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「おかえり、おつかれさま」

すっかり年の瀬だ。
いつのまにか今年もあと数時間で終わってしまう。最後ぐらい心穏やかに過ごそうという気持ちと、最後だからこそ普段気にならないことに対してイライラしてしまう気持ちがある。

街ゆく人々、家族と過ごしている人、お正月に向けて買い物する人々、みんな心穏やかに新しい年を迎える準備ができているのだろうか。この帰りの同じ電車に乗っている人たちは明日からもいつも通りの日々があることに絶望しているのか、はたまた清々しい気持ちで新年のお休みを楽しんでいるのか。

隣の人の考えていることなんてこれっぽっちも分からないように、私の考えていることも目の前の人に全く伝わらないだろう。でもそれでもいいと思う。私が感じている小さな幸せも、大きな後悔も、年の瀬という波がまるく飲み込んでくれる。

今この瞬間も、年の瀬にも関わらず電車に乗っている数少ない乗客のために電車を動かしてくれている車掌さんがいる。コンビニのレジでめったに来ない客を待ち続けている店員さんがいる。そういう人たちの当たり前の仕事に支えられて、特別を感じるイベントに参加させてもらっている。世界は誰かの仕事で出来ている、とはよく言ったものだ。わたしは今日も誰かの仕事に生かされている。

ようやく、目の前を歩く人のかかとを睨みつけながら歩いていた年が終わる。願わくは、新しい年を迎えるために今日までの誰かの準備があったことも知ってほしいということだけだ。良いお年を。

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