見出し画像

問い続けること、こだわること

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第4回
26 Apr.2021
【 登壇者 : アートキュレーター : 鈴木 潤子さん 】

第四回目の講義は、アートキュレーターとして数々の展覧会をディレクションしてきた鈴木 潤子にレクチャーしていただきました。


鈴木 潤子さんのプロフィール

大学卒業後、時事通信社に入社後、森美術館、日本科学未来館で通算20年間の勤務を経てフリーランスの個人事業主として独立。2011年から2020年まで無印良品のギャラリーATELIER MUJIにてシニアキュレーターとして50以上の展示を手がけた。あいちトリエンナーレ2013PRオフィサー、東京 2020オリンピック・パラリンピック招致委員会評議会広報アドバイザーなど、アートやデザインを中心に幅広い分野でPRやキュレーション、文化施設の立ち上げに携わる。

参考:https://schoo.jp/teacher/2775



講義のタイトルは「学びとアートとキュレーション」


キュレーターとは


私は、恥ずかしながら今回の講義を聞くまで「キュレーター」というお仕事を知りませんでした。
私の浅はかな知識ではありますが、まず、キュレーターについてご説明します。
美術界におけるキュレーターは、展覧会の企画の提案や、そこにふさわしいアーティストの選定、その発信を担います。特定のテーマに沿って情報を収集し再編集する、そしてそこに新しい価値を生み出し広げる「キュレーション」を行う仕事です。
そんなガッツリアートな世界に鈴木さんが関わり始めたのは、新卒入社して数年後。それまでアートを学んで来ていなかった鈴木さんが10数年の経験で日本の最前線で活躍するキュレーターとなった所以を私なりに今回の講義から考えました。


なおえつ うみまちアート

直江津の海

「なおえつ うみまちアート」
新潟県上越市直江津地区の活性化を目指し、今年の夏に開かれるアートイベント。企画全体のプロデュースを無印良品が行うことから、鈴木さんもキュレーターとして携わります。

街の環境を見て周り、そこに住む人の声を聞き、アートの力で直江津の人々を勇気づけられるためにはどんなテーマがふさわしいのか、その街に適した企画の模索を行ったことがお話から伺えました。

決まったテーマは、「うみ/まち/ひと」。直江津の海に面した自然豊かな港町と、そこに広がる人々の文化や生活の営み、ここにしかない景色と結びつくアートの見せ方を考えているようです。


どうやらまだイベント内容の詳細は後悔できないようで、イベントのアート作品や企画事態については言及されませんでしたが、街を想い、人を想い、成功させるために全力で取り組んでいる様子が見受けられました。
どんなアートイベントになるのか開催がとても楽しみです。


質問です


「皆さんに質問です。」
「好きで得意なことを仕事にしてみたら、
嫌なことや苦手なことがセットだった」

「あなたならどうしますか」


講義内で、鈴木さんは私たちに向けてこう質問しました。
突然投げかけられた質問……考えました。

私は大学で自分がデザインをやりたいと思い学んできました。企業のインターンシップなどに参加して、実際にデザイナーの仕事の難しさや過酷さを経験しました。しかし、その難しさを達成して初めて良い製品やサービスが生まれることも知りました。だから、好きなことには必ず嫌なことがセットであるのです。それはそういうものなのだと。当たり前じゃないのかと何も疑問に持たずにいました。

誰しもが、生きてる中で「まあしょうがないことでしょ」「そういうものでしょ」と捉えがちなことを鈴木さんは疑問に感じ質問しました。


鈴木さんは「アートは、問いである」と講義の中で仰せられました。
日々、アーティストと対話をする中でコミュニケーションとして「問うこと」「質問すること」を心掛けているからこそ、日々の生活の中で感じた問いを今回も私たちに投げかけたのだと感じました。


まとめ


鈴木さんの第一印象はお淑やかな口調から柔らかく大らかな印象を感じましたが、キュレーターとしての仕事に境界を設けず、細部までこだわりやり切る精神は、人としての情熱と信念をもったアグレッシブさを感じました。

鈴木さんが、アートを学んでこなかった鈴木さんが、キュレーターとして数々の展覧会を行い、日本のアートの前線で活躍しているのは、このこだわり強い精神力があるからなのだと感じました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?