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アイリッシュコーヒーを初めて飲んだ日は/日記

歩いて帰ってきて汗だくの状態で今この文章を書いている。少しほろ酔いで気の向くままに書いていこうと思う。

引っ越しをしてどれくらい経つだろう。こっちでの生活は、正直まだ慣れていないけど、最近よく行く、行きつけのお店ができた。
昔から私は、行きつけのお店についてはネットに写真をあげないし、誰にも教えないと決めている。けど、今日はそのお店での出来事をどうしても書き記しておきたかった。

そのお店は、ご夫婦でされているレトロな雰囲気の喫茶店。休みの日はモーニング、リモートのときはランチ、コーヒー豆をきらしたときも、時間さえあればその喫茶店に行っている。
ランチはいつもナポリタンを食べる。正直ナポリタンってそんなに難しい料理でもないし料理が得意でない私でもうまく作れる。このお店で食べなくてもいいのだけど、なぜかナポリタンを食べに行きたくなる。
モーニングは、飲み物を注文するとノーマルなトーストとゆで卵がついてくる。私はいつも、ゆで卵だけいただいてメニューにある甘いトーストを注文している。

メニューを眺めるのが好きで、注文したあともいっとき見ていることが多い。「何を食べようか、何を飲もうか」と、次に来店したときに注文するものを想像して遊んでいる。そして、そのメニューの中にはものすごく気になるものがあった。

アルコール

喫茶店は夕方までの営業で、夜はやっていないけどアルコールメニューがあるのだ。コーヒーを使ったカクテル...かな、アルコールドリンクが3種類ある。注文をとりにきた奥さんに一度だけ興味本意で尋ねたことがあって、それからいつ飲もうかとずっとタイミングを伺っていた。

そしてついに今日、その中の1つの『アイリッシュコーヒー』を注文した!

透明の耐熱グラスにアイリッシュウィスキーが注がれ、火が灯される。いっときそのゆらゆらした炎を眺め、そこに温かいコーヒーをいれて、ホイップクリームをポンと置かれた。ゆっくりゆっくりとホイップクリームが溶けていく様子、飲むたびにホイップクリームが上唇にくっつく感触を楽しみながら飲んだ。
優しいホイップクリームにウイスキーとコーヒーの香りがすごくあう。だけど、アルコール度数がちょっと強いかも...マスターがくれたチョコレートがアルコールを緩和してくれた。

本を読みながら40分くらいかけて飲み、レジにむかう。マスターと奥さんは、私のことを最近よく来るお客さんだと把握してくれているけど、必要以上には話しかけてこない。

だけど今日はお会計が終わると2人並んで「どうでしたか?」と私の顔を覗き込み、キラキラとした眼差しで質問されたのだ。きっと、以前私が奥さんにアルコールメニューについて聞いたことを覚えていてくれていたのだろう。急な質問に驚き「(アルコールが)強かったです」と、とっさに返事をした。その返事を聞いたご夫婦の表情は穏やかで、微笑ましかった。「次は少し弱めに作りますね」と笑顔で見送ってくれた。私は店をあとにして、気の利かない自分の返答に呆れながらも、胸が温かい気持ちでいっぱいになっていた。とにかくご夫婦の人柄が素敵なお店なのだ。話すトーンも表情も。

蝉がミンミンと鳴く暑い帰り道をトコトコ歩く。
ゴロンゴロンとしている猫に「にゃん」と話しかける。
野球ボールを咥えながらお散歩する柴犬を観察する。
これはいつもと変わらない私の日常だけど、今日はいつも以上に幸せを感じている。


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