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昔の夢を叶えてあげる。

10年前、いつかわたしが食事を作って、ケータリングを届ける側になりたいと思った。そして、わたしのお世話になっているこの場へ、届けたいと思った。それが当時の夢だった。

けれど、月日が経ち、いつしかそんな夢は忘れてしまう。

それが、春になり、時間的余裕ができた頃に、むくむくとケータリングへの興味が戻ってきた。

けれど、当時のわたしといまの私は状況が違う。だから、いまもやりたいことなのか、正直分からなかった。

だから、いまのわたしのためにではなくて、10年前のわたしのために、ケータリングをやろうと思い立ったのだ。


そして、この二日間は依頼していただいたケータリングにめいいっぱい打ち込んだ。無事に終えて、達成感や安堵感もあるけれど、そこはかとない満足感を感じる。なんだか、10年前のわたしが喜んでいるような気がするんだ。


あのときの夢は、ちゃんと叶えたぞ!

と、わたしはわたしの胸のなかで二十歳の君に手を振る。


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