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温かいこの町の一面にスポットを当てたい

私が3年前、知り合いもいない、言葉も知らない、見知らぬ土地へやってきたのは、大きなチャレンジだった。不安と、自分がどこまでやれるか見てみたいという気持ちだった。

1年後に帰る頃には、自分は意外と大したことないということに気付かされ、日本で積み上げてきた自信やスキルは全くと言っていいほど打ち砕かれ、通用しなかった。

だから、3年ぶりにまたこの土地に戻ってくるとは想像していなかったけれど、人生というのは何がどう関わり合って導かれていくのやら。

私はまたこの土地で、3年前の思い出をたまに振り返りつつ生きている。


生活していると、少数派の日本人は誰からともなくつながり合い、昔の私と同じように、まだ来たばかりでいろいろなことがおぼつかない、留学生やワーホリの若者に会うことがある。彼らを見ていると、当時を思い出し、せめて私も同じだったことを伝えてあげたいという気持ちになる。

この小さな町では、ネットにあげられている情報はほんの一部で、仕事や家を探すのに、人を頼る方が早い。出会う人出会う人に「今家を探してて〜」「仕事見つけなきゃいけなくて〜」と話していると、みんな助けてくれるのだ。

3年前、タイレストランのキッチンの仕事を見つけたのも、住み心地の悪いホームステイから抜け出したのも、今の旦那に出会ったのも、ぜんぶ誰かに教えてもらったことがきっかけだった。

当時はその優しさが本当に嬉しくて、温かい町だと思った。直接助けることができなくても、みんな何か自分にできることを探して、手を差し伸べてくれた。

当時は頼ることしかできなかった私だけど、今、困っている子たちがいたら助けてあげたいと思う。友達も多い方ではないし、助けられることも多くはないけれど、できることはある。


見返りを求めたりせず、ただその時私が役に立てるのなら惜しまず助ける、そういうことが自然に循環している場所だ。

3年前自分のことで手一杯だったけれど、改めて戻ってきて、そういう風に思えるようになった。


どこにでも良い面や悪い面があるけれど、この町の温かい一面を私は忘れず暮らしていきたいと思う。温かい一面にスポットを当てて生活していれば、自分の暮らしも温かいものに変わっていくと思うから。

改めてここにきてもうすぐ半年が経つ。

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