間ギャップは大きいですよね。
私と同年代であれば8mmビデオ、ベータ、VHS、レコードからカセット、CD、MD、LD、BDと映像や音楽を録音するための端末の名前を当たり前のように知っていますが、世代によってはMDやLDを知らない人も多いです。
ちなみに新人社員が実際に知らなくて、私は軽くショックを受けました。笑

共通理解がない場合、双方が別々の解釈をしているにも関わらず伝わったと勘違いしてしまう状態が発生する可能性があります。

企業活動においては、言語体系が成立する状態を作り上げて維持するために、言葉の定義付けやルールの整備、認識をすり合わせるための会議、文書化などが活用できます。

日常生活でも認識に相違がないか双方が積極的に確認し合うことによって、言語体系を維持した状態を継続することができます。

ここまで言語行動の6要素を見てきましたが、全ての条件を成立させるのは意外と難しいと感じた方も多いのではないでしょうか。
更にコミュニケーションを難しいものにしているのが、コミュニケーションの絶対的な特性です。

伝えた事の解釈は聞き手に100%依存する

自分が聞き手の場合で考えると分かりやすいですが、何かを伝えられた時にどのように感じるか、解釈するかは100%自分が決めていますよね。

いくら6要素を成立させるべく努力しても、特に⑤接触と⑥言語体系は相手の体調や心理状態、感情、及び知識やこれまでの経験が大きく影響しますので、自分と相手とが完全に同じ理解になることはまずありません。

また、その瞬間にはこちらの伝えたいことが正確に伝わっていたとしても、相手が内容を反芻しているうちに違う解釈に置き換わってしまうこともありえます。
別の日に同じことを同じ表現で言われたとしても、その度に解釈は異なってしまう可能性もあるでしょう。

このようにコミュニケーションには肝心な部分が相手に100%委ねられ、自分ではどうすることもできないという特性を持っています。

受け取った情報の80%が、脳のキャッシュから消去されている

人間の脳は全ての情報を記憶しており、催眠術などを使用すれば本人が思い出せないことであっても見聞きしたことを100%引き出せると言われています。過去にそのような実験もされていたようです。

でも実際には日々の出来事を全て覚えている人は非常に稀ですよね。
膨大な情報を常に保持、処理するのは負担が大きいため、脳が情報を取捨選択して必要と判断したことだけが表層の記憶領域に残されるようになっているためです。生存率を上げるための生体防御機能といえるでしょう。

伝えたい事の解釈が100%相手に依存して、且つそもそも20%しか残っていないとか、にわかには信じられないかもしれませんし、ちょっとショックですよね。

ここでこれまでの経験を思い返してみて下さい。
どうして伝わらないの!?なぜ分かってくれないの!?この前言ったじゃん!聞いてなかったの!?
そう感じた事や、誰かから言われたことが少なからずあるのではないでしょうか。コミュニケーションの難しさが身近に感じられませんか?

ではコミュニケーションにはどう向き合えば良いのでしょうか?
私の場合を紹介しますね。

伝わってなくて当たり前、だからこそ言葉を尽くす

先に触れたとおり、伝えたい事の20%が伝われば最高です。
10%伝われば御の字と考えています。
その為、相手に伝わっていないかもしれないという前提でコミュニケーションを取るようにしています。
全く伝わっていなくても、相手を責めるようなことはしません。

本当に伝えたいことは、タイミングや表現を変えて何度も伝え続けます。
1回では5%しか伝わらないかもしれませんが、何度も繰り返せば50%になるかもしれません。
100%伝わらないからこその楽しみ、伝わったときの喜びもありますよね。

短いキーワードの方が記憶に残りやすいなど、伝え方にも様々なポイントがありますが、そちらはまたの機会に紹介しますね。

本記事を補完する内容として、下記の有料noteでコミュニケーションの本質と特に注意すべき内容を取り上げていますので、コミュニケーションについてもう少し知りたい!という方は、合わせて読んで頂ければ嬉しいです。
コミュニケーションの本質と3つの致命的な勘違い

本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
自分の人生を、自分で生きて行きましょう!

初瀬野アヤセ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?