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五感で恋をする

先日、舞台を観に行った。
劇場でお芝居を見る贅沢。

大好きな俳優さんが出ていて
何を隠そう、その人目当てだったのだけれど
本当に本当に幸せで素敵な時間だった。

その人の話し声や歌声が
ダイレクトに耳へ届く幸せ。
その人が震わせた空気の振動が
わたしに届く幸せ。
同じ空間にいる幸せってそういうこと。

あ、なんだかちょっと…
気持ち悪い感じになっているけれど
自分に正直にいきましょう。笑

何よりわたしはその人の「声」が好きで
目の前で話したり歌ったりしているのを聞いて
ただただ惚れ惚れしてしまった。
とにかくかっこよかった。素敵だった。

そういうのって本能に近いなあと思う。

よく匂いが大切だって言うけれど
それも本能だなあと思う。
五感で恋をするって言うと
ちょっとロマンティックすぎるかしら。

歳を重ねるにつれて
ますますその傾向が強くなってきて
自分でもびっくりしたりする。
普通は職業とか肩書きとかいろいろ
しがらみがあったりするものなのでしょう。

でもわたしの場合
あんまり難しいことは考えていないようで
(難しいことは苦手なんだ)
なんかうまく言えないけれど
なんか好き、ということが多い。

そしてふとした時に思うわけ。
ああ、声が好きだなとか
話し方が好きだなとか
匂いが好きだなとか笑顔が好きだなとか
手を繋いだ時にしっくりくるなとか。
結果、すっかり五感に頼っている。

わたしの場合明らかに
自覚がちょっと追いついていないけれど
それはやっぱり本能的な何かが
ちゃんと仕事していて
嗅ぎ分けてるってことなんじゃないか。

そして歳を重ねていろいろと学んで
経験を伴ったデータが蓄積されて
どんどん鋭く研ぎ澄まされてきたわけだ。

ああ、厄介だ。

これは厄介。
どうだいこれは、由々しき自体。
歳を重ねて学んだ結果が
本能に頼るしかないってどうなのよ。

と思う大人な自分もいるんだけれど。

でも結局はわたしにとって
そこが一番大切なところだったんだ。
きっと一番わかりやすくて確実なんだ。
そのわりには一目惚れなんて経験がなくて
あれまあ不思議!と思ったりする。
ずいぶん昔から視力も悪いし
視覚に対してあまり期待していないのかも。

そしてそうしてご縁があった方たちは
みんなごくごく平和な人々で
それぞれとても素敵だったので
わたしは自分の本能とやらを
そこそこ信用してもいいかもと思っている。

ずいぶん前になるけれど
コピーライターの糸井重里さんのコラムで
「後ろ姿がいいなあ=好き」ていう話があって…
探してみたけれど全文は見つけられず。
一節だけはここに → ほぼ日手帳 日々のことば

このお話がすごく好きなので
全文を紹介できないのが残念。

この感覚がわたしの恋の感覚と
よく似ている気がしていて
自分でもよく分からないこの気持ちを
糸井さんが認めてくれた気がして
なんだかホッとして嬉しかった。

わたしが恋をするのは
これからもきっと声や
匂いや繋いだ手の感覚。

後ろ姿を見つめてしみじみと
ああいいなあ、と思ったら
ああ好きなんだなあ、と実感する。

五感をフル稼動して恋をする。
鈍らないでいたい。
いつでもピカピカに磨いていたい。


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