mimiguriの「問いのデザイン」。創造性を引き出すには。

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第8回
31 May.2021
【 登壇者 : MIMIGURI : 安斎勇樹さん 】

第8回目の講義は、株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEOの安斎勇樹さんにお話しいただきました。

MIMIGURI/安斎勇樹さん
東京大学大学院 情報学環 特任助教。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。商品開発、人材育成、地域活性化などの産学連携プロジェクトに多数取り組みながら、多様なメンバーのコラボレーションを促進し、創造性を引き出すワークショップデザインとファシリテーションの方法論について研究している。
引用https://mimicrydesign.co.jp/member/


主な著書に、「問いのデザイン-創造的対話のファシリテーション(共著・学芸出版社)」、「リサーチ・ドリブン・イノベーション:「問い」を起点にアイデアを探究する(安斎勇樹 小田裕和 著, 翔泳社)」があります。

あたりまえを疑う

安齋さんはワークショップを「人間が当たり前だと思っていたことを捨て去るような取り組み」であると仰っていました。
そうした見方をするようになったのは、芸術家である父親の影響が大きく起因しています。

「蛍光灯の中で死んでいく虫は、愚かだと思うか?」

安齋さんは小さい頃、父からこんな問いかけがあったそう。これは、人間から見れば、悲しい一生を終えてしまう虫と見られるかもしれないが、虫にとってはもしかしたら極上の幸せ空間であり、そこで死にゆくことが本望なのかもしれないという見方ができるという問いかけでありました。

人は構成されている世界の外側を内部世界にいることで理解できないのです。そんな父の影響が、当たり前を違う角度から見たときに、新しい発見ができる面白さを知った一つの要因だったそうです。


創造性を引き出す


そして、もう一つワークショップの中で大事にしていることをキーとしてあげられていました。それは「創造性」を引き出すということ。
学生時代にワークショップを行っていて、参加者の少年があることがきっかけで今までできなかったことができるようになった出来事があったそうです。
それから、我々が見えていない世界を見えるようにすることだけでなく、誰しもが持つまだ発揮できていない「ポテンシャル」を引き出すための設計も必要であると考えるようになったようです。

それが、安齋さんの問いのデザインやファシリテーションに至ることになったのです。

問いのデザインと遊びの要素

資生堂のTRUST8をご紹介いただきました。
安斎さんが立てた問いは「8つの内どれか1つだけ差し替えるならどれにするか」

資生堂の社員46000人にむけて開発されたこのワークショップでは、「『TRUST 8』の8つのビジョンのなかからチームにおいて重要度の低い指針を1つ削除し、チームにあった新たな指針を1つ追加する」ことを行います。

新しいものを考えるのではなく、既存のビジョンを壊さなければいけない。この「遊び」の要素を加えることで、8つの行動指針をより自分事として捉え、能動的な編集がされるワークショップの設計になっているのです。

所感

大学院で産学PJを行ったときに、はじめに立てた「問い」の設定が悪く、うまくアウトプットができなかった経験があります。しかし、解決したい状況・方向性・目的をはっきりさせ、もう一度「問い」を立て直した時にチームで納得いくアイデアにつなげることができました。
この経験からも、「問いのデザイン」の重要性を強く感じています。問いの立て方次第で、アウトプットは変わってきます。
良い問いを立てることは非常に難しいなと感じていますが、安齋さんのお話をお聞きし、それに必要な大事なヒントを得ることができました。

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