2017.09備忘録【伝統とは】

伝統といい、伝承という。これは、端的に言えば過去に一応完成されたものが、その本質的な姿を変えることなく時代と共に人々の生活の中に生きて行くことであると思う。其処に一本通った筋の様なものが伝統であり、これが生きて行くために作る人の手から手へ移っていくのが伝承である。

その間時代と共に生きて行くのであるからその中のあるものは時代の移り変わりに取り残されて消えていくものもあろうし、時代に合う様に部分的な様相を変えていくのも当然のことで、素材、技術、デザインのすべてにわたってその原態を全く変えずに伝承を続けているといったものの極めて少ないことはもちろんである。例えば伝統的な芸能の代表のように考えられている能や歌舞伎西ても、昔のままに数時間の幕間や中入りを含めて、早朝から夜まで上演されたり、青天井の下の舞台や暗い蝋燭の面明りの照明などで行われたら、とても今日の世界では通用する筈がない。(「日本の染織」より)


画像2

画像2

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?